乱痴気女子寮!

 トイレで用を足し終わった俺は食堂に戻るべく急いでそこに向かっていた。迅速にあの怪しいお菓子を処分しなくてはならない。


 俺が食堂のドアを開けると中には女子寮の4女神が勢ぞろいしていた。食事時でもないので全員揃っているのは珍しい。っていうかこの部屋やけに寒いな…。エアコンの設定温度何度にしてるんだ?


「この部屋寒くないか?」


 俺は両手で肩を摩りながら4人にそう聞いてみるが、4人は俺とは逆に暑いのか汗をかいて服をパタパタしていた。それに加えてなんだか4人の雰囲気がなまめかしい気がするのだが気のせいだろうか?


 エアコンの設定温度を確認すると最低温度の16度に設定されていた。そりゃ寒いわ。


 しかし4人はそれにかかわらず暑そうにしている。うーん…さっきまで4人とも外にいたとかかな? もうすでに9月も後半で夏の全盛期の暑さは過ぎ去ったものの、未だに30度は超えているからな。外にいたのなら暑いだろう。


 まぁ今はそれはいい。それよりもあの怪しいお菓子の処分が先だ。俺はゴミ箱に近づくとポケットの中にあるお菓子を捨てようとした。…しかし。


「無い…?」


 ポケットに押し込んでいたはずの怪しいお菓子が無くなっていた。何で無いんだ? もしかしてトイレでズボンを脱いだ時に落としたとかかな? 俺は食堂を出て慌ててトイレへと駆け戻る。


 だがトイレの中をくまなく確認するもお菓子は落ちていなかった。しっかり便座を開けて便器の中まで確認したが見つからない。


 俺は冷静になって自分の足取りを確認しようと寮に帰ってからの行動を思い出す。…あのお菓子は寮に帰ってきた時にポケットの中に入っていたのを確認している。


 …という事は寮の中で落としたことは間違いない。あんな危険な物を寮の中に落として誰かが拾って食べでもしたら大変だ。特に食い意地が張ってる冬梨。俺が責任をもって処分しなくてはならない。


 えっと…玄関で靴を脱いでまずは食堂に来たんだよな。俺はまた食堂に戻った。


 食堂では相変わらず4女神が暑そうにしている。俺はちょうどいいので聞いてみる事にした。


「なぁ、外国のお菓子の袋落ちてなかった?」


「…これの事?」


 冬梨がすでに封の空いたお菓子の袋差し出してくる。中にはクッキーが1枚だけ入っていた。えっ…もしかして冬梨食べちゃったの?


「…冬梨、もしかしてそれ食べた?」


「…うん、美味しかった」


 俺の背中に冷や汗が流れる。


「すぐに吐き出せ! 水を飲むんだ! それは食べちゃいけない奴だ!」


 俺はすぐさまコップに水を注いで冬梨に飲ませようとした。水をたらふく飲ませて口の中に手を突っ込み、腹の中のクッキーを吐かせるのだ。


「…あんっ/////」


 しかし俺が冬梨の手に触ろうとすると彼女は体をビクンと反応させた。なんかエロい声が冬梨から聞こえた気がしたんだが…。


 ひょっとして…クッキーを食べたせいで感度3000倍の効果が出てる? 冬梨の様子を観察すると若干顔が赤く、目がトロンとしていた。…これは不味い。間違いなく媚薬の効果が出ている。嘔吐剤を飲ませた方が良いか?


「秋乃! すまんけど至急嘔吐剤持って来てくれ!」


 俺は秋乃に声をかける。確か救急箱の中に入っていたはずだ。しかし彼女は動かなかった。暑そうに椅子にだらりと座っている。


「秋乃?」


「なぁ~に~? 兼続君?」


 見ると秋乃も顔を紅潮させ目をトロンとさせていた。冬梨の状態と似ている。…ひょっとして秋乃もクッキー食べた? 俺は最悪の事態を想像する。冬梨と秋乃がクッキーを食べている…という事は残りの2人も?


