第17話 なぞなぞ屋さん
「なぞなぞなぞなぞなーぞなぞ。
なぞなぞなぞなぞなーぞなぞ。
なぞがなぞをよび、なぞがなぞをよぶ。
なぞはなぞでなーぞなぞ。
なぞなぞなぞなぞ、なぞなぞなぞなぞ。
なぞなぞ屋さん登場だよ」
チャーちゃんが歌いながらやって来ました。
これはなぞなぞ屋さんのテーマソングですね。その時々で微妙に歌詞が違ったりするのですが。なぞなぞ屋さんはチャーちゃんとは別人物として取り扱うのがお約束です。久しぶりですね、なぞなぞ屋さんが登場するのは。さて、今日なぞなぞ屋さんが登場したのは何故でしょうね? 一、単なる思い付き。二、暇だったから。三、良問なぞなぞを思いついたもしくは仕入れて来た。四、その他。どれでしょうね? なぞなぞ開始前からなぞなぞが始まってますからね。ホントに刺激的で楽しい毎日です。
「カーイ君、久し振りだね。なぞなぞ屋さんだよ。元気にしてたかな?」
「なぞなぞ屋さん、お久しぶりです。はい、俺の事をとても大事にしてくれる方のお陰で元気に過ごせております」
目の前の人物、その人の事ですけども。
「それは良かったね。それじゃあ早速だけど、問題を出すよ、準備はいいかな」
脳内に、早押しボタンを出現させた。半球体で赤いボタンである。このイメージは昔のクイズ番組の影響だと思う。
「はい、いつでもどうぞ」
脳味噌フル回転の準備はできた。
「うん、じゃあ問題だよ。今、何問目?」
脳内早押しボタンを押すと同時に解答する。
「一問目」
「その答えで本当にいいのかな?」
「はい、この解答で良いです」
無言のなぞなぞ屋さんがこちらに近づいて来た。
座っている俺と、歩いて居るなぞなぞ屋さんの顔が近づいてキスしそうになるが、
(この人は、チャーちゃんじゃなくってなぞなぞ屋さんだ)と気が付いて頭部を左にそらした。
なぞなぞ屋さんは動きを止めて、床に座って発言をした。
「正解だよ。流石はカーイ君だね。褒めてあげるよ。でもこの後の問題が今日の本命の問題だからね。心して聞いてよ。それじゃあ今日の最終問題にして最難問の問題だよ」
前振りが物凄く怖いです。何が何でも正解しないといけませんね。
生唾を飲み込んで出題を待ちます。
「じゃあ問題だよ。シャワーを浴びる時の効果音はどんな音がするでしょうか?」
「シャワー」
脳内早押しボタンを押すよりも早く、解答が飛び出しました。
「その答えで本当にいいのかな?」
なぞなぞ屋さんの目から力が失われています。
「待ってください、もう少し考えます」
そう、本当に考えないと駄目だ。チャーちゃん(なぞなぞ屋さん)が残念に思ったのは何故なのかを考えないと。俺の解答があまりにも単純過ぎたから? それとも正解をノータイムで出されたから? それとも全く別な要因があるのでしょうか? 単純過ぎたとしたら、もう少し憐みのある目線になっている筈。ノータイム正解だったら驚きか、賞賛の目線でしょう。すると、解答自体が悪いのかも知れませんね。シャワーを浴びる時の効果音はシャワー。解答は合っていると思いますよ。大切なのは解答そのものではなく、解答にたどり着くまでの道筋が必要って事ですね。だとしたら、ここから導きだされる解答は。
「すみません、難問なので協力者を要請しても宜しいでしょうか? 先程話にも出ました、俺の事をとても大事にしてくれる方の知恵を借りたいのですけど」
「うん、良いよ。その大事な人を呼んでもいいよ」
なぞなぞ屋さんがとても嬉しそうに言いました。
成程、やっぱりこの考え方で合ってたんですね。
「ありがとうございます。チャーちゃん、助けて下さい」
「カーイ君、どうしたの?」
目の前の人物はなぞなぞ屋さんからチャーちゃんに変わりました。
「チャーちゃん、実は今難問に直面していまして、なぞなぞを一緒に解いてください。問題は、シャワーを浴びる時の効果音はどんな音がするでしょうか? なんですけども、正解が分かりますか?」
「そうだね、頭で考えても分からないから、実際にシャワーを浴びてみればいいと思うよ。だから一緒にシャワーを浴びよう」
そういう事ですよね。
四、その他。でした。
甘々な彼女とイチャイチャするだけの話 桃月兎 @momotukiusagi
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