第11話市場解体、そして

不思議な現象が起きた。

後に人々はこれを【浄化の奇跡】と呼んで、語り継いだ。


カッ!と閃光が走ったと思ったら、爆音と共に奴隷市場が炎に包まれた。

炎は瞬く間に奴隷市場を飲み込み、跡形もなく消し炭になった。

そう、奴隷市場だけが。


すぐ隣の建物はその炎が燃え移ることもなく、何の変化もない光景が変わらずあった。


奴隷市場だけを焼き付くし、その炎が落ち着いた後には、数人の男が息も絶え絶え、倒れていたのみ。


周りの人々の通報により、駆けつけた警備隊が倒れていた男達に近づくと、


「やめてくれー!もうしない!もうしない!もうガキを拐って売っ払ったりしない!だから殺さないでくれーー!!」

「角が4本……角が4本……赤い目……あははははははははは…………」

と、あまりの怯えようで自らの罪を懺悔し泣き叫ぶ者や、自我崩壊し、まともに会話ができない者ばかりであった。



「で、今から何処に連れていこうとしているんです?」

静粛を終えた三人は辻馬車を拾い、ガタゴトと揺れる道を進んでいた。


「レジデント宰相の所だ。」

「宰相?何故に?」

「奴隷市場の報告だ。」

「(早く帰りたい早く帰りたい早く帰りたい)囚われていた子供たちは転移魔法でそれぞれの国に返した。我々ももうここには用はない…」

「このままでは、また同じ事の繰り返しだ。大元を断たないと。」

「まさか、宰相が黒幕ですか?」

「いや、俺達の前に客としていたのが居ただろう?アイツは財務大臣だ。宰相はこの国の重鎮の中でまともな奴だ。宰相に状況を報告し、知恵を借りる。」

「……仕方がない、また我々の国の民が犠牲になるのは防がねばなりませんね。」


あぁぁぁぁぁぁ、早く帰ろうよぅ。







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