第7話 呪いのアイテム?

「ちよっとまたブレイブったら魔王の所?」


「みたいね…。今日はカップケーキですって」


「なんだか、餌付けしてるようですねぇ。」


「緊張感が……」


拠点にしている宿屋の一室で、勇者以外のパーティーの面々は途方に暮れていた。


国王からは早く魔王討伐しろとせっつかれ、要のブレイブからは時期早々と待てを言われている。なので懐が厳しいにも購入した、羊皮紙はランバードのポケットに入ったまま…。


「しかし、ケチの国王がよくこんな指輪をくれたわね。こんな大きなルビーは初めて見たわ。どんな効能があるのかしら。」スカウトのミランダが指にはめようとした。


「ちょっと!ダメよ!」


慌てて聖女マリアンヌが止めるが、指輪はスッとミランダの指に収まってしまった。


すると黒々しい鈍い光が部屋を覆いだした。


「こ、これは!まずい!ミランダすぐ指輪を外しなさい!」


魔術師のランバードが指輪を外そうとするが、ミランダはびくともしない。


「なんだか、ヤバい代物なんじゃないのか、これ…」


剣士デンが剣を抜く。


「デン!まさかミランダの手ごと切り落とす気!?」


「切り落とした手ぐらい、マリアンヌのギフトで元に戻せるだろう?この状況はマズイと思うんだが…」


『何をガタガタ言っているの?少し頭が痛いから休むわね。』


ミランダがぼぅっとしながらそう言うと、部屋のベットに寝転がってそのまま寝息をたてて寝てしまった。


「……なんだか声が変じゃなかった?ミランダ……」


「絶対呪いの指輪ですよ、これ……」


「ランバードの解除で外せない?」


「さっきからやってますけどね、びくともしません。」


またもや途方に暮れるミランダ以外の面々。


「……なんか、無理な気がしてきた。魔王討伐。」


ボソっとデンが呟き、直ぐ様マリアンヌが鳩尾を蹴った……。


「なんだかミランダの魔力が増えたような感じがするわ。」


「でも、ミランダはスカウトですからねぇ。魔力が増えるだったら私かマリアンヌが指輪をつけた方がいいような気がしますが。」


「やっぱり指を切り落とすか?」


「やめてやめて!血だらけなんて見たくないわ!石鹸とかで取れないかしら?」


そこへブレイブが戻ってきた。


「どうした?」


たった今の出来事を皆で一気に話し始めた。


「国王が指輪を?魔王討伐の為に…か。」


ブレイブがミランダの指輪に触れると、パアァァァァと光が溢れ、スルっと指から外れた。


「流石勇者だな。切り落とす必要がなくなった。」


「これは…俺が持っている。」ブレイブが懐に仕舞う。


「やっぱり呪いの指輪なのかしら?」


「かもな。」


「ところでブレイブ、そろそろ本懐を果たさなければならないのでは?いい加減、国王の催促が酷くなってきましたから…」


「……」


ブレイブは何かを考えているように、一点を見つめていた。


「ね、ここのところ何度も魔王と会ってるんでしょ?それはなにか弱点とか、機会を探っていたんでしょ?」


「……」


「まさか絆された訳じゃないだろうな?勇者が魔王と仲良しこよしなんて聞いたこともない。」


「皆に話がある。」


ブレイブがメンバーに向き直る。そしてポツリポツリと話し始めた。











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