【休載中】大学の男子寮に住んでいた俺、何故か大学で4女神と呼ばれる美少女たちが住んでいる女子寮に引っ越すことになった件 女子寮の住人の問題を解決していくうちにいつの間にか惚れられていた!?
Q めんどくさい奴らが徒党を組むとどうなる? A とてもめんどくさい
Q めんどくさい奴らが徒党を組むとどうなる? A とてもめんどくさい
大学の前期試験も半分ほど終わった。今の所俺は順調良く試験をクリアしていっている。…実際に試験の結果が出るのは夏休み明けなのではあるが。
まぁ回答欄もほとんど埋めたし、分からない問題もあまりなかったしでおそらく単位は取得出来ていると思われる。
俺は筆記用具を片付けると荷物を整え、たまたま同じ試験を受けていた秋乃と一緒に寮へと帰ることにした。まだまだ明日も試験があるのだ。早く寮に帰って最後の見直しをしなければならない。
「はぁ~…この試験通ってるか不安だなぁ。最後の問題解けなかったし…」
秋乃は疲れた顔をして俺の隣を歩きながら試験の結果を嘆いている。どうやらあまり出来が芳しくなかったようだ。
「大丈夫だって、秋乃この試験の過去問何度も解いてたじゃないか。絶対通ってるって」
「兼続君…ありがとう。少し心が楽になった気がするよ」
「それに終わった事をいつまでも嘆いてたってしかたないしな。次の事を考えよう。そうだ! 試験が終わったら寮恒例のお疲れ様会があるじゃん? 今年はどうするんだ?」
「うーん…とりあえず何かご馳走を作ろうとは考えてるけど…」
「いいね。秋乃の料理は何でも美味しいから楽しみだ」
「う、うん/// 私も腕によりをかけて作るね///」
俺たちは試験での疲れを吹き飛ばすように試験が終わった後の楽しい話をしながら校舎を出る。
「待ちたまえ君たち!」
しかし、そのまま秋乃と一緒に寮への帰路へと突こうと思っていたのだが…、何者かに呼び止められた。
誰だと思って振り返るとそこにはどこかで見たことがあるワカメヘアーがいた。えーっと…確か自称モテ男の赤城政宗だっけ?
相変わらず周りに女の子を侍らせている。前に彼と会ってから1カ月以上たっていたので俺の記憶から彼の事は抜け落ちそうになっていた。
「なんか用か?」
俺はまためんどくさい奴に絡まれたなと軽くため息を付きながら彼に向き直って答える。
「ついに君が女子寮でセクシュアァル・ハラァスゥメェントをやっているという証拠をつかんだのでね。告発させてもらうよ。君が女子寮で生活するのも今日が最後だ! あぁ…麗しき慈愛の女神である山県秋乃さん。今こそあなたを東坂兼続の性欲にまみれたハンドから救い出してあげよう」
赤城の取り巻きの女の子たちが「キャー政宗様カッコいい!///」と彼を囃し立てる。
そういえばそんなこと言ってたなぁ…、すっかり忘れていた。
女子寮でのセクハラと言っても俺はほぼほぼ真面目に生活しているので告発しようとしても無理なはずだ。以前にやったやつはもう許してもらっているので時効だろうし。
「えっと…どちら様でしたっけ?」
当の秋乃は赤城の事を全く覚えていないらしく「誰?」という表情をしている。まぁ1カ月も経てば忘れるよなぁ。
「なんと! 秋乃さんはこのボォクの事をフォゲットしてしまわれたのですか? この色彩大学イチのイケメンであるこの赤城政宗の事を!?」
「赤城…? あぁ! あの1万人と付き合ったっていう節操なしの。ごめんなさい、私興味のない人の顔はすぐに忘れちゃうの」
「ガッテッム! おのれ東坂兼続! 秋乃さんの記憶がこんなになるまでセクハラを続けたんだな。許すまじ卑劣漢!」
いやぁ…これに関しては俺はまったく関係ないと思うぞ。というかセクハラで他人の記憶をどうこうするのって不可能だろ…。
「しかし、それもトゥデェイまでの事! 俺はお前のセクハラをこの場で告発することにする。しかもちゃんと証人も連れて来てあるからな。覚悟しろよ東坂兼続!」
そう言うと彼は懐から何枚かの写真を取り出して俺に突きつけた。
「これがお前が女子寮でセクハラをしているという証拠だ!」
俺は彼に突きつけられた写真を受け取り見てみる。そこには何と…俺が下着を盗んでいる所や、女子寮に住んでいる住人の胸を揉んでいる所が激写されていた。
なんだこれ!? 俺はこんな事してないぞ。
おかしいと思って良く目を凝らして写真を見てみる。んん…? 画質が荒いから分かりづらかったけど、よく見てみたらこれコラ写真じゃないか!?
