『健太郎さん』 異物がいたほうが成り立っていた秩序
家族に入り込んだ異物。
とある一軒家の一家は、健太郎さんという人物を住まわせていた。
健太郎さんは家族の呼びかけにも応じず、食べ方も汚らしい。
食事をした後もソファーで動かない。
彼の正体がわかったとき、家族の秘密が明かされる。
異物がいたほうが安定していたという、歪な家族模様を描いた作品。
あるとき、妻が個展を開いた翌日。自分が書いた絵がシンクに破り捨てられていることがあった。
同じ頃、夫の大事な資料も同様に破られていた。
瞬時に二人は、子供のせいにしていた。
実際は健太郎さんがやっていると知っていても、そうするしかない。
だが、不穏な流れは事前に告知されていたのである。
娘が描いた絵に、両親はまったく反応を見せなかったのだ。
この家族は、重大な事実を秘めており、そのせいで家族が協力関係にあった。
とはいえ、彼がいなくても家庭は冷え切っていたであろうという場面がところどころに散りばめられている。
健太郎さんがいることで、ボロボロになっていく家族関係。
だが、健太郎さんがいなければ、家族はもっと悲惨な結果になっていたという皮肉がこもっている。
いわゆる「イヤミス」とも「胸糞」ともいえない、「不穏」と形容するジャンルの作品だ。
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