奪還
クラーセンがキュービクルで拘束されたとき、ジュビたちが遠征中にそのイメージを捉えた密猟者の3人目、ラストフ・ヤナダは、クロノスの南西の端にある隠れ家の地下壕にいた。その後、バブル内を閃光が走り、クロノスが騒然となった。
若いヤナダはクラーセンと連絡が取れず、じりじりした。ヤナダも、身元が割れたトミー・カイアも、4人のほかの密猟者たちも、クラーセンの助けなしには生きていけない。クラーセンは、隠れ家、食料はもちろん生活必需品のすべて、そして装備を密猟者に提供していたのだ。
密猟者たちは皆、殺されたヨウリン・ズーと同じように、ハイバネーション・バンクから排出され、この世にいないはずの者たちだ。密猟者は、クラーセンたちサットヴァ研究推進派が行ったサットヴァの遺伝子や幹細胞を使った臨床試験の被験者だったのだ。
明晰な頭脳と類まれな実務能力に恵まれたクラーセンにとって、密猟者は臨床試験の成功の証であり、また学術的野望を実現するために自分の手足となり働く捨て駒でもあった。
テレッサ・ノイマンがAIネットワークのデータ改ざん方法を見つけたと知らせてきたのを機に、ソフィアの目を盗んでクロノスの片隅に地下壕を建設した。
そして、排出が決まった個体への臨床試験を開始した。生き延びた者を地下
しかし、冷酷なまでに合理的なクラーセンも、ヤナダには特別な思い入れがあった。ヤナダは、同じ父を持ち、同じ遺伝子を受け継ぐ生物学的な弟だった。
排出予定者たちのデータを見たとき、クラーセンは見覚えのあるDNA配列を目にした。弟であることを突き止めるのは難しくなかった。
クラーセンは、それまで経験したことのない不思議な衝動に駆られ、ヤナダを優先的に臨床試験の被験者に選んだ。そしてサットヴァの幹細胞移植が功を奏し、悪性リンパ腫が完治したとき、クラーセンは味わったことのない安堵感に包まれた。
クラーセンは、ヤナダに自分が兄であることを告げた。ヤナダは密猟者のリーダーとなり、クラーセンに忠誠を尽くした。クラーセンは、人生で初めて自分以外の誰かを信じるという感覚を味わった。
クラーセンがキュービクルで拘束されたことがヤナダにも伝わった。ヤナダはもちろん、ほかの密猟者たちも浮き足立った。
しかしクロノス以外に生きていける場所はない。バブルの外では生存できず、ほかのバブルに行き着いたとしてもポリスロイドに捉えられるかバブル外に排除されるだけだ。
ヤナダたちはどうしてよいか分からなかった。彼らにはクラーセンが必要だった。地下壕に、いつポリスロイドが現れてもおかしくなかった。
ユリカゴとハイバネーション・バンクのあるクリブの地下5階で爆発が起きた。26人の子供とスリーパーが一瞬にして犠牲になった。
カイアたち4人の密猟者たちが、閃光による破壊後の混乱が完全に収まっていないのをよいことに、人間の作業員に紛れ込んでクリブに侵入したのだ。ヤナダともう一人の密猟者は居住区ゼータ・コンプレックスのキュービクルで拘束中のクラーセンの救出に向かった。
ヤナダたちは、出力を最大化した音波銃を乱射しながら、居住区ゼータ・コンプレックスに侵入しようとした。その場に居合わせた10人以上がばたばたと倒れた。
しかし、ポリスロイドたちに行く手を阻まれ、建物内に入ることすら叶わず、退散する以外に道はなかった。ヤナダたちはクリブに駆けつけ、ポリスロイドと交戦中の仲間の密猟者たちに加勢することにした。
爆破後、カイアは、クリブの地下5階でクラーセンから聞いていたハイバネーション・バンクの1つを開けた。銀色のシェルから、培養槽ではなく短期休眠用ベッドが現れた。カイアは、ベッドに眠るサットヴァ人にアドレナリンを注射した。
目覚めたのはサットヴァの女だった。