要するにどこかの誰かが下着を盗んでいる写真に俺の顔をカット&ペーストして貼り付けているだけである。顔の部分のつなぎ目が雑なので比較的すぐに見破ることが出来た。
その他の写真も念のため見てみたが、全てコラ写真だった。写真に俺や女子寮の住人の顔をカット&ペーストして貼り付けているだけである。中には砂漠の真ん中で俺が胸を揉んでいる写真なんかもあったが…もはや女子寮関係ないじゃねえか!
一緒に写真を見ていた秋乃もコラ写真であることに気が付いたらしく、赤城に対して虫けらを見るような目つきになっている。まぁ自分の顔を勝手にコラで使われたら気分良くないよなぁ。
俺も呆れた目をして赤城を見ていると彼は更に自身満々に言葉を続けた。
「それだけじゃないぞ! その写真を激写した証人もこの場に呼んであるのだ。カモン証人よ」
「はい」
彼は手招きをしてその人を呼びよせた。
この写真を激写した証人? つまりこのコラ画像を作った奴の事か。一体どこの誰がこんな卑劣な事をしたんだ。相当精魂が腐ってる奴なんだろうな。
赤城の手招きに応じて人混みから出て来たのはなんと氏政だった。
こいつ…まーた裏切ったのか…。もう友達と思うのやめようかな…。
「では証人。この写真を激写した時のことを証言したまえ」
「はい、あれは1週間前の夜の事でした。俺はなんとなくフラッと女子寮に寄りたくなって女子寮に入っていったんです」
「まずフラッと女子寮に寄りたくなること自体おかしいだろ…。女子寮は居酒屋かなんかかよ…」
「そうして俺が女子寮に入った時でした。『キャー!』という絹を割くような悲鳴が聞こえたのでそちらの方を見ると、そこにいる東阪兼続が山県秋乃さんの下着を奪おうと彼女に襲い掛かっている最中でした」
「そんなことされてませんけど?(むしろされたいんだけど)」
「本人から否定されとるがな…」
秋乃はケロっとした顔で否定する。やってないんだから当然の反応だよな。
「俺は居ても立っても居られなくて…この悪行をカメラに収めようとスマホのカメラを起動してこの写真を撮ったんです」
「そもそも目の前で女性が襲われてたんなら写真撮らずに助けに行けよ…」
「東坂兼続はその時全裸でションベンを漏らしていました。俺はおぞましくて足がすくんで…、写真を撮るので精一杯でした」
「全裸でションベン漏らしたのはお前だろ! 人になすりつけんなよ…」
まったくもってツッコミどころ満載の証言である。こんなの信じるやついるのかよ…。
「証人、ありがとう。辛い経験を良く話してくれたな。諸君、これでわかっただろう? 東坂兼続が女子寮に住むにふさわしくない卑劣漢だと…。よって本日より東坂兼続に代わってこのボォクが女子寮に住むことにする!」
彼がそう宣言すると、彼の取り巻きの女の子たちは「政宗様素敵! 兼続最低! ゴミ!陰キャ!」と再び騒ぎ立てる。
…彼らは自分が押してるイケメンがアホな事を言ってる自覚はあるのだろうか? 間接的に自分の価値を下げることに繋がると思うんだけど…良く分からんな。とりあえずイケメンの言う事は全て正しいと言う奴か。
「さぁ! とっとと女子寮から出ていくがいい」
赤城は俺の方を指さしてそう言うが…。やっぱりこれ俺が対応しなくちゃダメなの? めんどくさいなぁ…。
「なぁ赤城…証拠の偽造って犯罪だって知ってるか?」
「このボォクが出した証拠が偽造とでもいうのか?」
「この写真…明らかにコラだよなぁ…。顔の部分の貼り付けが不自然だし。それに氏政の証言だって矛盾だらけだ。俺今から大学の法テラスに駆け込もうと思っているけど別に構わないよな? お前、大学にいられなくなるかもしれないぞ?」
確か刑法に「証拠隠滅等罪」とか言うのがあったはず。他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、もしくは変造し、または偽造もしくは変造の証拠を使用する罪で3年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるらしい。この前刑法の講義で習った。真面目に聞いていてよかった。
「クッ…脅すとは卑怯な…。分かった。その証拠は不備があるので取り下げよう」
「どう考えても証拠を偽造する方が卑怯だろ…」
流石の彼も前科持ちになるのは嫌らしい。というかマジでこの適当な証拠で俺を追い出せると思ったのかよ…。流石に考えが甘すぎやせんか?
