第8話

第八区画にいたラータム人たちが失った四肢や病を完治させたことで、ラータム人は実質いなくなってしまった。


これから彼らはどうなるのか…冷静に考えても、すぐ復帰できるとも思えないが、しかしもはや見た目では判別ができないだろう。


私が第八区画を後にするとき、フードをかぶった白髪の少女がふたり、くるくると踊りながら笑いかけてきた。


「私たちの兄弟を」

「助けてくれてありがとう」


よく見れば、フードに隠されてわからなかったが、少女たちの頭は繋がっているようだった。

蒸気魔術の弊害というやつか。


「どういたしまして」


私が微笑み返すと、少女たちは再びくるくると踊るようにどこかへ去っていった。


顔立ちが整って、身なりもしっかりしていた子たちである。

きっと彼女たちには帰る家があるのだろう。


私はもっとこの街のビューティを見つけようと、第七区画、第六区画へと足を進めていった。


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