『神々の山嶺(いただき)』 古いガジェット好きも楽しめる作品
風景写真雑誌の記者である主人公は、取材先のネパールで古いカメラを買わないかと交渉される。
なんでも、登山家ジョージ・マロリーがエベレスト登頂に成功したかどうかの記録が入っているという。
断った直後、路地裏でさっきの男が日本人男性にカメラを奪われる現場に遭遇。
指が二本なくなっている特徴から、この日本人が失踪した登山家の羽生丈二だと判明した。
羽生はクライミングの最難関の一つとされる、「エベレスト南西壁単独無酸素登頂」を目指している可能性が出た。
マロリーの真相を探るため、彼は羽生を探す取材へ向かう。
エベレスト登頂の歴史が早まるかもしれないという興味をそそりつつ、人がどうして山攻めをやめられないのかを、問いかける作品。
登山家羽生は会社とも揉めて、パートナーにも冷たく、恋人の弟を死なせてでも、山を捨てられなかった。
ライバルの存在も大きく、羽生が失敗した三大危険なクライミングの一つ「グランドジョラス」を攻略・制覇する。
だがそのライバルは、世界で二番目に高い山「K2」で雪崩に巻き込まれて死ぬ。
俺が興味を引いたのは、「なぜ人は山に登るのか」という興味もあるが、「ヴェストポケットコダック」のジャンクっぷりだ。
ちょっと分厚い目なスマホサイズの板切れが、伸縮自在のカメラに早変わり。
ジョージ・マロリーがエベレストでポケットからこれを出して、うにょーんと本体を引き伸ばすのだ。
カメラに詳しいわけじゃないけど、こういうとんでもガジェット大好きねん。
この挙動をみただけでも、本作には価値がある。
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