LET’S GO HOME
「おはよう。リリ。」
『おハようござイます!』
リリがうちにきて一週間がたった。
この一週間で僕はリリに身の回りのいろいろなことを教えた。
感情を教えると言っても、黙って突っ立っていて突然芽生えるものではないのだから、とにかく経験値を身につけて、それと同時に色々学んでいく、というのが僕の作戦だ。
朝は6時半起き。
起きたら洗面所に行って顔を洗ってタオルで拭く。
普通の人間だったらトイレ行ったりとか歯を磨いたりだとかやることがもっとあるけどリリは食事をしないからその点僕は経済的に助かっている。
本当は顔も洗わなくていいのだけれど、寝起きの頭を覚ますとき、冷水で顔を洗うと脳がリセットされて爽やかな気持ちになれる。
この高揚感を知ってほしかった。
洗面所で諸々を終わらせた後、リビングに行って朝食の準備をする。
とは言っても上記の通りリリは食事する必要がないから僕の分だけなのだけど。
準備ができたら今日のやることをリリに説明する。
「リリ。今日は僕の働いている研究所にいくよ。」
『峯村さんの働イてるトころ!峯村さンってドんな仕事しテるんデすか?』
「僕はリリみたいなロボットにプログラミングしていろいろなことを覚えさせたりするんだ。」
そう、僕は研究所でプログラマーとして働いている。
Pythonという専門言語を使ったり、心理学なんかを用いたりしてロボットたちにさまざまなことを教える。
こういう仕事をしていたことも、僕がリリの教育係に選ばれた理由の一つだろう。
『うーんよクわかラなイけど、おもしロそう!でも、どうしテそこニ私が行くンですか?』
「今日はリリのメンテナンスに行くんだ」
『メンテナンス…ですか?それってどんなことするんですか?』
心配そうな顔をしている。
人型ロボットは無感情のロボットに無理やり人間の感情を入れて構成されている。
だが、感情とは本当に膨大で無感情のロボットは一気にはそれを読み込めない。
浅い小さい容器に大量の水を入れてしまったらこぼれてしまうのと同じように。
だからこそ、メンテナンスの必要があるのだ。
この一週間でリリは僕との生活を通していろいろなことを学んだ。
そこで、今までに備わっていた感情の多くもアップデートできた…はずだ。
それを研究所で検査し、リリの脳に完全に吸い込ませるのだ。
「大丈夫。怖がるようなことはしないよ。リリがきちんと生活できているかどうかを見てもらうだけだからさ。」
『なら、安心です!』
「じゃあ、行こうか。」
君が生まれた家に。
End Earth 黎 @O10mchreto
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。End Earth の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます