第54話 燃えるミミズとの戦い
翌日
異世界・エルドラド領域
ネコナたちに心配されながらレンさん含む13人の戦士と俺とぷるんくんは燃えるミミズがいるところへと向かった。
俺は開いた口が塞がらなかった。
砂漠の中に鎮座する燃えるミミズ。
このミミズは一部は地面に埋まっていて、他のところは天に登ろうとする龍のごとくそそり立っている。
100メートルを悠に超える巨体はあたかもかの有名の地震が題材のアニメ映画に出てくるあれに似ている。
一つ違うところがあるとすれば巨大なミミズはメラメラと燃え盛っている。
そして周辺には昨日ネコナを攻撃したハイエナっぽいモンスターや野良犬のようなモンスターが群がって俺たちを威嚇しているところである。
「ブオオオオオオ!!!!!」
巨大な燃えるミミズは大声で叫んだ。
「めっちゃ強そう……ダンジョンにいるモンスターとは違う感じだな」
俺は早速鑑定を使ってみることにした。
ーーーー
名前:燃えるミミズ
説明:異世界の魔境に住む上位モンスター。とても強い火属性の持ち主で周りの水分を吸収することによって砂漠化をもたらす。体の中にあるコアを壊さないと無限に再生する。肉は食べられる。強力な滋養強壮の効果がある。肉は栄養豊富である
レベル:595
属性:火属性、土属性
スキル:水分吸収、マグマ、自己修復
ーーーー
これまで会ってきモンスターの中で最もレベルが高い。
これで上級モンスターなら最上級あたりはぷるんくんに匹敵する可能性すらあるんだろう。
「我々は誇り高きエルドラドの戦士だ!もう逃げ場はない。死に物狂いで取り掛かれ!!!」
レンさんがそう叫ぶと、自分の手に魔力を流し込む。
すると、レンさんの手は巨大な猫の手になってしまった。
みんなはそんな勇敢なレンさんの姿を見て、それぞれ自分の手を巨大な猫の手にした。
そして一斉に燃えるミミズへと突進。
「はああああああ!!!」
レンさんはチーターを彷彿とさせる凄まじいスピードで走り、その巨大な猫の手の爪を使い、ミミズの体を切断する。
他の猫族の人たちもレンさんに従い、燃え盛るミミズに切り込みを入れている。
「一気に攻めるぞ!じゃないと圧倒的に不利になる!周りのモンスターを気にする余裕はないんだ!こいつとの戦闘から生き延びたお前らは分かるはずだあああ!!」
「「「おおおお!!」」」
500人を超える猫族が53になった理由。
それは干ばつによる食糧危機と水不足によるところも多いが、度重なる燃えるミミズとの戦いによるところも多いとレンさんは教えてくれた。
この人たちは、その地獄のような戦闘から生き延びた本物たち。
ゆえに表情に恐怖といった感情はなく、自分達の領域、家族を守りたいという気持ちだけが見え隠れする。
逃げ場のないネズミが猫を追い払うように、大きさでは比較することもできない小さな猫族の戦士たちはレンさんに従い燃えるミミズの上に登りながら攻撃を続けている。
ミミズの表面は燃えているのに、お構いなしの戦士たち。
俺はそんな彼らを見ながらぷるんくんに言う。
「ぷるんくん、あの人たちに防御膜を張ってくれ。俺たちはまずレンさんたちがちゃんと戦えるようにサポートだ!」
「ぷりゅん!」
俺の言葉を聞いたぷるんくんは素早く身を揺らし、レンさんたちに防御膜をかけてくれた。
「おお!なんか足が痛くない!」
「全然暑さを感じないぜ!」
「みろ!タイシ様とぷるん様が魔法をかけてくれたんだ!よし!張り切っていこうぜ!」
と、戦士たちは声を張り上げミミズを切ってゆく。
寸断されるミミズ。
落ちた肉は熱い火によってすぐに灰になってしまう。
本当によく戦っている。
死ぬ気で戦うことがなんなのか、彼らを姿を見ればよくわかる。
だけど、
中のコアを潰さないとやつの体は再生する。
俺の考えを証明するように、切断されたミミズの体からはまた新たな体が生え、最初と同じ状態になった。
「ぷりゅ……」
ぷるんくんはそんな燃えるミミズを目を細めて観察する。
「また再生しやがった!」
「しぶといやつめ」
「今度こそ倒す!!」
戦士たちの言葉から察するに、燃えるミミズを倒す方法をわかってないみたい。
俺だって、鑑定を使う前までにはやつに関する情報を知らなかった。
なので、俺はレンさんに向かって大声で言う。
「レンさん!!ミミズの中にあるコアを潰さないと、やつは自己修復で無限に再生しますよ!」
「っ!!タイシ様……本当ですか?」
「はい!」
「なるほど……そういうことだったのか……」
レンさんは頭を抱える。
どうやら初耳のようだ。