俺はとりあえず面倒な事が終わったと肩の力を抜いてため息を吐く。まだ明日も試験があるのに無駄な精神力を使っちまった…。
「か、兼続…。ほんの出来心だったんだ。許してくれ。これからは絶対にお前を裏切らないと約束する。だから…」
氏政が申し訳なさそうな顔をしながら俺の方に謝罪に来た。
こいつの扱い…どうしようかな。とりあえず甘やかすと碌なことにならないので厳しく行くか。
「お前誰だっけ?」
なので俺は彼をもう友達とは思わないことにした。
「お前の大親友のナイスガイ、黄田氏政だよ! 兼続…頼むから許してくれよ。しょうがなかったんだ。俺金が無くてよ。明日食う飯にも困っていた…そんな時に赤城にそそのかされたんだ。兼続を貶める事に協力するなら金をやるって…。全部赤城のせいなんだ! 俺は悪くねぇ!」
「でもやるって判断したのはお前だよな? 大親友を売ってまで食う飯は美味いか?」
「あぁ! ココ〇チのカレー美味かった!」
「もう絶対お前を友達とは思わん!」
「冗談だよ、許してくれ! 本当にこの通り、なんならこの場で全裸になってもいい! ウッウッ…頼むよぉ…」
氏政は泣きながら土下座をして俺に許しを乞うてきた。はぁ…俺もやはり甘いなぁ。
「今回だけだ。次裏切ったら今度こそ敵扱いするからな」
「ありがとう…ありがとう兼続…。流石大親友だ。兼続、マイグッドフレンド!」
彼は嬉し涙を流しながら俺に抱き着いてくる。嬉しくねぇ…。あと鼻水が服に付くからやめろ。まったく…。
「赤城、これで気はすんだだろ? 俺たちはもう帰るぞ」
「まだだ! まだお前がセクハラをしていたところを見たという証人がいる」
えぇ…まだいるのかよ…。めんどくさいなぁ…。とっとと帰って明日の試験の勉強をしたいんだが…。誰だよ。俺にこれ以上イチャモンつけてくる奴は?
「では証人をサモンしよう。来てくれたまえ!」
「了解したわ!」
この声…もしやと俺の背中に嫌な汗が流れる。赤城の招集に従って自信満々の顔で登場したのは板垣弥生だった。
今日は厄日かぁ? めんどくさい連中3人に絡まれるなんて…。
彼女の方は俺の方を指さすと証言を開始した。はてさて彼女はどんな難癖をつけてくるのやら…。
「こいつはね。美春お姉様をジロジロといやらしい目で見ていたのよ」
「…えっ? それだけ?」
「それだけとは何よ!? 立派なセクハラじゃない! あなたが女子寮から撤去するには十分な理由だわ。そしてあなたに代わって弥生が女子寮に住むんだから!」
「あのなぁ…、ただ見てただけでセクハラになるんならこの世の全ての男がセクハラをしている事になるぞ…」
「ただ見てただけじゃないわ。『いやらしく』見ていたのよ」
「いやらしくってどういう事だよ…。お前がそう思っただけじゃないのか?」
「仕方ないわ。彼は詳細に証言しないと分からないようね…」
板垣さんはやれやれとため息を吐くと、一呼吸おいて話し始めた。
「あれはそう…お姉様が弥生たちに
ああ、あの塩と砂糖を間違えた塩っ辛いプリンか。またえらく具体的な日付を出してきたな。でも俺はその日に先輩を変な目で見ていた覚えなどないぞ?