「なぁんかスッゴク暑いわねぇ…」


「服脱ぎます?」


 やっぱりか! 美春先輩と千夏も同じような顔をしていた。4人全員が感度3000倍クッキーを食べたという事か!? どうしようコレ!? とりあえず嘔吐剤だ。吐かせれば何とかなるかもしれない。俺は救急箱を探して走り回った。


 数分後、寮長の部屋から救急箱を見つけた俺は急ぎ食堂に戻って来る。するとそこは天国…いや、地獄のような有様になっていた。


「暑いわぁ…」「なんだか体がカッカするのよね」「あ゛~(なんだろう? 私今すごく興奮している?)」「…(トローン)」


 4人全員が暑いのか服を脱いで下着姿になっていた。これは眼福…とか言っている場合じゃないだろ! 媚薬が間違いなく効いている証拠だ。早く嘔吐剤を飲ませて媚薬を吐き出させないと…。


 俺はとりあえず1番近くにいた冬梨に嘔吐剤を飲ませようとする。


「さっ、冬梨これを飲め! 楽になるから」


「…あっ//////」


 が、やはり媚薬が聞いているのか冬梨は俺が肌に触っただけでも体をビクンと反応させた。どうしよう…冬梨が凄く色っぽく見える。普段はそんな事思わないんだけどな…。


「…なんか兼続に触られると気持ちが良い////// もっと…////」


 冬梨はトローンとした目のまま俺に抱き着いてきた。妖精のような彼女が俺に抱き着いてくる。思わず可愛らしすぎて俺も抱きしめそうになってしまったが、俺は踏みとどまった。今の彼女は正気ではない。正気ではない女の子を彼氏でもない男が抱きしめるわけはいかないのだ。


 俺は心を鬼にしてなんとか冬梨に嘔吐剤を飲ませようとする。だがそれは横から抱き着いてきた先輩に邪魔された。


「兼続…あたしなんだかすごく暑いの…/////」


 先輩は背も高く身体もそこそこ豊満なので抱き着かれると中々身動きが取れない。クッ…また彼女の柔らかい体の感触が…。堪忍してくれ!


「あ、暑いんなら離れて下さいよ///」


「それはそうなんだけどね。なんだか兼続に触れていると身体の熱さが解消される気がするの…。だから…協力して?」


 先輩は顔を赤くし、潤んだ瞳をして俺にそう懇願してくる。ううっ…艶っぽい…。これは男の目には毒だ。男を殺す青酸カリよりも強力な猛毒だ。


 俺は舌を噛んで自分の欲望を封じ込めた。今の彼女は媚薬の効果でこうなっているにすぎないのだ。そんな彼女の身体に触るだなんて不誠実な真似はできない…。


「先輩もとっとと嘔吐剤飲んでください!」


「…それ苦いから嫌よ!」


「子供ですか!?」


 俺が先輩と冬梨の対処に四苦八苦していると千夏と目が合った。そうだ! 千夏なら…クールな千夏ならこの状況下でも冷静かもしれない。


「千夏! 彼女たちに嘔吐剤飲ますの手伝ってくれ!」


 だが俺のそのささやかな願いもむなしく霧散した。千夏はサササと俺の近くにやってくると無言で抱き着いてくる。お前もか!?


「か、兼続ぅ…。何故かは分からないけど…ドキドキが止まらないの/////」


 彼女もトロンとした顔でそんな事を言ってくる。ウッ…普段はキリッとした表情の彼女にそんな色っぽい顔されるとちょっとグッと来てしまうじゃないか…。千夏が凄く妖艶な美女に見える。


