2-6・ 美少女になった蛙娘のミリアは神様と契約して聖女になるってよ!? ・2

蛙人族の結婚式は古沼でするのが習わしだという。

全ての古沼は、忍蛙神の古沼に繋がっていると言われていて、認められた蛙人族は忍蛙神から御神託を頂けたり、加護を貰えたりする場所らしい。

ルヴァは人間だけど、蛙人族の方式で結婚式をした。

白いドレスは不思議素材か魔法なのか、沼の中に入っても汚れなかった。

ルヴァの実家にも報告してあって、そちらでも披露宴をするとのこと。

幸せになって欲しい。


グロリアと師匠の結婚式は滞りなく進み、式の次の日。

この日にミリアは旅立つことになっていた。


私は結婚式にも参加した。

美人になった蛙人族に対して、町の獣人たちは驚きはしたものの、今までとまったく態度は変わらなかったようだ。

町に暮らす一部の人間たちもよろこんでくれたらしい。

うん、一部の人間はね…。


前もって許可を出し、準備万端支援したのに、いよいよというミリアの旅立ちの時が近づくにつれ寂しすぎて体調を崩し、前日倒れて床に伏せてしまった忍長とは、当然のように式でも会えなかった。


「シノビオサァ…」

残念!


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ミリアと、お付きの人は合わせて6人。


内2人は冒険者風イケメン蛙人族(忍者…侍風?)のスケノサブロウ、カクノサブロウ。


もう1人はクールビューティーなお姉さんくノ一の、ユミン。桃色のオーラが…いい匂いで…(三味線の中にきっと隠し刀が…)


もう1人は蛙族と懇意にしている商店の次男坊で、まるまる福福とした商人の猿人、ハッチさん(3枚目風だけど、縁起が良い顔してるな~)


そのお付きらしき大猿人がヒコザルさん。


(…なんかスゴい既視感がある集団だな…

っていうか、まだどこかに赤いくるくるする何かを飛ばす人が隠れていそうだ…)

あ。ミッケ!やっぱりいたわ~

(隠れてる一人を入れて7人御一行、だね)

(これで目的地につくまで同行するヒロイン役のおぼこい女子が現れれば完璧だね!)

(ん?私?私はちがうよ)


私はミリアのフードをツンツンして、決めていたお願いをする。


「ミリア、私、ミリアにたまに会いに行ってもいい?」


(いろんな場所に行ってみたいんだよね。データはあるけど…行ってみたい)

(ミリアたち御一行がいれば怖くないし、色々間違っても(?)安心だし!)


「まあ!もちのろんでゲス!

私たちは、ユーリカ様の忠実な信者…シモベ…でゲスから!!」


「あ、そういうのいらないです~」


またねっとりしそうだったので、即座に小さな結界バリアを張って遮っておく。

「うぅ、ユーリカ様がつれないでゲスぅ」


(よし、じゃぁ、どこにでもドア的なやつをまず個人に登録して…)

人に重なっちゃわないように、その周りに出す『扉』を作り、設定して、キープする。

「すぐにミリアのところに行けるように『登録』するから、ちょっと待ってね?」

私の魔力をミリアの魔力が繋がるように結んで…一ヶ所だけ。

…うーん、難しいな?

普通の転移魔法は場所がわかればできるけど、ミリアに結びつけなきゃいけないからね!

ミリアのがあんまりぐにゃぐにゃには伸びないのか…

ぁ、種みたいに植えればいいか?

ミリアの中の奥の方に私の魔力の種を植える。

「………っ!?~~~~!???」

ミリアは体をもじもじさせて、こちらを見ている。

くすぐったいのかな?涙目だ。

「ちょっとだけだからね、痛くない、痛くないノヨ~。がまんがまん~」


ミリアの魔力床に私の魔力が染み込んで、種が育ち…芽が出て、私の方に伸びてくる。

……よし!伸びるね!結んで…完成!

これでミリアたちが物理的にどんどん離れていっても、私の魔力の蔦が自由自在に伸びて、繋がったままになる。


「『ユーリカ・リサリエの名のもとに契約魔法を発動する。

・薬師聖女、ミリアに常し永の加護を与える。

・薬師聖女ミリアが望み、助けを求めるときは私が薬師聖女ミリアの所に『転移』し、力を尽くすこと。

・薬師聖女ミリアの命が危機に瀕した時、私に助けを求めたのと同じ契約が発動すること。

・私は薬師聖女ミリアのところに自由に転移できること』

『以上、4種、契約を締結するか否か、選択せよ』!」


ミリアの目の前に契約書があらわれ、ミリアがそれに頷く。

ミリアと私の額に光が集まり、二人を繋ぐように金色の細い糸が紡がれ、すぅ、と消えた。


(長かった…契約魔法は一息で言わなきゃいけないんだよ

しーかーもー、薬師聖女って入れないと契約締結できなさそうだったんだよね)


(なんでだろ?あ、蛙人族にミリアっていう名前の子が他にもいるのかな?)


恍惚とした顔をしたミリアと、他の蛙人族、町の人たちが私を見て祈りを捧げている…


「ユーリカ…(神)様の奇跡でゲス…」


「ただの契約魔法だよ?」


ミリアは頭を低く低く下げた。

「力無き蛙人族の身なれど『薬師聖女』として、神々からの使命を胸に、人々を助け導きます、でゲス…!!」


(力…あると思うよ…??)

(物理で…)



(この日の光景が、神様と眷属や人が契約を交わし、奇跡を起こす有名な絵本の1ページや、教会や神殿にあるモザイク画や絵画、演劇の一幕にそっくりだったというのは、かなり後からハッチさんに聞いて知ったのだった…。まる。)


うーん、私、神様じゃなくてハイエルフなんだけど。

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