自由
「あなたは自由ですか?」 彼女は私にそう尋ねた。私たちは、同じ学校に通っている。私は彼女の隣の席に座っていた。 「自由だと思います」 私は答えた。私は自分の好きなことをやっている。勉強も遊びも自分で決めている。親や先生に言われることも少ない。 「そうですか。でも、あなたが今ここにいることも、本当に自由なのですか?」 彼女は微笑んだ。彼女は私より少し年下で、明るくて元気な目をしていた。 「どういう意味ですか?」 私は不思議に思った。 「あなたがこの学校に通っている理由は何ですか?」 彼女は聞き返した。 「当然ですよ。勉強するためです」 私は答えた。私は将来の夢があって、それを叶えるために必要な知識や技能を身につけるために学んでいる。 「それでは、あなたがこの席に座っている理由は何ですか?」 彼女はさらに聞いてきた。 「決まっていますよ。席替えでここになっただけです」 私は答えた。他に特別な理由はなかった。 「それだけでしょうか?もしかしたら、あなたがこの席を選ばれたのも、何かの制約ではないでしょうか?もしかしたら、あなたと私が出会うことも、何かの制約ではないでしょうか?」 彼女は真剣に言った。
私は黙って考え込んだ。確かに、偶然という言葉では説明しきれないような必然性があった。彼女と話していると、楽しくて刺激的な気持ちがした。まるで新しい世界を見せてくれる人のようだった。
でも、それが自由だと言えるのだろうか?そんなことを考えてしまったら、自分の意志や選択が束縛されてしまわないだろうか?
「ごめんなさい。わからないです」 私は正直に言った。 「わからなくても構わないですよ」 彼女は優しく言った。 「でも、一つだけ言わせてください。あなただけが決められることがあります」
「何ですか?」 私は尋ねた。
チャイムが鳴った。
彼女は立ち上がり、カバンを持ってドアへ向かった。
そして振り返って言った。
「この学校から出るかどうか」
《終》
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます