4-5
ミツオは、ましろとシルフ"ランスロット"の会話を聞いて苛立った。
「武器は使うなだぁ!?舐めてんじゃねぇぞ!!」
同じように会話を聞いていたシルフ"エルドラード"。だが、その前の会話を知らないので、困惑してしまう。
「オイ、ミツオ。話が違うじゃねぇか。武器なしでやんのかよ?お遊戯でもやろうってか!?ああん!!?」
「い、いや違う。エルドラードちゃん、武器なしつってんのは向こうだけだ。俺たちは舐められてんだよ!!」
「舐め、・・・なんでだよ!!オメェが舐められてんのはいつものことだけどよぉ!?オレ様が舐められるってのはおかしいだろうが!!テメェがカスだから、俺様まで舐められてんじゃねぇのか!?ああん!?」
「だから、いっつも言ってんだろうが!!マスターの俺に噛みついてんじゃねぇ!!あともうちょっと言葉が・・・、ちゃんとしろ!!」
「ちゃんとってなんだ!?オメェ、オレ様のカードに毎日毎日"シルフちゃんシルフちゃん"って、話しかけてんの知ってんだぞ!?」
「ちょ、オマエ!!な、ななななな、なに、言ってんだ!?テキトー言うにしても、俺をカワイイ感じにするんじゃねぇ!!」
「可愛いなんて一言も言ってねぇだろうが、ボケェ!!臭いんだよ、カス!!」
ミツオとエルドラードが言い争いをしていると、ましろが冷めた表情で口を開く。
「・・・もうそろそろ、良いかな?その・・・、ごめん。漫才とかそういうの、ボクはあまり詳しく無いんだ。だから、キミらの言っていることがよく分からないんだよ。でも、とりあえず仲が良いのは分かったよ。楽しそうだね。」
「「・・・。」」
ましろのセリフに絶句するミツオとエルドラード。
「オイ、ミツオ。コイツ、なんだ。すげぇイラつくな。とりあえずオマエ、コイツぶん殴れ。」
「エルドラードちゃん、そのシーンはもう終わったんだ。オマエが、あいつのシルフぶっ飛ばせば話が終わるんだよ。」
「・・・なんだテメェ?あっさり負けてんじゃねぇぞぉ、カスが!!?」
「ま、負けてねぇし!!」
「ったく、しょうがねぇなぁ。オレ様がケツ拭いてやるぜ。ホントてめぇは、ご主人様に家来の尻拭いばっかさせやがってよぉ、なぁミツオぉ!!?」
「なっ!?しゅ、主人は俺の方だろう!?」
ましろは、再び冷静に苦言を呈す。
「それ、もういいかな?終わりで。・・・早く終わらそうよ。」
エルドラードはましろに向かって叫ぶ。
「テメェ、吠え面かかせてやっからよぉ!?テメェのその澄ました顔のクソシルフをグチャみそにしてやんよぉ!!?・・・オラァ!!ミツオぉ!!さっさとギガント化させろぉ!!一瞬でぶっ殺してやっからよぉ!!!」
*
すでにギガント化したエルドラードとランスロット。
2体ともビルから上半身だけが見えていた。路地裏から大通りに出ると、人通りはまばらだった。ましろを睨みつけるミツオ。その様子をトヲルと紅緋、アナトと釘姫が見守っていた。
ランスロットは構えた。そして、エルドラードに直接語りかける。
「さぁ、いつでも来なさい。」
「ハッ!本当に武器も持ってないんだな。どこまでも舐めくさりやがって。」
エルドラードのギガントは、全身黄金色の全身鎧を装備していた。
派手な装飾の鎧で、かなりの重量物に見える。その肩には、胴体ほどの太さの巨大なハンマーを担いでいた。それを片手で軽々と振り回して見せたことから、恐らくはSTR重視のセッティングだと
それに対し、ランスロットは全身真っ白な鎧を身に纏う。それは比較的軽装な装備であり、機動力を重視したものだった。その上、武器も所持していない。
「いつでもいいんだな?」
エルドラードはニヤリと笑う。そして、エルドラードはハンマーを振り上げる。
「ええ、どうぞ。」
それを迎撃しようと、ランスロットは構え維持する。ランスロットもまた、ましろ直伝の体術を使うのだ。そのハンマーを素手でいなし、ふわりと羽布団のように転がせばいい。それは彼女にとって、造作もないことだった。
そして、エルドラードのハンマーは振り下ろされる。・・・だが、その軌道は途中で急に曲がる。
「・・・まぁ、狙うのはオマエじゃねぇけどなぁ!!?」
エルドラードが狙ったのは、ましろだった。
「死ねぇ!!クソガキがぁ!!」
「よし!!いけぇ!!ぶっ殺せ!!」
ミツオも叫んだ。
ギガント戦では、マスターは一撃即死。その時点で勝敗が決してしまう。エルドラードがそうすると読んで、ミツオは予めましろから少し距離をとっていた。
だが、それは未遂に終わる。
ランスロットは素早い足捌きで、エルドラードの間合いに入る。そして、打ち下ろされるハンマーをいなし、軌道を変えてしまった。
だが、そのハンマーはそのままミツオの方へ。泣き叫ぶミツオ。
「ぬあああああああ!!・・・って、あれ?」
だが、それはミツオにヒットしない。その寸前で、再びランスロットが軌道を逸らしたのだ。ランスロットは再び元の構えに戻った。
「こんなので決してもつまらないでしょう?素手で圧倒するようにと、マスターからのご命令です。マスター殺しなんて終わり方、私は認めませんよ。」
「ぐぐぐぐ・・・、テメェ。余裕ぶっこいてんじゃねぇぞぉ!!?」
だがその後、すぐに勝敗は決した。
一瞬だった。次のハンマーの一撃を勢いのままいなされ、エルドラードは派手に投げ飛ばされてしまった。そして、激しく地面に打ちつけられ、そのまま腕を極められる。結局、身動きひとつ取れない状態になってしまった。
「クソがぁああああああああああああ!!」
エルドラードは、ねじ伏せられたまま叫ぶ。
「勝負ついたね。どうかな?文句ないよね?」
ましろは、ミツオにニッコリと微笑んだ。
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