「メスの方が力も弱いし扱いやすいからな」
カイアは得意げに言った。
「こいつを盾にここを脱出するぞ」
カイアは、白いジャンプスーツを着せられたサットヴァ人の腕を掴み、仲間の密猟者を促してハイバネーション・ホールを出た。搬入出用モバイル・チューブに入り、地下1階で出た。地下駐車場からスロープを登って地上に近づくと、駐車場入り口の外側にいるポリスロイドたちの姿が見えた。
カイアと3人の密猟者たちは、サットヴァ人を盾にポリスロイドによる封鎖を突破しようとじわじわと前進した。盾となっているサットヴァ人は、恐怖と覚悟が入り混じった表情を浮かべていた。
ポリスロイドの1体がレーザー銃を撃った。カイアのすぐ後ろにいた密猟者が短い悲鳴を上げて倒れた。
すると、ポリスロイドたちが急に後ろを振り返りレーザー銃を撃ち始めた。背後からヤナダたち2人が音波銃を乱射し始めたのだ。
カイアと2人の密猟者は、サットヴァ人を連れて駐車場の外へ走り出た。密猟者がまた1人、ポリスロイドのレーザー銃で撃たれた。
カイアともう一人の密猟者は、サットヴァ人を挟んで両腕を掴み、復旧用作業車両の影に停めておいたエア・ビークルに急いで乗り込んだ。そして、ポリスロイドたちを振り切って発進した。
カイアは、レーザー銃を撃ち続けるポリスロイドたちの封鎖線に向かってレーザー砲を放った。ポリスロイドたちの封鎖が緩むやいなや、エア・ビークルでヤナダたちに向かって突き進み、2人を乗せた。
ポリスロイドたちが攻撃態勢を取り戻しつつあるなか、急上昇して南の空へと消えていった。
クリブ周辺の密猟者とポリスロイドの交戦情況は、クリブの複数のカメラが捉えていた。
いち早くソフィアに送られたイメージを認識したアダムは、密猟者が人質にしたサットヴァ人が2年前の4月に連れ去られたラーラの双子の妹リディであることに気づいた。復元されたクラーセンやアーゼンスクの認知データの中のリディの顔や容姿が人質と一致したのだ。
アダムはすぐに、ジュビ、リズク、シンイー、そしてジャマールたちに伝えた。ジュビ、リズク、ジャマール、ネイトは、すぐにハイバネーションの地下駐車場で落ち合い、密猟者を追って遠征用高速エア・ビークルで南へ向かった。
メレディスの死に重い責任を感じていたジュビは、意図しなかったとは言え、自分が始めてしまったこのサットヴァ研究推進派の追及を必ず最後まで見届けようとしていた。また、少しでも何かよいことがそこから生まれて欲しいと願わずにはいられなかった。
そして、そのよいことの1つとして、何がなんでもリディを無事に奪還し、姉のラーラの元に返したかった。
珍しく電磁波の乱れの影響を受けず、人工衛星は、密猟者たちのエア・ビークルの姿をクロノスの南南東約400キロの地点で捉えた。密猟者たちは、クロノスに一番近いバブル、2,270キロ離れたプルートスに向かっていると思われた。
ジュビたちは、最新式のエア・ビークルで急速に距離を縮め、1時間後には密猟者たちに追いついた。
しかし、密猟者たちのエア・ビークルにはリディがいるため、リズクは不用意にレーザー砲を撃つことはできない。ジュビは密猟者たちの前に出て、行く手を遮ろうとした。
密猟者のヤナダは、容赦なくレーザー砲でジュビたちを撃ってきた。ジュビはエア・ビークルを左右に巧みに操ってレーザー砲をかわした。2台のエア・ビークルは、もつれ合うように前進した。
そして突然、密猟者たちのエア・ビークルが向きを変えた。ジュビも向きを変えて、密猟者たちを追った。新しい進路の先にはミラブ湖、そしてラルーン山脈最西端のサラナ山、サットヴァの都市クシャーンティがあった。
「あいつら、クシャーンティに向かうつもりなのか」
前方を睨みつけたままジュビが言った。
「ジャマール、エア・ビークルを頼む。ラーラに知らせないと」
ジャマールは、ジュビと交代してコックピットに入った。
「ああ、任せてくれ」
そしてリズクに向かって言った。
「レーザー砲の出力を下げておこう。低出力で撃てば、エア・ビークルの速度を下げるか、停止させるかで済む。リディに怪我させるわけにはいかないからね。ネイト、出力を下げてくれ」
最後はネイトに向かって言った。
ジュビは、通信ボックスを開けてラーラを呼び出した。
3次元表示されたラーラは、ジュビの切羽詰まった表情を見て心配そうな顔をした。
「ジュビ、どうしたのですか。エア・ビークルの中ですね。大丈夫ですか?」
ジュビは、リディを人質にとった密猟者たちのエア・ビークルがクシャーンティに向かっていることをラーラに伝えた。
「リディが見つかったんですね。ああ、生きていたんだ」
ラーラはそう言って顔を輝かせたが、次の瞬間、ジュビが伝えた残りのメッセージの意味を悟って怯えた表情になった。
「でも、人質って。なぜそんなことに? どうしてリディが密猟者たちの人質に。密猟者たちがクシャーンティに向かってるって、何をするつもりなのでしょうか?」
ジュビにはその答えは分からなかった。そして、やっと絞り出すように言った。
「ラーラ、あいつらが何をしようとしているのかは分からない。クシャーンティに行ったって、生きていけるわけでもない。やけになってるかも知れない。クロノスでは爆破騒ぎを起こしたんだ。クシャーンティも危険だ。まずそれを知らせようと思って」
ラーラは悲壮な顔をした。
「ジュビ、知らせてくれてありがとう。クシャーンティは大丈夫です。エア・ビークル1台を無力化することは、クシャーンティの防衛システムなら容易いことです。でも、私たちの防衛システムでは、エア・ビークルの中にいるリディを救出することはできません。クシャーンティに危険が迫れば、リディを犠牲にしてでも町を守らなければなりません」
そう言ってラーラの3次元イメージは消えた。
皆、沈黙のまま、密猟者のエア・ビークルを追った。しばらくすると、密猟者のエア・ビークルが急に減速し、進路を南へと変更した。クシャーンティの方から、サットヴァの高速艇ロッサが2艘、姿を現し密猟者のエア・ビークルに迫ろうとしていたのだ。
先頭にいるロッサのコックピットには、サットヴァのワイザ・ミージェの姿があった。ミージェは、密猟者に襲われ、ジュビたちに助けられたとき、人間への不信をぶちまけていた。そして、ミージェの隣りには、クシャーンティにいるはずのラーラの姿があった。
ラーラに気づいたジュビは、驚きのあまり目を見開いた。あれほど戦わないことの価値を信じていたラーラが、何をしようとしているのか。ジュビは嫌な予感をかき消すことができなかった。
ジュビの頭にメレディスのことが思い浮かんだ。ラーラまで失いたくなかった。しかし、リディの乗っている密猟者たちのエアビークルを攻撃することもできなかった。
コックピットに戻ったジュビは、ミージェとラーラのロッサを追うのではなく、密猟者たちのエア・ビークルを挟み込むために南に向かって急加速した。
ジュビたちのエア・ビークルの動きに気づいた密猟者たちは、前後から挟まれないようにさらに東へと進路を修正した。ジュビは、さらに加速してついに密猟者たちの前に先回りすることに成功した。
旧式のエア・ビークルに乗った密猟者たちは観念するように速度を落とし、やがて停止した。
ジュビたちと密猟者たちが約50メートル空けて睨み合うように停止し、密猟者たちの後ろ約60メートルのところでミージェとラーラが止まった。
ラーラが密猟者たちに話しかけた。
