第十話 エルフ少女の好奇心
チュンチュン、ピッピ、と小鳥たちが愉しげに歌う晴れやかな朝。
「うん………………、ん? んンんッ!?」
自分の部屋のベッドで目を覚ましたロンは、全身に強烈な違和感を覚えて慌てて毛布をめくり──、
「ゐっ、we、うぃ、ウィナッ!?」
己の胸板に抱きついたままスヤスヤ眠っているエルフ少女を見つけて、仰天した。
ロンは、普段からそうしているように下着一枚の半裸で寝ているので、ウィナは彼の胸にじかに頬を寄せていて、彼女のちいさな寝息が乳首にあたってどうにもくすぐったい。
「な、なんで、こんなことに……っ」
思わず呟いた時、ウィナが眠ったまま微笑んで、身じろぎした。
すると、彼女のゆるい寝巻の胸元から、ようやく膨らみかけたばかりの白い乳房が──、
(いっ、イカンッ!!)
ロンは、咄嗟に劣情を打ち払って視線を引き剥がし、額に手をあてる。
(なんで、ウィナが、俺のベッドに……?)
(まさか……っ、まさか、俺は昨晩、この子と……)
(いやいやっ、あり得ない。昨日の晩は酔っていたわけでもないし、それだけは、あり得ない。だって、よりにもよって、ウィナだぞ? エロウラやオリガならともかく……、いやっ、彼女たちとだってそんなコトはしない! 絶対にだ!)
混乱するロンが思わずぶんぶんと首を横に振ると、
「ん、んー……、んにゅぅ……」
ウィナが、なんとも可愛らしく呻きながら、ぼんやりと目を開けた。
「あー、せんせぇ……、おはようございまーす……」
目覚めてからも、少女はロンの胸にぎゅっと抱きついたまま、離れようとしない。
「エ、エエト……ウィナ? なんで、君が俺のベッドにいるのかな?」
「ふぇ? それは……、夜中にウィナがせんせぇのベッドに入ったから、です」
「いやっ、だからね? なんで俺のベッドに入ってきたの?」
「せんせぇといっしょに寝たかったから、です」
そんなの当然でしょ、という顔でしれっと答える。
「ウィナの家にいたときは、いつもお父さんといっしょに寝てたけど、ここにはお父さんはいないから、せんせぇといっしょに寝ることにしました」
「……っ」
「せんせぇのカラダ、大きくてあったかくて、お父さんと同じにおいがします。だから、大スキです」
ニッコリ微笑みながらいって、ロンの胸板にすりすりと頬ずりする。
「ウン。それは、アリガトウ……」
ロンは、全身を硬直させたまま、ぎこちなく口を開く。
「でも、でもな? ウィナ。俺はウィナの先生であって、お父さんじゃない。齢は離れてるけど、俺たちはいちおう男と女で……、俺たちがこういうコトをするのは、ダメなんだよ……」
「なんでですか? せんせぇは、ウィナといっしょに寝てキモチよくないですか……?」
「いや気持ちイイけど、それこそが問題っていうか……」
「よく、ワカラナイですっ!」
言うが早いか、ウィナはさっと身体を起こして、ロンの腹に馬乗りになった。
「っ!?」
ウィナは、ワンピースタイプの寝巻を着ている。
よって、この体勢になると、エルフ少女のふっくらすべすべの太腿と股がロンの肌にじかに触れるカタチとなり、その得も言われぬ感触は……オトコにとってまさに驚異であり、脅威でもある。
「うぃ、ウィナ、だめだって……」
危険な情欲に囚われつつロンが弱々しくいうと、ウィナはそんな彼を無視して、元気いっぱいの笑みをみせる。
「ねえ、せんせぇ。ウィナ、おねがいがあるんですっ!」
「うっあ……お、おねがい?」
「ハイッ。せんせぇのカラダから、白くてドロドロしたのをしぼらせてください!」
「はっ、はいぃいいっ!?」
ロンは、たまらず頓狂な声をあげた。
「ちょっ、ちょっと、ウィナ! 自分がナニいってるかわかってるのかっ!?」
「ハイ、わかってますっ! 男のひとのカラダをしぼると、白くてドロドロの、とーっても美味しい蜜が出るんですっ! ウィナ、それを飲んでみたいです! どこをしぼると出るんですか? ココですか、それとも、ココ?」
いいつつ、ロンの身体をまさぐりはじめた少女の小さな手は、まもなく、辿り着いてはいけないトコロに辿り着いてしまい──、
「あれ……? この、すごくカタくてアツいの、何だろう?」
「あぅっ!?」
「ウィナにはないモノです……。あっ、もしかして、コレをしぼればいいのかなっ?」
すぐに、少女の無垢な指先が恐ろしくキケンな運動をはじめる。
「だっ、だめっ! ウィナ、それ以上はだめだって!」
ロンが、思わず悲鳴に近い声をあげた、その時。
「オイ、いつまで寝てンだッ! サッサと朝飯つく──」
オリガがノックもせず、まさに最悪のタイミングで部屋に入ってきた。
「れ……ヨ……?」
そのままベッドの上のふたりを視界に捉えた彼女は、目を見開いて絶句し……、
数秒後──絶叫した。
「うっ、うわぁあぁああぁああっ!!!!」
その声を聞いて、何事かと他の少女たちもすぐにロンの部屋に駆けこんできて、
「きゃぁあっ!?」
「っ! しっ、信じられない……最低です!」
「ヤりやがったっ! このヤロー、ヤりやがったぁっ!!」
「英雄色を好むとはいうけど、思ったより手が早かったわねぇ♡」
「せ、先生……、こ、これは一体……?」
一様に頬を染めながら、じつにさまざまな反応を示した。
「ち、ちがう! ちがうんだ! 誤解っ、誤解なんだぁっ!」
身の潔白を主張するロンは、ウィナを素早く、しかし丁寧に身体から下ろすと、すぐに自分もベッドから出て、少女たちのほうへ駆け寄った。
「俺は、何もしてない! 本当だ! 信じてくれっ!」
必死に両手をあげてみせたが、五人の少女たちの熱っぽい視線は、なぜか彼の下半身に集中し──、
「きゃっ……!」
「そっ、ソコをそんなにして……、よくもぬけぬけと……!」
「お、オレの親父よりデケェ……」
「うふっ、期待以上だわぁ♡ アタシも我慢できなくなっちゃいそう♡」
「先生、あの……、ご自慢のモノなのかもしれませんが、いまは、そんなに見せつけないほうが……」
また、じつにさまざまな反応を示した。
「あっ! ちがっ……、コレはちがうんだっ!!」
ロンは慌てて両手で股間を隠したが、時すでに遅し。
「ちがう! 本当にちがうんだって! 信じてくれぇええっ!!」
それから──、ロンがどうにか少女たちをなだめすかすのに、大奮発した豪華な朝食を挟んで、たっぷり二時間を要した。
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