UNCERTAIN.

「知っていると思うけど、僕も君に自己紹介をしようと思う。」

『ハい!よろしクお願いしマす!私も峯村さンのこともっトよく知りたイです!』


僕はまず、リリに自分のことをよく知ってもらおうと考えた。

リリを派遣する目的は感情を与えることなのだから、まずは親密度をあげよう。


「改めまして、僕の名前はミネムラレイ。峯村黎と書きます。僕は君のことを作った研究所の研究員で、これから君と生活して、君にいろいろなことを教えてあげられたらなって思ってます。わからないこととか、不思議に思ったりすることがあったらなんでも聞いてください。」


『はい!よろしクお願いしマす!ところで峯村さン。なゼ私はあなタの元に連れラれたのでシょうか。』


「人間には感情と言って物事や対象のものに対っsて人間が抱く気持ちがあるんだけどね、君はそれが少しだけ欠けてるんだ。それを僕と一緒に少しずつ補っていくために、僕の元へ来たんだよ。」


『カンジョウ…ですか。』


『それっテ無いとダメナんでスか?』


僕は少し戸惑った。

人間は感情があることによって人の痛みが分かったり、人間関係を良好に保ったりできるわけだけど、感情はときに凶器にもなり得る。だから犯罪は無くなら無いのだ。

けれど僕は___


「感情があるとね、人は豊かな気持ちになれるんだ。他人を無駄に傷つけたり、見下されたり。そういうことをするのってバカらしいと思わない?君にはまだ少し難しいかもしれないね。でも僕は君にも理解できる日がくると信じている。」


『私にハ少しよクわかラないでス。でモ、私カンジョウのこトもっとよく知りタいです!』


リリが感情を知ることに意欲を見せてくれた。一歩前進だ。






少しづつ、リリに“人間”を知ってほしい。

ときに美しく、ときには醜く、つまらない人間というものを。


「ねえ、リリ。君は世界をどう思う?」


『トても綺麗で、美シいです。皆楽しそウだし、私、この世界二生まレてよかったナって思います!』


思わず僕は眉を顰めた。

僕にはそんなに輝かしくは映らないから。

期待するなんて馬鹿らしい。


だけど…


「そうだね、綺麗だね。」


形のない不確かなものが必ずある。

それをどうにか、教えてあげられたら_____







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る