後日談 海水浴 part2
「ようやく、着いたぁ〜!」
「運転お疲れ様です」
「えへへ、そうでしょ?そうでしょ?ご褒美になでなでして?」
「お姉ちゃん?わたし……いるんだけど?」
「す、すごい……おにぃがモテモテだ…」
あれから数日後、海水浴の準備を進めて今日が当日。
早朝から集まり、愛菜さんが運転する車で海水浴場までやってきた。
愛菜さんが運転免許を取得していたのは、驚きだったが大学一年生の夏に取ってしまっていたらしい。
「じゃあ、さっそくトランクに積んである荷物下ろすからみんな手伝って〜」
日帰りということで荷物の数自体はそれほど多くないが嵩張るものも割とある。
飲み物を入れておくクーラーボックスやパラソルに折り畳み式の椅子など。
男子が俺一人なので当然、重い椅子やクーラーボックスを抱えて砂浜に降りる。
他のメンツは、パラソルやビーチボールなどを抱えていた。
海水浴場は、夏ということもあり割と混んでいた。
唯一救いなのが平日だったいうことだろう。これが、休日だったら子連れが沢山いただろうから。
「取り敢えず、ここら辺でいいかな?」
レジャーシートを敷いたりパラソルを立てたり、椅子を設置したり。
遊びに行く前にすることはたくさんある。
みんなで手分けして早急に終わらせた。
「よしっ!準備も終わったところで早速遊びますか!」
愛菜さんがそう言うと、勢いよく服を脱ぎ出す。
「ちょ、ちょっと!ここで脱いだらマズイでしょ!?」
「も〜、やだなぁ……たーくんのヘンタイ!下に水着着てるに決まってんじゃん」
「拓実……流石のお姉ちゃんでも人並みに恥じらいはもってるわよ」
「ちょっと満華ちゃん!?それってどういうこと?ねぇ?」
「はわぁ……お姉さんおっきい……」
「ん?麻里奈ちゃん。ようやく、私の魅力がわかったようね。麻里奈ちゃんも将来はこうなるから」
「ちょっと!変なこと妹に吹き込まないでくださいよ!」
妹は綺麗なままでいて欲しいんだ。
「おにぃ……私だって高校生だからそれくらいはなんともないよ」
流石に夢を抱きすぎと妹にジト目を向けられる。
どうして……
「まぁまぁ、みんなも早く脱いで泳ごうよ!」
「スイカ割りは?」
「日焼け止めも塗ってないんだから、お姉ちゃんは少し落ち着いて!」
「え〜!どうせ、水に浸かったらおちゃうよー」
「顔まで潜らないでしょ?」
「顔なら出発する前につけたよぉ〜」
水着になって、早く泳ぎたい姉とそれを許さない妹。そして、スイカ割りが楽しみで仕方ない麻里奈。
三者三様。みんな違ってみんないい。
女性陣が色々準備している間、俺も上衣を脱ぐことにする。
下は既に海パンを履いていたため脱がない。
更衣室に誰も向かってないことから、みんな下に水着を最初から着ていたらしい。
まぁ、正直なところわざわざ、更衣室に行くのも大変だしな。
「よぉ〜し、準備完了!麻里奈ちゃん!あの地平線に向かって走るよぉ〜!」
「ちょ、愛菜さん!?地平線って、まだお昼前ですよ!?」
「細かいことは気にしない〜それ〜!」
「うわぁ!」
強引に手を引かれ連れ去られる麻里奈。今回は妹がおもちゃ係か。
大変だろうが頑張って務めを果たしてくれ。
健闘を祈る。
「おーい!たーくんに満華ちゃんも、早くおいで〜」
愛菜さんたちが俺たちを呼ぶ。
「俺たちも行くか」
「ちょ、ちょっと、待ちなさい」
「どうした?」
「水着……」
「ん?」
「かわいい水着……きてるんだけど……?」
しまった。
愛菜さんとのやりとりですっかり忘れてたがまだ星野の水着に一言も感想を述べてない。
星野は不満そうに唇を尖らせてる。
ネイビー色のオフショルダービキニ。
大人チックな色合いと可愛いふりふりが特徴的で星野のスタイルの良さをより一層引き立たせている。
「似合ってる。かわいいよ」
感想に具体性があると逆に気持ち悪いかと思って、そのままの思いを口にした。
「もう……言うのがおそい」
「ごめんて」
「罰として手を握りなさい」
「それは、俺にとって罰にならないな。また今度別に考えてもらおうか」
「もう……」
手を差し伸べると満更でもなさそうに握る星野。
二人並ぶようにして、愛菜さんたちが待つところまで歩いて向かった。
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