「あなたたちは何を望んでいますか。私たちができることがあれば希望を叶えて差し上げます。ですから、そのサットヴァの女性を開放してください。あなたたちを傷付けるつもりはまったくありません」
しばらく沈黙があったあとでヤナダが応えた。
「サットヴァ? このパルブスのメスのことか。傷付けるつもりがないだと。そんなこと信じられるか。俺たちが密猟者って知ってんだろ。もうどうなったっていいんだ。兄貴も今頃死んでるさ。もう兄貴には頼れないんだ。俺たちには行くところがないんだ」
密猟者は明らかに追い込まれている。危険だ、とジュビは思った。
リズクが突然口を開いた。
「今、兄貴と言ったね。君はヴァレンティン・クラーセンの弟のラストフ・ヤナダだね。私は医師のリズク・ナーディアだ。君たちは皆、サットヴァ、つまりパルブスの遺伝子や幹細胞を使った治療を受けてる。もしかしたら、君たちはバブルの外で生存できる環境耐性を持っているかも知れない。もしそうなら、バブルに戻る必要はない。バブルの外で自由に生きていけるんだ。私に環境耐性の検査をさせてくれないか」
ジャマールが加勢した。
「医師のジャマール・シエラだ。遺伝子治療が専門だが、リズク君の言うことは正しい。それに、私たちはだれも君たちを罰したいとは思っていないんだ。そこにいる人を返して欲しいだけなんだ。君たちに外で生きていける耐性があると分かれば、必要な物資を提供しよう。バブルの外に新しい住居も用意しよう」
リズクとジャマールが言うことは、半分真実で半分嘘だった。なんとかリディを取り戻そうと、2人とも必死だった。確かにサットヴァの遺伝子や幹細胞を使った治療を受けた密猟者には、人間よりも高い環境耐性がある可能性がある。しかし、バブルの外で生存できるほどの耐性があるかを調べる検査方法は確立されていなかった。せいぜいゲノム・アナライザーでサットヴァ人の遺伝子の有無とDNA配列を調べられるだけだった。
すると、ラーラが驚くことを口にした。
「リズクとジャマールの言うことは本当です。研究によれば、私たちの遺伝子を体内に持つ人間の環境耐性は、私たちサットヴァの60パーセントから90パーセントです。最低の60パーセントの場合でも、小型の呼吸エイドがあればまったく問題なくバブル外で生活できます。放射能については、ほぼ影響を受けないでしょう。そして、私たちもあなたたちがバブルの外で生きていけるように支援できます。水や食料を調達する方法をお教えできます。呼吸エイドも身を守るための武器も差し上げることができます」
ジュビ、そしてリズク、ジャマール、ネイトは、たった今、ラーラが言ったことに
ラーラが言ったことが正しければ、そして、おそらく正しいのだろうが、バブルに住む人間でもなく、クシャーンティに住むサットヴァ人でもなく、地球上を自由に移動して住むことのできる新しい者たちの世界が拓かれつつあるのだ。
ここにいる密猟者たちは人間とサットヴァ人の両方の遺伝子を受け継いだ新しい世界の担い手なのかも知れないのだ。
「
密猟者たちのエアビークルの中で誰かが叫んだ。
「ラストフ、あんなの、俺たちを捕まえるための嘘に決まってるよ。俺は嫌だ。人間でもパルブスでも、捕まるのは嫌だ。どうせ殺されるんだ」
突然、密猟者のエア・ビークルの扉が開いて、1人の密猟者が飛び出した。
「ラジェ、待つんだ、ラジェ!」
ヤナダが呼び止めた。
しかし、ラジェと呼ばれた密猟者は、音波銃を最大出力で撃ちまくりながら、ラーラたちの高速艇ロッサに向かって走り出した。音波銃は、射程は短いが、最大出力時にはエア・ビークルの頑丈な車体に穴を開けることも可能だ。
リズクがレーザー砲の照準を合わせるのに手間取っている間に、ラジェはどんどんロッサに近づいていった。
