第18話 生霊

なんであの娘がナンバー1なんだよ!


接客だってあたしの方がうまいはず!


くそー!引き摺り降ろしてやる!


蹴落としてやる!!



女は毎月対した努力もしないくせに、自分より人気のある店の娘を妬み恨んだ…。


妬み恨みの女の下卑た気持ちは、女の身体から抜け出して、見えない手となり、店の娘を傷つけた…。


一度は足を挫かせて、二度目は足を引っ張り転ばさせ、胸をしたたかにカウンターに打ち付かせ、仕事を休ませて娘を泣かせた…。



ざまぁーみろ!


女は怪我をした娘を嘲笑った…。


あいつの客を盗ってやろう…。


女は娘の客へ連絡をする…。


客と会う約束を、渋る客へ強引に取り付けた…。


客と会うと女は娘の陰口、悪口を並べ喋る…。


「いい気味よ…」


黙って聞いている客の男は嫌な顔を隠さない…。


我慢に耐えられず、客の男は女に言った…。


「お前とあの娘の違いはな…お前は仕事をナメているが、あの娘は仕事に真摯に向き合っている」


「そんなの知らないわよ…あたしのお客になったら、何でも好きな事させてあげるよ?あの娘がまた復帰したら、また、呪ってやるし…」


「ふざけるな!お前みたいなカスの客になるか!俺はあの娘を愛しているんだ!確信した!やはり、元凶はお前だな!!」



男は立ち上がり、女の首を絞めた…。


娘の白い手が生霊となり、男の手に重なり一緒に女の首を絞めたのが、薄れゆく女の両目に映って消えた…。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る