第11話 マイカ・アウローラは『ジャック』の依頼を受けてから迷宮に向かう

今、私の目の前に選択肢が表示されている。

その選択肢の内容は……。


【選択肢】提示された依頼を受ける(この選択肢を選んだ後、依頼選択)/提示された依頼を受けない


依頼を受けるなら、早めに『提示された依頼を受ける(この選択肢を選んだ後、依頼選択)』を選ばないとね。

選択肢が表示されてから一定時間が過ぎると、この場合『何もしない』になっちゃう。

『何もしない』の場合は選択肢『提示された依頼を受けない』と同じ流れになるんだけど、選択肢『提示された依頼を受けない』と違う点が一つある。


私は【選択肢】『提示された依頼を受ける(この選択肢を選んだ後、依頼選択)』を選んだ。


「依頼を受けるのですね。では、どちらの依頼にしましょう?」


ギルド職員NPCがにこやかに問いかけて来る。また、目の前に選択肢が現れた。


【選択肢】マリエの依頼を受ける/ジャックの依頼を受ける


どうしようかな。『マリエ』は女性NPCで『ジャック』は男性NPCだと思う。

乙女ゲーマーとしては『ジャック』を選ぶべきだろうか?

少し迷って、私は『ジャックの依頼を受ける』を選択した。


「わかりました。では明日の朝8:00にこちらのギルド受付に来てください。Dランクギルド員のジャック・マロウと引き合わせます」


私がギルド職員NPCの言葉に肯くと、彼は綺麗な笑顔を返してくれた。嬉しい。友好度、上がったかな。

作ってもらったギルドカードをギルド職員NPCに渡さずに手続きが進むのは、ゲームだからかもしれない。


「他にご用件はありますか?」


ギルド職員NPCに問いかけられた私は首を横に振る。


「それでは、また何かありましたらお訪ねください。ギルドカードを迷宮入り口にある探索者ギルド派出所に提示すると迷宮に入ることができます。ですが、迷宮探索は基本的に自己責任において行っていただくことになりますので、十分にご注意ください」


私はギルド職員NPCに肯き、彼に一礼してカウンターから離れた。

一つ依頼を受けたから、次は迷宮に行ってみようかな。入り口から少し覗くくらいなら、死ぬこともないと思う。たぶん。


探索者ギルドを出た私は、マップを見ながら迷宮に到着した。

看板だけ見てもたどり着けたと思うけど、せっかくマップ機能があるんだから使わないとね。

マップ機能を使う私とは逆に、マップ機能を使わずに迷子を楽しむスタイルのプレイヤーもいた。

迷子プレイヤーのプレイ動画を見てるのも楽しかったなあ。

ファンタジーVRMMO『アウローラの錬金術師』は、基本的にゲーム部分は一人で楽しむ作品だけど、たまに、多人数型のファンタジーVRMMOだったらいいのにと思うこともある。

ファンタジーで綺麗な街並みとか、イケメンNPCに一緒にはしゃいでくれる友達がいたら面白かったかも。


でも、一人で気ままに、好きなようにプレイできる一人用ゲームも楽しい。

一人用ゲームは、私だけが主役だから、そういうのもいいと思う。


「迷宮に入る前にこちらでギルドカードの提示をお願いしまーすっ」


頭に響くアニメ声のような、少女の声が聞こえる。

私は声の主が言う通り、彼女がいる探索者ギルド派出所に向かった。

少女の呼びかけに足を止めるNPCもいれば、無視して迷宮に向かうNPCもいる。ギルドカードの提示は任意なの?

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