リプレイ32 とある神話生物たちについて(語り部:深きものの末裔MALIA)
あれだけ殺意100パーセントで押し寄せてきた半魚人の軍勢が、不思議と追いかけてこなくなりました。
わたしは今、インスマス・コーストのエリアの“コズミック・ディスカバリー”と名づけられた海域に顔を出していました。
アトラクションは、これでクリアなのでしょうか?
こうしたテーマパークでは、アトラクションが終了したあともパーク内にもどる道が親切に案内されているものです。
それは、このラヴクラフトリゾートも例外ではなかったのですが、今回に限って、海に放り出されて終わりというぶつ切れな扱いというのもヘンです。
……いえ、
遠くの水面が不自然に盛り上がってきたのに、波があまり押し寄せてこない……あれは、水面ではなくーー、
地上で行列にならんでいたり、大通りを歩いているゲストさんたちも、こちらを眺めてざわざわしだしました。
わたし以外にもアトラクションを突破した人たちも、次々に水面からでてきて、事態に当惑を見せます。
わたしが最初、水面の盛り上がりだったと思っていたもの、それは、
【大いなるクトゥルフの従者にして、深きものどもの統率者ーー母なるハイドラだ】
頭のてっぺんから水に濡れた姿の、わたしたち用のニャルラトテップが鈴やかな女の子の声で宣告すると、その全容が完全に現れました。
タールのような不確かな巨体に無数の頭がついて……いるように見えたのは“彼女”に取り込まれた人や深きもの、様々な知的神話生物の頭部でした。
頭だけにされているのにハイドラの身体につながって延命されているらしく、どれも力なくすすり泣いたりうめき声を漏らしています。
母なるハイドラは、ああやって知的生命体の脳をすすって栄養にしてしまうそうです。
【ハイドラを間近で目撃してしまった者は10面ダイス×1の精神ダメージだがーー深きものの末裔となった君は抵抗力があるので、6面ダイスの判定で構わない】
<精神ダメージ>
MALIA【2】
さいわい、軽傷ですみましたが……わたしがこれからすることを考えると、どのみち何らかのVR狂気の発症は覚悟しなければいけません。
……わたし自身はもとより、周りに大勢いる他プレイヤーのみなさんも。
今でさえ、地上の人混みのあちこちで、5以上の目を引いてしまった人が様々な形で狂乱におちいっていますが、
みなさん、ごめんなさい。
わたし、神話生物喚びます。
【ラニクア・ルアフアン使役(リスク:6面ダイス×1)
“血の契約”により、深きものの末裔たるイルカを召喚。
このイルカはテレパシーによって、手足のように操作出来る。
ラニクア・ルアフアンを目撃した他人は全て、6面ダイス×1の精神ダメージを強いられる】
<正気度の増減>
MALIA【67→65】
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