【休載中】大学の男子寮に住んでいた俺、何故か大学で4女神と呼ばれる美少女たちが住んでいる女子寮に引っ越すことになった件 女子寮の住人の問題を解決していくうちにいつの間にか惚れられていた!?
先輩の頼み事 なんか嫌な予感しかしないんですが…
先輩の頼み事 なんか嫌な予感しかしないんですが…
どうも女子寮の住人の感情が不安定になっているようなので凝縮して過ごしている俺。今日も今日とてコソコソと寮で生活する。基本的に俺の部屋は地下にあるので彼女らとあまり顔を合わせずに済むのだが、食事の時とトイレに行くときだけは1階に上らなくてはならない。
千夏はこの前デートした時に一瞬だけ機嫌が直っていたように見えたのだが、また元の難しい顔に戻ってしまった。美春先輩と秋乃に限っては相変わらずだ。もうそろそろ1週間経つのでいつも通りの3人に戻って欲しい所ではあるのだが…、体調の変化はどうしようもないよね。
俺はため息を吐きながらトイレに行くために1階に上る。もちろんその際に壁から顔だけをチラリと出し、辺りを見渡して誰もいないことを指さし確認だ。右ヨシ、左ヨシ、正面ヨシ。階段からも誰も来ていない。今だ急げ!
誰も来ていないことを確認すると俺は急いでトイレにダッシュする。まぁこれをやっても出る時にバッタリと鉢合わせる時もあるんだけどね。
ふぅ…。俺は用を済ましてトイレから出る。
「あら兼続ちょうどいい所に!」
トイレから出るといきなり横から声をかけられた。俺は一瞬身構えるが、そこにいたのは寮長だった。3人の内の誰か出なかった事に安堵したがこの人もこの人でめんどくさいから正直あまり声をかけられたくない。
「なんだよ寮長?」
俺がそう聞くと寮長は自分の足元にある大量の段ボールをポンと叩いてこう言い放つ。
「知り合いから野菜が沢山届いたんだけどね。か弱いわたしじゃ運べそうにないから兼続、あんた食堂に運んどいて。食堂に運んどけば後は秋乃がなんか作ってくれるでしょ」
確かに寮長は見た目こそ結構非力そうだが、この人ほど「か弱い」という言葉が当てはまらない人も中々いないと思う。例え地球に天変地異が起こって人類が滅亡しても最後までしぶとく生きてそうな生命力に彼女は溢れているのだ。
しかし荷物を運ぶぐらいならお安い御用だ。俺はそれを快く引き受けると野菜が入った段ボールを持って食堂へと運んだ。俺が食堂へ野菜の入った段ボールを運んでいると今度は秋乃が食堂にやって来た。おそらく寮長に野菜の事を言われたのだろう。
「わぁ、大量のお野菜! 何作ろうかなぁ? 兼続君は何が食べたい?」
どうやら今日の秋乃はご機嫌のようで段ボールから野菜を取り出してウキウキしている。俺は野菜を運びながらホッと心をなでおろした。そのままずっとご機嫌でいてくれればいいのだが…。
野菜を運び終わると自分の部屋に戻るべく食堂を出て地下室の方へと向かおうとした…のだが、そこで美春先輩とバッタリと出会ってしまった。先輩は俺の顔を見るなり険しい顔になる。やはり今日も機嫌が悪いらしい。
「あっ…兼続…(そろそろ兼続に例の件をお願いしないともう時間が無いのよね…。今日中になんとか頼まないと…)」
「あー今日も暑いなぁ。さっさと部屋に戻ろっと!」
俺は先輩の機嫌が悪いと感じ取るや否や部屋に逃げ帰る準備をする。先輩が俺の事を呼んだ気がしたが、そんな事は知らない。君子危うきに近寄らずだ。なので俺は自分の部屋に早歩きで向かおうとした…が、先輩に回り込まれてしまった。
