HELLO.
「峯村さん、お届け物です」
「ご苦労様です。」
アパートのドアギリギリの大きさの巨大な段ボール。
中身はもちろん分かっている。
「ちょ、これどこから開けるんだよ…」
試行錯誤してようやく箱を取り出せた。
説明書を読む。
そう、何を隠そう僕の部屋に届いたこれは世界初の感情を持ったAIロボット、「リリ」。
400万人以上もの応募があったリリの派遣先は僕、峯村黎の家だった。
そして僕は、リリを制作した研究所の研究員の一員だ。
応募した理由は単純で、ただ単にリリに興味があったから。
昔からロボットとか、そういう新しい技術が詰まったものに興味があって、そのままあの研究所に入り、そこでできたのがリリ。
初めて見た時は本当に驚いた。
ロボットとは本来『個体』であり、会話をするにしても人間同士の会話とは異なり、一定のラインまでしか話せないものだったから。
リリは違った。
本当に普通の人間のようにしか見えなかった。
まず見た目だ。男とも女とも言えない中性的な見た目で、とても整っている。
そして何よりも従来と違うのは、その喋り方の物腰の柔らかさだ。
所作は美しいが、美しすぎるわけではなく、ところどころにガサツな一面があるのだ。
例えば、今までのロボットは部屋の掃除をするとき、まず間違いなくちり一つ落ちていない、美しい部屋に仕上げるだろうが、リリは違う。
塵取りにおおまかに片付けたら後の見えるかどうかギリギリぐらいの小さな塵をサアッっと何もなかったかのように払い、研究員がそれを叱るとえへっとバレっちゃったかなんて言って誤魔化すのだ。
僕はその様子を見て衝撃を受けた。この子についてもっと知りたい。
そんな事を考えていたら、例の募集が始まったのだった。
そして見事、400万分の1を見事引き当てたのだった_____
ピピピピ…
ファン…
『んぅ…ふわぁ…ん。ほわぁ!!!』
『初メまして!リリです!これかラよろしくお願イします!ミネムラさん!』
リリが目覚めたようだ。
研究員によってもう僕の情報はある程度リリの脳内に仕込まれているらしい。
さあ、これからリリとの毎日が始まる。
「よろしく。リリ。」
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