第2話

「お疲れ様でしたー。」

ファミレスのバイトが終わって、事務所の更衣室で着替えるかなえだった。

更衣室といっても、事務所の端っこにカーテンを引いただけの場所だった。女の子の着替えの時は、事務所に必ずと言っていいほど、店長や、男性スタッフ、休憩の人達がいる。でも、いつも、かなえは気にせずに素早く着替えていた。

制服のエプロンはさっき茶碗洗いを大量にしたから、びしょびしょに濡れていた。

その日も急いで、エプロンを取り、ブラウスのボタンを外していた時だった。

シャーっと、カーテンが開いたのだ。

かなえは急いで胸を手で覆い後ろを向いてしゃがんだ。

そんな一瞬の時間がとても長い感じがして、事務所にいた男性全員が自分のブラジャーに釘付けになっていた。

カーテンを開けた主婦の今野さんは「あらー、かなえちゃんいたのね。」としらをきっている。

カーテンが閉まっているということは、誰かが着替えているということだから、普通は開けないのだが。

最近入ったかなえに、チヤホヤしている店長や男性達に嫉妬している今野は、わざとイジメるためにやったのだ。

事務所はシーンとして、直ぐに近くの店長が

カーテンを閉めて「さぁ、仕事仕事。」とホールにみんな出て行った。

今野は、「次、私着替えるから早くしてよね。」

シフトの交代時間ギリギリに来た今野は、かなえに言った。

立ちながら、タバコを吸って待ってるその女は、みんなに嫌われている。

店長も辞めて欲しいのだが、高校生と大学生の子供がいて、農家の長男の嫁に来ているが、農業だけでは、やっていけない事情もあり、もう、7年も働いているベテランだった。


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