リプレイ30 HARUTOでは無い襲撃者(語り部:鞭の信奉者INA)
火山を模した“アンネイマブル・アイランド”を降りて、ひなびた漁村をテーマにした“インスマス・コースト”に出た。
視界の端に“ファインディング・クトゥルフ ~ダゴン&フレンズ~”への入り口と行列が見えたけど、これをスルー。
誰が乗るもんか!
元ネタが元ネタなだけに落ち着かない場所だけど、漁村と言う地形は程よく入り組んでくれていて、建物の死角には事欠かない。
国内最大規模のテーマパークと言うと人でごった返しているイメージを抱きがちだけど、案外と大通りから外れ、アトラクションとは無縁のスポットと言うのは穴場でもある。
まあ“隠れ神話生物”とか仕込まれている事が往々にしてあるらしいので、油断も出来ないけど。
とにかくあたし達は、どうにかこうにか、インスマスのボロアパート群の裏路地に身を隠す事が出来た。
ここで、何はなくとも
と、思ったら。
いかにも堅気ではありませんと自己主張甚だしい黒服姿の男が4体、あたし達を囲んでいた。
思わず舌打ちが漏れる。
空気読めよ。
「何、こいつら」
あたしは、何処かであたしらパーティに
【邪神・チャウグナー・フォーンを崇拝する“血の教団”なる組織だ。さるパーティが、装備を
何と迷惑な。
私欲の為にそんな事をするなんて、どうせ自己中で思慮の浅いパーティなのだろう。出会ったとしても、相手にする価値も無い。
今後も接点の生じないであろう不特定多数に憤慨していても仕方が無い。
あたしは、黒服どもとコンタクトを取る余地も無く鎖鞭を構え、横に立つ
ほぼ同瞬、そいつの胸が深々と穿たれ、一呼吸遅れて赤黒い血液が噴射し、前のめりに倒れた。
有無を言わさず“法執行”。こんな警官、実際に居たら嫌過ぎる。
飽くまで初期装備と身体能力底上げの為の設定に過ぎないのだけど。
「
あたしが鋭く叫ぶと、彼は自分の身体を確かめるように両手を開閉して見せて、
「俺は、最強……誰も、俺には……勝てはしない……」
「そう! あんたはパンチ一発でグリズリーをミンチにする超人! 自分を信じて!」
「お、お、俺は最強だァ! 誰も俺に勝つ事は出来ん!」
「媚びろ媚びろォ! 俺は天才だァ!」
その顔面を何度も踏みつけて、頭蓋を潰して殺した。
早くも残り2体。
ここで、
<意識回復判定>
KEN(成功率:42)
【33(成功)】
よし! 良い流れだ。
恐らく、VR的には失神と言うより、意識がある上での金縛り状態だったのだろう。
彼は起き上がるや、即座に状況を把握して身構えた。
一方であたしは迅雷の脚力で駆け出した。
走りは止めず、横跳び。最前まであたしの居た位置が、黒服の放った銃弾で砕けた。
鎖でオートマチック拳銃に挑みかかる。
普通に考えれば自殺行為だが、あたしは鞭の天才!
鎖を海龍の如くしならせ、奴の首目掛けてーーと思っていた所へ、あたしの【被害妄想】が結んだ
ああ、面倒臭い。
あたしは左腰に備えていた革の一本鞭も外すと、遅滞無く幻覚を鞭打って四散させた。
一方、右の鎖鞭で、当初の予定通り黒服野郎の首を巻き付けると、五割強化された筋力に飽かせて、奴を引き摺り倒した。
銃を握る手を踏み潰し、もう一方の足では背中を踏み締める。
そして、首に巻き付けた鎖を力任せに持ち上げ、首を締め上げてやる。
けど、最後に残った黒服が、あたしの額目掛けて近距離から拳銃を突き付けていた。
【フサッグァの気配(リスク:6面ダイス×1)
クトゥグアの眷属である火の精の、僅かな片鱗を実体化させ、その蒼き焔で焼殺する】
遥か後方、
生きながらにして焼かれる苦痛に、奴はのたうち回る。感情の無いNPでも、この辺のリアクションは生々しいくらいにリアルだ。
たちまち真っ黒な質感に変わり果て、ポタポタと身体中の水分を垂れ流し、見る見る縮んで、炭の棒になった。
たかが単体を燃やす魔法、と言うと、ファンタジー世界では初歩的な攻撃魔法に思われるかも知れないけど。
この世界は、人間が脆弱なクトゥルフものだ。
それは、あたし達プレイヤーだけでは無く、こう言ったヒト型エネミーにも言える事。
ちょっと火に巻かれただけで、簡単に致命傷となる。
とにかく、手早く襲撃者を始末する事が出来た。
流石はあたし達、と言った所かな?
対
<ダイスの個数と発生原因>
KEN………【6面ダイス×1】
内訳:フサッグァの気配の使用
<精神ダメージ>
KEN【2ダメージ】
この後、
<正気度の増減>
INA【正気度:30→44】
RYO【正気度:75】
KEN【正気度:52→50】
TOMO【正気度:39→44】
朝一にインパした筈なのに、もう正午になろうとしているよ。
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