2-4・気になるならなんで人型にならないのかなって、ずっと思ってたってよ?
落ち込んだというよりは、脱け殻のようになったミリアを連れてルヴァさんの寝室へ。
「元気になったかな~?」
ベッドで起き上がって微笑んでいるイケメンが、グロリアさんの手を握ったままこちらを見る。
「はい、すっかり良くなりました。ところであなたは…?」
(手を握り続けるイケメン師匠…)
私はミリアをチラッと見る。うん、白い。灰になったんや…
「私はあっちの森に住んでるユーリカ。お薬になる葉っぱをあげる代わりに、ミリアに『調薬』を見せてもらったんだ~」
「森に住んでいる…?葉っぱ…ですか…?」
イケメン師匠の周りには、さっきはいなかった蛙人族の弟子らしき人たちが姿を現していて、部屋はぎゅうぎゅうに近い。
(慕われてるなぁ…良い人なんだろうけど)
蛙人族のみんなは、寝室に私が入ると一斉に膝をつき、顔を下に向けた。
グロリアさんも、ベッドの横に置かれた椅子に座ったまま顔を下げる。
(うーん…頭を下げてお礼っていうよりは…)
(…顔を見せないように隠してる感じだよね?)
「あのさ、みんな見た目を気にしてる感じ??」
私がそう聞くと、
「ミリアは気にしすぎだとは思うけど…まぁ、種族全員、少なからずは…はい」
「そういう目に、合ってますからね…はい」
と全員が教えてくれた。
(しゃべる蛙、かわいいと思うんだけど。趣味は人それぞれだからなぁ)
(みんな同じに見えるから【宇宙人】みたいに感じちゃうのかな?それがかわいいのに)
イケメン師匠はよく『グロリア』を見分けられるなと思う程に、みんな見た目は似て見える。蛙人族から見たら人間の顔の方が見分けられないのかもしれないけどね。
イケメン師匠は身を乗り出して言った。
「私はグロリア程に美しいと思う人に出会ったことはありません。
蛙人族も、皆かわいらしいと思うようになりました。
始めはびっくりしましたが、その……蛙の舌で話せるところに…」
(確かに!)
なるほどねぇ…
「師匠はこう言ってるけど?」
思ったよりも素早く復活した様子のミリアに話しかける。
何故私に話しかけるのでゲスかぁ?!という顔をして(あ、ミリアはもう見分けられそうだわ、私)こう言った。
「同じ種族や親が可愛いというのは近親者のひいき目でゲス。
お師匠様は、私たちが弟子だから…弟子かわいさからでゲス!」
ピシィ!と指を反らしてルヴァと自分を指し示すミリア。
(それは人間でもあるやつだから否めないな)
自分の『子ども』は存在する細胞の一つ一つがかわいいのだ。
切った髪や爪をすべて取っておきたいと思った…記憶がある。
「じゃあ、みんな人型になって生活してみたら?」
私がそう言うと全員が、下に向けていた視線をこちらに向けてくる。
「へ…?あぁ、変化の術で、ってことでゲスか?
あれは一時的なもので…長くても半日ももたないのでゲスよ。
魔力が枯渇して、数日ヘロヘロでゲス。
人間の多い場所や街に、仕方なく行く時に使いますでゲスが、門にある『真実の珠』で術が解かれてしまうのでゲス」
(あれ、でも母樹はたしか…)
「胃袋をひっくり返して、ニンニンって言うだけで人型になれるって聞いたけど?」
「「「に、ニンニン…??」」」
え、蛙族って忍術使えるのに、ニンニンって言わないの?
へんなの。
「えっとね、戻りたいときは、水を口に含んだまま、蛙族の忍術を解く動作で戻るだけだって。
そうしないと戻れないらしいから気をつけてね?
みんな使える?『解術』っていうやつ」
「解術は生まれたての黒い赤ちゃんだってできるでゲス…でも…でも…」
「「「そ、そんなバカな…(でゲス)」」」
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