第二ノ怪「もぞもぞ」

注意:残酷表現があります。


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十五歳になる男爵の公女が、一人で森にある花畑で花を摘んでいた。

すると、がささっ。草むらが動いた。

「何かいるのかしら?」

彼女がドレスのすそを持ち上げながら、

草むらに近づいてみると、白くてふわふわしたものが。もぞもぞと動いていた。

「何でしょう。これは?」



それは、ふさふさの毛皮で覆われており、うさぎのようにもみえた。

だが、肝心の頭がなく手足もない。

毛玉がもぞもぞと動いているのだ。


公女は、得体のしれないものにも、かかわらず。

興味本位で、触りたい衝動にかられた。


公女が手を伸ばして、それを触ろうとした。瞬間。

それは、牙をむき彼女に襲い掛かった。


暗転……。



夜になっても帰って来ない。娘を心配した男爵は、執事達を伴ってあちこち探し回った。

やがて、男爵達は公女が良く来ている森にやって来た。

花が咲き乱れる花畑まで来た時、男爵は絶句し、絶叫した。


血にまみれた、肉の塊が血を流しながら、ピクピクと痙攣していたのである。

男爵は気がついた。それは、我が娘だったものだと。花畑は、公女の血液で真っ赤に染まっていた。

「ああ、何てことだ!誰がこんな事を!!」


男爵は、娘の塊を抱き号泣した。

男爵達の後ろでもぞもぞと、うごめく白いものがいた。それは確実に獲物をとらえた。

ぐわっ! 一瞬にして、男爵と執事達は、白いものに喰われた。

彼らを丸のみにした白いものは消化をしながらまた、もぞもぞと、動き獲物を探し始めた。


――もぞ……。もぞもぞ。もぞもぞ、もぞもぞもぞ。――

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