第12話 俺は

俺は幼い頃から、他の皆とは違っていた。


5歳で既に親に捨てられ、貧民街の路地で生きてきた。

8歳になれば冒険者ギルドに加入でき、依頼をこなせば子供でも生きていける。

5歳の俺は、正式にギルドに加入できない代わりに、魔獣を倒しその核を低レベルの冒険者が低価格で買い取った。

その冒険者はギルドに正式に依頼料を貰って。


5歳でも魔法は無尽蔵に使えたし、相手の急所が分かるので、容易く仕留められた。

生きて行く為に、慈悲なんて想いはなく、淡々と魔獣を刈る。

まわりからは不気味がられ、他者との付き合いなど皆無。

一人でずっと生きてきた。


後に『勇者』のギフトがあると分かり、国に召し抱えられた。


歴代の勇者はその時代の王女を娶り、王族となり国政を動かしていたらしいが、俺は生まれが賎しいと来る日も来る日も魔獣や賊の討伐や戦争に駆り出された。


ただ淡々と生きて行くだけの日々。


全てがつまらなく、興味もなかった。


そう、あの人に逢うまでは。


あの人と初めて対面した日、始めはよく顔が見えず、いつもの様に王命を淡々と遂行するだけだった。

さっさと目標を倒し、報酬を得てまた次の仕事に取り掛かるだけ。


そして知る。


圧倒的な魔力。


一言で空気をも変える存在感。


なにより俺の全てを拐った、


あの紅い瞳。


初めてだった。体の芯から震えた。

そして高揚。

心拍数の上がり様。


もっと知りたい!

もっと近くに寄りたい!

もっとその紅い瞳で俺を見て欲しい!


気がつくとその人の部屋に一人、乗り込んでいた。






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