第3話

新大久保駅には早く着きすぎた。

この間、直ぐ会う約束から、ちょっと家に帰らなきゃならなくなったと、メールが来てキャンセルになった。

その後も何度かメールのやり取りをして、やっと今日会う事になった。

REMBRANDT CABINのカフェに入って待つ事にした。

時間で場所を借りられる空間に、外人が多く、充電をしながら、フリードリンクを飲んでのんびりしている。

俺は、窓の近くのソファーに座り外を眺めた。最近出来た新宿のビルが空高く氷の城の様に立っていた。


サイトの写真のスタイルが気に入っていて、何度も見てしまう。

見ると足跡がついてバレてしまうので、後からはスクショしてみる様にした。

それまで俺の足跡が日に何十回もあったから、もしかして、メールが来なくなるのを心配したが、そんな事もなく話は弾んだ。

既婚者だったから、旦那が居なくなってから朝のメールは10時過ぎに毎日来た。

とても育ちが良い感じの話し方、いやメールで俺はドキドキした。

旦那とは、学生時代からの同級生でなんとなく結婚したと言っていた。子供は旦那が嫌いで作っていないと言っていた。

エッチな事は、ほとんどしてなくて、特にここ5〜6年は全くしてないらしい。

恋愛もそいつが、初めてらしく話せば話すほど、かわいい人だった。

ブッブーッと携帯のバイブが鳴った。

メールだ、俺はドキドキしながらサイトを開いた。

「新大久保駅に着きました。慎二さんはどちらですか?」

早く着きすぎた事を隠す様に、

「ちょっと仕事を仕上げたかったので、早めに来てカフェに居ました。」と返した。

由紀美は

「じゃあ、入り口で待ってますね。私今日は、紺のタイトなワンピースに白のカーディガンを着てます。」

「急いで、向かいます。俺は、黒いポロシャツに黒のジーンズですよ!」

俺は、他のカフェから向かうふりをした。

会計を済ませて、エレベーターを降りた。

入り口の柱の所には、写真のままの由紀美さんが立っていた。

それに、まさか俺がこのビルから出て来るとは思ってなかったのか、携帯を見ながらこちらを向いていた。

(すっげーイケてる)

俺は心の中で叫びながら、由紀美さんの前に立った。






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