「お姉様が弥生にプリンを配膳してくれる瞬間…、お姉様が比較的薄着をしていたせいもあってお姉様の豊満なお胸がプリンと同じようにプルンと揺れたわ。それをこいつは野獣の眼光をして見ていたのよ! あれはお姉様を狙う
えぇ…、そもそも俺はその時プリンの方に目が行っていて、先輩の胸なんて見てないんだけど…。それに俺はその日先輩がどんな服を着ていたかすら覚えていないんだぞ…。
「証人、ありがとう。これこそ紛れもない東坂兼続がセクハラをしていたという証拠だ!」
板垣さんの証言を聞いた赤城が勝ち誇った顔でそう宣言する。それに加えて赤城のとりまきの女の子達から「サイテー!」「懲役50年!」「おっぱい星人」というヤジが飛んできた。
「兼続君…」
秋乃が心配そうな目で俺を見てくるが、やっていないものはやっていないのでそうとしか答えようがない。
「俺は兼続を信じるぜ! なんせ友達だからな! 友達を信じないで誰を信じるんだ?」
その言葉は裏切ったことのない奴が言えばカッコいいのだろうが、裏切った奴が言ってもギャグにしかならん。
俺は板垣さんに向き直ると率直に答えた。
「いや、俺は見てないよ」
「嘘おっしゃい! 性欲お化けのあなたが可憐なるお姉様の乳揺れを見逃すはずが無いわ! 弥生だってその時お姉様の乳揺れを見ていたもの!」
どさくさに紛れてとんでもない事を言い出すなこいつは…。もう彼女はダメかも知らんね。
ん? …というか。
「その時板垣さんは先輩の胸に夢中だったんだろ? じゃあなんで俺が先輩の胸を見ていたことが分かるんだ? 視覚の角度的に無理じゃね?」
板垣さんが座っていた位置から先輩がプリンを配膳してくれた方向と俺の座っていた位置はほぼ逆方向である。頭の後ろに眼がついていない限りそんなことは分かろうはずがない。
「ハッ! しまった…」
彼女は口に手を当てて悔しそうな顔をする。やっぱり虚偽の証言だったか。はぁ…本当にこいつらはどうしようもない奴らだな。
「ぐぬぬぬぬぬぬ! 覚えておきなさい東坂兼続! 次こそは絶対美春お姉様を弥生の手に取り返してやるんだから!」
板垣さんはそう言うと走り去っていってしまった。
疲れるわぁ…。もう俺にからんでこないことを願うが、どうせまた絡んでくるんだろうなぁ…。
「で、赤城はどうするんだ? もうお前の用意した証人はすべて居なくなったぞ!」
「クッ、非常に不本意だが…。今回はボォクの不手際によりお前の勝ちの様だ東坂兼続! しかぁし、ボォクは諦めない! 必ずお前のセクハラの証拠を見つけて女子寮から追い出してやるからな! 覚悟しとけよ!」
赤城はそう言って捨て台詞を吐くと取り巻きの女の子たちと一緒にどこかへ行ってしまった。去り際にとりまきの女の子も俺の方を見て「ブー」とメンチを切って来る。あんな奴のどこがいいんだ?
まったくもって疲れた。この後試験勉強もしなくてはならないのに…すでに精神はクタクタである。あいつら1人だけでもクソウザいのに、3人組むとそのウザさは1000倍にも感じられる。さぁ今度こそ帰るか…。
俺はさっさと寮に帰ろうするが、赤城の持ってきたコラ写真が回収されていないことに気が付いた。
赤城の奴…コラ写真を片付けずに帰っていきやがって…。しょうがないな。俺の部屋のゴミ箱にでも捨てておくか…。
そう思ってコラ写真をポケットに入れようとした瞬間、凄い勢いで秋乃に写真をひったくられた。
「秋乃? その写真どうするんだ?」
「恥ずかしいから私がこの写真を責任をもって処理しておくね♪」
ああ、成程。コラ写真とはいえ俺に胸を揉まれている写真があるなんて女の子にとっては嫌で仕方が無いだろう。秋乃は他人に処理を任せてその人が処理を忘れたり、写真が残されることを危惧したのだと思われる。だから自分が責任をもって処理をすると言い出したんだな。まぁ俺としては誰が処理しても一緒だし構わんが。
「じゃあ秋乃に写真の処理は任せるよ」
「ま、任せて!(兼続君と私が映っている写真…コラとは言え有効活用しなくちゃ…//////)」
こうして嵐のような一日が終わった。頼むからめんどくさい奴らで徒党を組むのはやめてくれ! 精神が持たん…。
○○〇
次回の更新は6/18(日)です
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