「ど、どうしたんですか先輩?」
先輩にそう聞くと彼女は明らかに笑顔を作って俺にこう言った。
「か、兼続にお願いしたいことがあるんだけど…?」
「た、頼みって何ですか?」
普段の先輩の頼みなら快く引き受けるのだが、今の先輩の頼みは何故だが分からないが引き受けてはいけない気がする。俺の第六感というか、なんとなく嫌な予感がするのだ。
「まぁまぁ、とりあえずここじゃなんだから食堂に入って話しましょ?(負担をかける分はねぎらってあげないとね…)」
「は、はぁ…」
俺は先輩の後について食堂に入る。そして先輩は俺に自分の席に座るように促した。
「喉乾いてない? いいジュースがあるのよ」
先輩はそう言って冷蔵庫からビンに入った果汁100%のりんごジュースをコップに注いで俺に出してくる。これ結構高い奴だ。
「お腹も減ってない? チーかまでも食べる?」
今度はチーかまを俺の前に出してきた。チーかまって先輩の好物じゃなかったっけ? 自分の好物を他人に渡すなんて。…やはり変だ。いつの先輩ならこんなまどろっこしい事はせずに直球でものを頼んで来るはずなのに。俺は一体どんなことを頼まれるのだろうか。背中に嫌な汗が流れた。
食堂で野菜を吟味していた秋乃も珍しい物を見る表情でこちらを見ている。せっかくなので俺は出されたチーかまを一口かじった。美味い。
「ふふっ、食べたわね!」
しまった…。やはり罠だったか。これで俺は先輩の頼みを断りづらくなってしまった。
「そ、それで…先輩、頼みとは?」
俺は恐る恐る先輩に聞いてみた。先輩はニコニコと笑いながら言葉を続ける。
「あのね、兼続。あたしの…彼氏になって下さい!」
「は?」「ふえぇぇぇぇ!!!!!!!!????????」
えっ? この人今なんて言ったんだ? 「彼氏になって下さい」って聞こえたんだけど…。流し台で野菜を水で洗っていた秋乃も驚いて口をあんぐりと空けている。
俺は少し考える。…どういうことだ? 以前に俺は先輩に好きな人が出来るまでの練習台になるとは言ったけれども。
…あっ! そうか。秋乃と同じように(彼氏が出来た時の練習がしたいから仮の)彼氏になってって事かな? それくらいなら…まぁいいか。嫌な予感はどうやら気のせいだったようだ。
「どどどどどどどど、どうしたんですか先輩!? いきなり兼続君に告白だなんて…(やや、やっぱり先輩は兼続君の事が好きだったんだぁ~。だから最近2人は妙に距離が近かったのね。あああああああああ、私がもたついている間に先輩に先を越されちゃったぁ…。どうしようどうしよう! 兼続君告白受けたりしないよね? でも先輩美人だしなぁ…)」
「あたしにはもう兼続しかいなくて…///(こういう事を頼める異性って兼続しかいないのよね)」
「ええー!?(先輩そこまで兼続君の事好きだったの!? 気が付かなかった…。私の『兼続君を狙うメス感知レーダー』に反応しないなんて…)」
「別にいいですよ」
「さっすが兼続ね! 話がわかるわぁ~」「えええええええええええ!?(受けちゃった!? しかも即決!? 終わった…。私の15年がたったの2秒で終わっちゃったぁ…)」
さっきから秋乃が横でうるさい。秋乃と同じように彼氏が出来た時の練習をしたいっていう先輩の依頼を引き受けただけなのに何をそんなに慌ててるんだろうか?
