水の神女と蛇神の呪い~娘役の神女は皇子殿下に可愛がられてます~
千賀春里
第1話 始まり
痛い……痛い……。
小さな背中を震わせて涙を流す子供がいた。
打たれた背中も、掴まれた腕も、どこもかしこ痛みが走る。
一際痛かったのは下腹部だ。
無理矢理身体を暴かれ、身勝手な欲望のままに蹂躙された小さな身体はようやく性の機能を得たばかりでまだまだ成熟していない。
少し動くだけで激痛が走り、子供はその痛みに耐えた。
仄暗い意識の中で、いっそのこと死んでしまった方が良いのではないのかとさえ思えた。
そんな時、決まって思い出すのは自分にしがみつく小さな妹の姿だ。
小さな妹にこんな酷いことはさせられない。
自分が守らなくては、そう思うから耐えられた。
しかし、痛みを伴う行為を繰り返される度に自分の運命を呪わずにはいられない。
憎い、憎い、憎い……。
心の中で何度呟いたか分からない。
それでも自分は耐えねばならない。
自分が逃げてしまえば、妹がどうなるか分からない。
逃げることができないならば、せめて滅んでしまえば良いのだと、心の中で何度も願った。
そして目の前で何かが弾けた。
気が付くと辺りは火の海で視界に入るものは全て赤い炎に飲み込まれていった。
ようやく自分は自由になれる。
この炎は自分に付けられた首輪を、鎖を焼き切り、欲深く生き汚い大人達を焼き払う浄化の炎だ。
『憎いか?』
業火の中から声がした。
子供は頷いた。
こんなものでは自分の憎しみは消し去ることはできない。
『何を望む?』
炎の中から問われた子供の答えは一つだけ。
自分達を虐げ、蔑み、自尊心と尊厳を奪った者達への『復讐』だ。
その答えに赤い炎はまるで微笑むように揺らめいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。