つまり、無限に再生する燃えるミミズの弱点を知らずにこれまでずっとこんな無謀な戦いを挑んできたというのか。
戸惑う戦士たち。
ミミズはそんな彼らを見て、巨大な体を鞭のように動かして、自分の体に引っ付いてい戦士たちを振り落とした。
戦士たちは悲鳴をあげて地面に墜落する。
だけど、ぷるんくんがかけてくれた防御幕のおかげで傷は負っていない。
痛みを感じないのが不思議なのか、戦士たちは俺たちに視線を向けてありがとうと言わんばかりに頭を下げた。
だけど、このままだと埒が明かない。
もっと根本的なところを解決しないといけない。
そんなことを思っているとぷるんくんが俺の足を突いてきた。
「ぷるんくん?」
「ぷる!ぷるぷる!ぶるうううう」
ぷるんくんは手を生えさせて、戦士たちを指差した。
そして両手で『X』を作る。
「ぷるんくん……やっぱりあのレンさんたちの攻撃だと勝てないのか?」
「ぷるん!」
ぷるんくんは頷いた。
俺はレンさんを鑑定してみることにする。
ーーーー
名前:レン
種族:猫族
レベル:302
属性:土属性
スキル:凶暴な猫の手、ハイスピード、一撃必殺
HP: 53,000/54,000
MP: 3,000/3,200
ーーーー
「なるほど……これだとぷるんくんの防御膜があっても勝てない……むしろレベルがあんなに離れているのに、生きていること自体が奇跡みたいなもんだよ」
「ぷるるるん!」
圧倒的力に対しても決して屈することなく対抗するレンさん。
俺も彼を見習いたい。
「ぷるんくん、やつを倒せるか?」
「ぷりゅん!」
ぷるんくんは軍人のように敬礼する。
それから
「ぷるる!!ぷるん!ぷりゅ!ぷるぷる!!ぷりゅん!!」
「え?」
「ぷりゅりゅ!!ぷりゅん!ぷるぷる!!ぷるるん!」
ぷるんくんは何やら俺に訴えかけているのだが、俺はぷるん語が理解できない。
「ぷるんくん……何を言っているのかわからない……」
「ぷりゅっ!」
ぷるんくんは目を大きく開けたのち、急に落ち込んだ。
「うう……俺が上級テイムスキルを覚えたら……」
と、頭を抱えていると、
『スキルううう……』
「え?」
頭の中で謎の声が響く。
『スキルううううう……使うから守ってええええええ』
なぜかとても聞き覚えのある声だ。
一体誰だろう。
うん……なんか紫色の髪をした人のような……
いや、単なる幻聴か。
「スキル……守る……」
「ぷるん!!」
俺が口にした単語を聞いて敏感に反応するぷるんくん。
「ぷるんくんがスキルを使う間に、俺がぷるんくんを守ればいいか?」
「んん!!」
「おおお……わかった!!」
どうやら俺はぷるんくんが伝えようとした内容を理解したようだ。
俺は早速燃えるミミズとモンスターたちと対峙したいるレンさんに声をかける。
「レンさん!時間を稼いでください!ぷるんくんが燃えるミミズを倒すためのスキルを使うには時間がかかりますよ!」
「……わかりました!あの災いを倒すためなら、この身燃やして協力しますぞ!はあっ!」
レンさんが再び燃えるミミズのところへ突っ込むと、他の戦士たちも続く。
戦士13人のうち10人はミミズへ、残り3人は他のモンスターの退治に回っていた。
その様子を見たぷるんくんは目をカット見開いて何やら唱える。
「ぷる……ぷるるる……」
すると、ぷるんくんの体は青く光り始める。
「冷たい……」
そう。
ぷるんくんの体からは凄まじい冷気が放たれている。
ぷるんくんの放つ冷気に気がついたらしいミミズがぷるんくんを睨みながら溶岩を吹こうとするが、
「させるか!!!」
ミミズの頭にレンさんの強力な猫パンチが炸裂する。
ミミズの方はレンさんたちのおかげでなんとかなっているのだが、
肝心なのは
「ぐうううう……」
「ぐるるるる……」
またハイエナっぽいモンスター数匹が俺とぷるんくんの前に現れた。
他の戦士たちは戦いに夢中でこっちを気にする余裕はなさそうだ。
ぷるんくんは相変わらずスキルを使うために目を瞑っている。
つまり……
「俺がやるしかない」
とう呟いて俺は収納ボックスから、昨日ぷるんくんからもらったミスリルの剣を取り出した。
それを両手で握り、ハイエナっぽいモンスターを睨む。
ずっとぷるんくんに守られてきた俺だが、今度は俺がぷるんくんを守る。
守り守られ、助け助けられ。
それが俺たちの関係。
葛西の時は言葉だけしか言えなかったが、今度は
「行動で示す」
追記
次回はぷるんくんの格好良くて可愛いスキルが見れちゃうかも!?
★と♡お願いします!
気軽にコメントも!
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