「せ、先輩、考え直した方が良いですよ。兼続君って顔は普通だし、成績も普通だし、家もお金持ちじゃないし、友達だって変なのしかいないし、先輩ならもっと良い人が見つかると思いますけど(ど、どうにしかて阻止しないと…)」
…なんかすごくディスられている気がする。まぁ秋乃の言う通りと言えば言う通りなので何も言い返せないのが少し悔しい。普通で悪かったな。というか他はともかく何で秋乃が俺の家の経済事情まで知ってるんだよ。
「いいえ、もう決めたの。あたしには兼続が適任よ(偽の彼氏役を頼めるのなんて兼続ぐらいしかいないもん…。顔やお金なんて偽の彼氏には関係ないしね)」
「で、でもでも…」
秋乃は何故先ほどからゴネているのだろうか? …ははーん! 分かったぞ。おそらく秋乃は俺が先輩の彼氏の練習を引き受けたら自分の彼氏の練習がおろそかにされるんじゃないかと心配してるんだな。
「秋乃、大丈夫だよ。秋乃も責任もって俺が彼氏(役を)するから」
「堂々と2股宣言!?(私と先輩両方を彼女にするって事? やっぱりスイキンの店員さんの言う通り兼続君はヤ〇チンだったの?)」
「えぇ…これを2股というのは大げさじゃないかなぁ(たかが彼氏の練習役を2つ引き受けただけで2股は言いすぎじゃ…?)」
「そうよね(秋乃も偽の彼氏役を兼続に頼んでいるのかしら? 秋乃も大変ねぇ~)」
「ふぇぇぇ…(2人にとってこれくらいは2股にならないという事? 倫理感崩壊してるよ…。もうダメ、頭が混乱してもうワケが分からない…)」
秋乃はフラフラとしてその場にパタンと倒れ込んでしまった。俺は慌てて倒れる秋乃を抱き留める。いきなりどうしたんだ? そういえば…生理中は貧血になりやすいという話を聞いたことがある。なので秋乃も貧血になったのだろう。
俺は使っていない椅子を繋げてベットのようにすると秋乃をその上に寝かせておくことにした。貧血程度ならしばらく安静にしていれば復活するだろう。
「それで…俺は何をすればいいんですか?」
俺は先輩に練習の彼氏としてどうすればいいのかを尋ねた。
「それなんだけど…実はね。妹に彼氏が出来たって嘘ついちゃったのよ…。で、来週その妹に彼氏を見せる事になってて…。だからね兼続。あたしの偽の彼氏としてふるまってくれない? お願い! 無茶言ってるのは分かってるわ。でも妹にこれ以上馬鹿にされたくないのよ!」
「あ、そういうことだったんですか」
偽の彼氏か。てっきり秋乃と同じように彼氏が出来た時の練習をするんだと思っていたのだがそっちだったか。ってか先輩妹さんいたんだ。引き受けてしまった以上は全力で偽の彼氏役に取り組むが。…でも身内に紹介かぁ、めんどくさい事にならなきゃいいけど…。
「えっ、偽の彼氏?」
そこで椅子の上に寝かせていた秋乃がパチクリと目を覚ます。復活早いな。
「な、なんだぁ~/// そういう事だったんですかぁ。びっくりしちゃった。あはは/////(あー…良かった。本当に2人が付き合っちゃうのかと思ったよぉ…)」
「むしろそれ以外に何があるんだ?」
「そ、そうだよね。私ったら何を勘違いしてたんだろ/////」
まさか秋乃は俺と先輩が本当に付き合うとでも思ったのだろうか。ないない。先輩には俺なんかよりもっとふさわしい人がいるだろう。彼女は仮にも色彩大学の4女神の
「なんか兼続の目があたしを馬鹿にしている気がする…」
「気のせいですよ」
「本当かしら…? まぁいいわ。じゃあ早速設定を詰めましょう? 2人の話が合わないと妹…春海に疑われるわ!」
「わかりました」
俺と先輩はそのまま食堂で2人の設定を詰めた。どうやら週が明けてすぐに妹さんに紹介すると約束してしまったらしく、あまり時間がないらしい。まったく、仕方のない人だなぁ…。
○○〇
次回の更新は8/19(土)となります。
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