第18話 実物しりとり前編

「あー、今の番組、凄く面白かったね」


 現在は金曜日の午後10時。

 明日は土曜日なので、俺の仕事はお休み。

 今までチャーちゃんと一緒に自宅でテレビのバラエティ番組を見ていました。


「そうですね、特に最後の実物しりとりが面白かったですね」


「うん、そうだよね、ヤッパリそうだよね、ホント、ボク達って気が合うよね〜。嬉しいな」


 番組内での、実物しりとりとは、出演者5人が大きな屋敷に集められて、しりとり開始。但し、しりとりが成立する物を5分以内に持ってこられなければ失格となり脱落。最後の一人になるまで繰り返す。同じ言葉、同じ道具の使用も失格。『ん』で終わっても失格。こんな感じのルールでした。


 タンスを無理矢理運んで来たのは凄く面白かったです。


「と言うわけで、ボク達も実物しりとりをやろうよ」


 それは一向に構わないのですが、時間的にそろそろムード作りに入りたかったのですが、チャーちゃんの希望を優先致しましょう。


「そうですね、実物しりとりを致しましょう」


「それでね、ルールを幾つか追加するね。

 ルールその1、『ん』で終わったら負け。

 ルールその2、同じ言葉を何回使ってもいい事。

 ルールその3、実物だけじゃなくって、概念でもいい事。

 ルールその4、制限時間は1分間以内にしりとりを成立させる事。このくらいかな。カーイ君からは何か追加ルールはある?」


「ん~~、特には無さそうですね。ただ、1時間経過しても決着が付かなければ引き分けに致しましょう」



 ルールその2、同じ言葉を何回使ってもいい事があるので、

 トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→トマト→∞(無限大)になる恐れがありますからね。  

 その為に時間を区切らせもらいました。


「うん、分かったよ。それじゃあ、ボクから始めるね」


 チャーちゃんは何故か上機嫌でニコニコしています。




 チャーちゃんは何でこんなにもニコニコしているのでしょうね、このゲームの必勝法でも思いついたのでしょうか?



 突然、チャーちゃんが抱きついて来ました。俺に視線を合わせて、こう言いました。


「好き」


 ああ、たしかに、この表現は好きをあらわしていますね。概念でもいいって言ったのはこの為ですね。

 

 さて、俺は何て返せば良いのでしょうか? 台所から、キウイフルーツを持ってくるのが、チャーちゃんが望む正解ではないでしょうから。ルールを読み解いて、チャーちゃんが俺に何を言わせたいのか考えないといけませんね。



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