第8話透明人間(後編)

「うゎー、今度は左の頬っぺたが何かにつつかれています。

 あー、まるで脚気検査を受けたみたいに、右足が勝手に動きました。

 にゃー、右耳を温かくて柔らかいもので挟み込まれています」

 これは気持ちが良いのですが。

 耳を執拗に舐められています。

 ちょっとどころか、凄く気持ち良いです。

「クスクスクス、今度はどんなイタズラをしちゃおうかな?」

「ムムム、やっぱり誰か居るみたいですね。誰か居ますか?」

 チャーちゃんは目は微笑んでいて、両手をご自身の口に当てていらしゃいます。とても可愛らしい仕草です。可愛い仕草コンテストがあれば優勝ですよ。それ以前にロリコンテストがあれば五年連続で優勝して、殿堂入りする位に可愛らしい存在ですけどね。

「では質問を変えます。急病人が出ました、お客様の中に透明人間の方がいらっしゃいましたら、ご協力をお願いいたします」

 飛行機内でありそうな言葉を選んでみました。

「はい、ボク透明人間です。あ、喋っちゃった。声を出したら居場所がばれちゃうね。失敗失敗」

 実際には少し前からずっと近くに居たのですけどね。

「イタズラ好きの透明人間を捕まえるとしましょう」

 両手を広げて、チャーちゃんの体を包み込んだ。

「可愛い声でしたから、きっと可愛い透明人間の女性なんでしょうね。目には目を歯には歯を、イタズラにはイタズラをしないといけませんね。ですが、相手が透明なので何処の部分に触れているのかは分からないかも知れませんね。取り敢えず手当たり次第に触ってみると致しましょう」

「わー、捕まったからイタズラされちゃうよー」

 先刻の言葉は嘘です、最初に胸を揉むのは決定しています。






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