 …でも我慢だ。我慢しなくてならない。彼女たちは薬のせいでこうなっているのだから。俺は自分で自分の足を思いっきり踏んづけて理性を保った。


 …と、俺はそこで痛さで一つ閃く。…千夏なら嘔吐剤を飲むのは拒否しないかもしれない。俺は隙をついて千夏の口の中に錠剤を放りこむと水と一緒に飲ませた。


「う゛っ…」


 千夏は口を押えてトイレの方向へ走り去っていく。よし、まずは1人。


「ねぇ兼続君。どうしてそんなにみんなに抱き着かれてデレデレしてるの?」


 千夏を処理して一息ついたと思いきや、最恐の人の存在を忘れていた。秋乃は物凄いプレッシャーを放ちながら俺の方に迫って来る。


「別にデレデレはしてないよ! それより秋乃も嘔吐剤飲んでくれ!」


「嘘つき! 兼続君、先輩の胸ばっかり見てるじゃない! こうなったら私も!」


 彼女はそう言うと俺に突進しながら抱き着いてきた。


「うおっ!?」「きゃ!」「…あっ」


 俺たちは勢い余って全員床に倒れる。俺が目を開けると目の前には秋乃の超ド級のお胸があった。ただでさえそこそこ豊満な体の先輩に抱き着かれてるのに、その上秋乃にまで抱き着かれると本格的に理性がヤバい…。


「かねつぐくーん♡ えへへへ/////」


 秋乃はそう言って俺を抱きしめて来る。俺の顔にダイレクトに秋乃のドでかい物が押し付けられる。うおぉ…柔らけえぇ…。ずっとこれに包まれていたい…。


「兼続! 秋乃の胸にデレデレしすぎじゃない! ちょっと大きいからって」


「…ムッ! あんな脂肪の塊に兼続は興奮するの?」


 秋乃に対抗して美春先輩と冬梨もさらにギュッと俺の両腕に抱き着く。しまった…両手が封じられた。これじゃあ嘔吐剤を飲ませられない。


「えへへへへ///// なんだか気持ち良いぃ~/////// エクスタシーって感じだね! う゛っ…」


 ブシャ


 しめた! 秋乃は興奮しすぎたせいか鼻血を出したようだ。その際に美春先輩と冬梨は秋乃の出した鼻血を避けるために俺の両手から離れた。俺はその隙になんとか秋乃の口に嘔吐剤を突っ込むことに成功する。


「う゛う゛っ…」


 秋乃は俺の体の上から起き上がると、急いでトイレの方に走っていった。これで2人。後は先輩と冬梨だ。しかし彼女たちは再び俺の両腕に抱き着いてくる。また腕が封じられた!?


「…なんだかスリスリしていると気持ち良い。なんだろうこの感じ?/////」


「あんっ////// なんだかいい感じ//////」


 ヤバいヤバい…。2人は俺に体をスリスリと擦り付けて来る。そして色っぽい声も少し聞こえ始めた。不可抗力とは言え、これはあってはならないことだ。


「ああ…しばらくは何も食べたくないわ…」


 しかしその時、天の助けか最初に嘔吐剤を飲ませたグロッキー状態の千夏がトイレから戻って来た。しこたま吐いたせいか正気に戻っている様だ。


「千夏! 助けてくれ!」


「えぇ…私もしんどいのだけれども…」


 千夏の手を借りた俺はなんとか先輩と冬梨を引き放すことに成功し、2人に嘔吐剤を飲ませた。


 数分後、嘔吐剤を飲ませた4人はどうにか元に戻ってくれた。だが吐いた影響か4人ともしんどそうだ。


「あ゛あ゛~///////(なんかあたしとんでもない事をしちゃった気がするわ/////)」


「…胃がムカムカする(私なんで兼続にあんなことをしたのかしら?/////)」


「…グッタリ(兼続君に凄く恥ずかしい所を見られちゃった…//// これもう脈消えたかも…。あああああああああああああ!!!)」


「…???(兼続に抱き着いた時、気持ちよかった//////)」


 はぁ…俺の人生最大の危機だったかもしれん。危険物の取扱いには注意しよう。そもそもあんなの買うなよ氏政…。



○○〇


エロ要素は抑えめに書いてあります。あまり過激すぎるとbanされるかもしれないので。


あとなんか新作始めました。よろしければ読んでいただけると嬉しいです

『死んでしまった最愛の彼女を反魂術で生き返らせた結果…。ひねくれてしまった彼女と再びラブラブになるために俺は奮闘する』

https://kakuyomu.jp/works/16817330664621673188


次の更新は10/10(火)です


※作者からのお願い


もし当作品を読んで1回でも笑われたり展開が面白いと思って下さったなら♡や☆での評価をお願いします。作者のモチベにつながります。

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