青年期の過ごし方。

@HIRO_7473

第1話 明日の予定

「最近さぁ、外出してないんじゃない?」

イヤホンから若松がしゃべりかけてきた。

「・・・・」

ここで正直に外出してないとか言ったら、母親みたいに『たまには、外に出なさいよ』とか言われるのだろうか。

「ねぇ、聞いてる?」

「聞いてるよ」

「そう?で、どうなの。」

「あんま、出てないかな」

まぁ、若松だしな別にそんなこと言わな・・

「えー、たまには出たほうがいいよ?」

・・・はい、言いましたね。

「母親みたいなこと言いやがって、大丈夫だよ。犬の散歩の時に家出てる。」

毎週火曜日と水曜日に30分は外に出ているのだから、十分だろう。

「犬の散歩って、近所でしょ?電車で一駅分ぐらいは遠くに行けよー。」

「そんなんもう旅じゃん」

「旅じゃないよ!」

いや、旅だろ。

というか、ずっと家にいるともう電車で一駅はめんどくさい度合いで言えば八王子駅から東京駅に行く時ぐらいめんどくさい。

「めんどくさいよ」

「ふーん、でもアニメショップいかないと君の欲しがっているゲームソフトは予約できないんだろう?」

確かに若松が言うように、俺は欲しいゲームソフトがある。

それを予約するには、WEB予約をするか店舗まで足を運んで予約するかしかない。

いつもならWEB予約で済ませるのだが。

今回は、転売対策でWEB予約には携帯電話番号が必要なんだ。なんで固定電話はダメなんだ!

スマホのキャリア契約をしていないから俺は携帯電話番号を所持していない。

となると予約するには実際に店舗に足を運ぶしかない・・・

「痛いところをついてきやがって」

「予約ついでに外出て来なって」

「ぅうん・・・はぁ」

「予約期間もうじき終わるぞ?」

「・・・いくかぁー」

ソフトは欲しいからな、仕方ない。

「お!行く気になったか!」

「まぁ」

「んじゃぁ明日行ってきなよ!」

「・・・・明日ぁ?」

「うん、今日はもう遅いし、時間たつと行きたくなくなるでしょ?」

「あー、それもそうか。あしたいくかぁー」

財布がまた心もとなくなってきたな、バイトしないとソフトの予約だけで財布がすっからかんだ。

そんなことを考えていたら

「予約出来たら映画でも見に行こうよ」

oh、タイミング・・・

「あー、すまん。誘ってくれるのは大変ありがたいんだが、金ないわ。」

「あらあら」

本当に、だれが悪いというわけではないのだが毎度毎度タイミングが合わない。

「毎度タイミング合わんね」

「ほんとすみません」

これまで数えきれないほど誘いを断ってきてあることに気づいた。

「俺お金の使い方が下手なのか?」

「まぁ・・・・下手なんじゃなくて、何というか、友達と遊ぶお金っていうか、外でて遊ぶことを考えてないからじゃない?」

「あぁ・・・・確かに・・・」

言われてみれば確かにそうだな。

趣味と飯と貯金、あとは申し訳程度の交通費ぐらいしか考えていなかったな。

「んじゃぁ、また誘うでな、そん時はヨロシュー。」

「あーい、んじゃぁそろそろ落ちるわ。またな。」

「あーい、またねー。」

ティロリン♪、通話が切れた。

「・・・明日・・か。」

明日に備えて、とっとと寝ますか。


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