第6話 鏡
仕事に疲れ、自宅へ戻る…。
どうせひとり暮らしだからと、下着姿で化粧を落とす…。
鏡台は、祖母からもらった形見分け…。
前に座って化粧を落とす…。
片目を閉じて、コットンで拭う…。
素顔に戻って立ち上がろうと、腰を浮かせたその時に、鏡の中に姿が見える…。
私の横に子供が立っている…。
蒼白い顔で上目遣いで立っている…。
私は驚き振り返る…。
しかしそこには誰もいない…。
気のせいだろうと鏡に目を戻すとまた、子供がひとり立っていた…。
上目遣いで私を見上げ、蒼白い顔に何故か唇だけが真っ赤に見えて、恨めしそうに立っていた…。
私は恐怖で後退り、頭を抱えてうずくまる…。
そして、その子は、鏡の中から、小さな両手を握りしめ、鏡を中からドンと叩く…。
両手のこぶしでドンドン叩く…。
私は壁まで後退り、強く壁に、身をぶつけると壁に掛かっていた鏡が落ちた…。
鏡台の真正面に偶然落ちた壁掛け鏡…。
鏡台の中の子供が消えて、壁掛け鏡の中から這い出す…。
「やっと、合わせ鏡になった…さぁ鏡の中に入ろうね…」
その子は私の首を掴み、鏡の中へ引き摺った…。
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