第3話ブーン(後編)
「確認しますが、あなたは蚊ですか?」
「正解だブン。ブーン、ブーン、ブーン、ブーン、ボクは蚊だブン。人間の血を吸うんだブン」
こんなにも可愛らしくてキュートでプリティでラブリィな蚊は宇宙中を探しても他に見つからないでしょうね。先ず、蚊を演じるって発想が素晴らしいです。
「あー、なんて巨大な蚊なんでしょうか。このサイズの蚊に血を吸われてしまったのならば、アッと言う間に干からびてミイラになってしまいます。血を吸われるよりも前に叩き潰しておきましょう」
「待って待ってブン、ボクは人間の味方なんだブン」
先刻『人間の血を吸うんだブン』との発言がありましたが、無かった事にして話をすすめるべきですね。
「そうですか、それなら安心ですね。本人……本虫がそう言っているのならば、悪い蚊ではないのでしょう。あー、ホッとしました。ホッとしたら眠くなってしまいました。少し眠るとしましょうか」
あぐらをかいて座り、目を閉じた。
蚊を演じているのですから、疑似的に吸血をなさりたいのでしょうね。ですので座って瞼を閉じていた方が良さそうですから。
「ふっふっふっ、おバカさんですブン。人間の味方って言ったのは嘘だブン。色んな所からいーっぱい血を吸うんだブン」
目を閉じていると、左頬、鼻、右頬、首筋、額、左耳、右耳、頭頂部、後頭部、うなじ、順番に唇が押し当てられました。
薄目を開けて、チャーちゃんが眼前に居るのを確認。
両手を伸ばしてしっかりと捕まえました。
「嘘吐きの蚊を逃がしませんよ。たっぷりとお仕置きをしますからね」
「捕まっちゃったブン、どんなお仕置きをするんだブン?」
「そうですね、先ずは俺と同じ目に遭ってもらいます」
「あー、誰か助けてーブン」
チャーちゃんの嬉しそうな悲鳴が上がりました。
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