そして、ロッサまで約10メートルのところで立ち止まると、ラジェは音波銃をミージェとラーラの方向に向けて撃った。照準を合わせ終えたリズクはレーザー砲を放った。しかし、狙いが逸れてロッサの手前4時方向5メートルの地面に当たった。
ジュビの脳裏にはラーラの笑顔が浮かんだ。ラーラを抱きしめたときの柔らかい感触が全身に蘇った。そして思わず目を閉じて短く叫んだ。
「ラーラ、ごめん!」
「ぎゃあっ!!」
男の悲鳴が聞こえた。
ジュビが目を開けると、ラジェと呼ばれた密猟者の黒焦げの死体がロッサの前に転がっていた。
ラジェの放った音波銃のエネルギーは、ロッサの周りに張られたエネルギー反射シールドに当たって反射し、等倍のエネルギを保ったままラジェを襲ったのだ。音波銃の最大出力をまともに受けたラジェはひと溜りもなかった。
「ラーラの高速艇はエネルギーを反射する見えない防御壁で守られているんだ」
リズクが独り言のように言った。
皆、再びサットヴァの技術力を目の当たりにして言葉を失っていた。リズクは、戦わずして防衛するということの意味を真に理解できた気がした。
そして、人間を凌ぐ圧倒的な技術力を持ちながら人間の仕打ちに報復することなく、人間の領域を侵犯することもなく、人間を従属させることもなかったサットヴァ人たちに、尊敬を超えて恐怖さえ感じた。
一部の人間がいかに愚かで危険な行為に手を染めていたか、改めて痛感していた。
密猟者のエア・ビークルの開いた扉から、リディが1人で出てきた。リディは皆が見守る中、静かにラーラの待つロッサに向かって少しだけおぼつかない足取りで歩いていった。ラーラの双子の妹であるリディは、容姿だけでなく雰囲気までもラーラとそっくりだった。
リディがロッサの前までたどり着くと、ロッサの横の扉が開きラーラが姿を現した。ロッサを降りたラーラは、一瞬立ち止まってリディを見つめたかと思うと、駆け寄ってリディを思い切り抱きしめた。
「リディ。もう会えないかと思ってた。よかった、生きてて。会えてよかった」
リディも涙を流して姉との再会を喜んだ。
「ラーラ、本当に、本当に。もうだめだって、何度も諦めかけた」
あとは2人とも言葉にならなかった。ラーラは、リディをロッサに乗せた。リディを無事に奪還し、密猟者のエア・ビークルを攻撃するのになんの障害もなくなった。
しかし、ジュビたちもラーラも、そして人間に不信感を募らせていたミージェさえも、攻撃という選択肢を選ばなかった。なぜなら、そこに居合わせた者は皆、目の前の密猟者たちが新しい時代の先駆けだと知っていたからだ。そして、新しい時代はすぐそこまで来ていた。
ラーラの声が再び響いた。
「リディを返してくれてありがとう。あなたたちを憎まない、恐れないと言えば嘘になります。しかし、行く場所を失ったあなたたちをここに放って行くことはあまりに残酷です。あなたたちが望めば、私はあなたたちをクシャーンティにお連れしましょう。そして、バブルの外で生きていく準備が整うまで、滞在を許しましょう」
ジュビはラーラの、そしてサットヴァの寛容さと懸命さに感動せずにはいられなかった。
ラーラは、今この瞬間に、自分たちに深刻な危害を加えた者たちを許し、受け入れることで将来の争いの芽を摘んでいるのだ。単なる甘い感傷や同情ではない。将来戦う必要性を減らすための知恵に基づく戦略だ。
ラーラは言っていた。戦わなければならない相手は自分たちの中にある不安や恐怖だと。ラーラは見事にその戦いに勝利していた。どんなに高い科学技術力も、不安と恐怖を完全に払拭してはくれない。重要なのは、人がその不安と恐怖といかに向き合うかなのだ。
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