初恋ラブレター

第1話

初恋が出来なかったら大人になっても何も出来ないの。

目覚まし時計が鳴る。

 晃は目覚まし時計の澄んだ声で起きる。目覚まし時計は自分で買った。

音は部屋の隅々まで鳴る。朝の目覚まし時計。寝ている晃にも聞こえる。起こす音。そうでないと部屋の目覚まし時計は無意味になる。目覚まし時計を止めたその手は、右の手。仰向けでいたら左上に置いてある。右手で時計を止めたのは、少し寝違いの時、普段は仰向けで寝ていて、右手で止めた時はうつ伏せに寝ていて音が鳴り起き上り止めた。

同時に

「カタン。」

と聞こえるか聞こえないか。分からない様な音が外でした。目覚まし時計より少し遅い時間に音がする。

「カタン。」

で始まる。家の外にある、郵便ポストに入れ込む音、朝刊新聞晃は起きている。

「晃。」

下から母親節子が呼ぶ。一階はリビング。部屋を出て見るとハムエッグの匂いがする。

「学校よ。」

慌てた様な声は晃の耳に聞こえる。

「了解。」

晃の部屋は2階にあってリビングは1階。朝食のハムエッグの匂いと、目覚まし時計の音から鳴る。晃は目覚まし時計と節子の声で起きた。2階で制服に着替えている間に、ハムエッグの匂いが無くなり1階に降りた。一階のリビングで母親節子と顔を合わす。

「おはよう。」

晃から挨拶した。節子も挨拶を返した。リビングには、晃が起きる前から作りあげた、表温度が下がりつつあるハムエッグが白の皿に用意している。晃はハムエッグを食べて、

「行ってきます。」

と母に言って家を出た。

岡部今日子と待ち合わせて学校に一緒に行く。西田晃の住んでいる街は、住宅街である。小学校の時にこの住宅街に家族で引っ越して来た、通っているのは中学校、家から十キロの所にある。それで通っている乗り物は、自転車。色は緑。自転車に乗って朝出発する。いつも晃は自転車に乗るとき掛け声を発する。

「よし。」

晃の右足の甲は重いペダルを上げて重心を掛けて出発する。家を出発してからまず右に白い家がありその左側には茶色の家が建ってある。

「もう一息で会える。」

誰に会えるかって、そう岡部今日子さん。

僕と一緒に登校する人。

自分で決めた訳では無い、手紙面接で決まったから登校しだした。

手紙面接はこんな感じだった。

ノックをせずに、部屋の扉のノブを廻す。面談の緊張と触った瞬間でノブは硬いし冷たい。扉を開けたら茶色の机に二脚のパイプ椅子が向い合わせで並べてある。その部屋からは外は見えない校庭も見えない。晃は左側のパイプ椅子に座る事にした。手紙面談を行うのは、瀬波欅先生。先生は先に部屋に着いていた。

「今から手紙面接を始めます。」

先生は右側のパイプ椅子に座っていたが、僕が来た事を目で確認して座り直した。先生は黒のバックのチャックを開けて、紙らしき物を出して晃に、手渡した。

「はい、西田君、手紙。」

先生が言う前に紙と分かったが、手紙とは分から無かった。その紙が手に渡った時に手紙と分かった。色は青。手紙を開けると

「朝学校に登校する時には、岡部今日子さんと登校しなさい。」

と黒色のボールペンで書かれていた。晃は、岡部今日子は知っていた。クラスメートの女子だった。髪はショートカットで真っ黒。授業中は余り喋らない女子。他人の性格を僕から言うのも変だけど。内気。面談を終えて先生の手紙の解答がそれだった。

岡部今日子さんとの初めての会話。

「岡部さん。部活に入ってるの。」

「入っているよ。バレー部。」

晃は自転車を漕ぎながら岡部今日子の顔が良く見えた。手紙で先生が書いたことが良かったんだろう。

晃はバレーはやった事が無かった。テレビで見る遠い映像から思い出してみた。

「ちなみに日本代表なんか目指しているの。」日本代表に結び付けて。今日子は自転車の漕ぐ力が弱まりそうになり。

「簡単に言うね。」

自転車が止まりそうになりかけた。自転車の方向は学校に向かう。

「日本代表の前にしないといけない事、クリアーしまいといけない事があるんじゃない。」

今日子は、丁寧に言った、練習に着実に来て、レギュラー目指すそれが順序だと思う、それなのに、飛んで日本代表なんて早熟過ぎる。

「岡部さんは面談はいつ。」

晃は話を逸らそうと面談の話に映った。

「今日面談だよ。今の所は晃君日本代表には私はなれません。」

今日子はニコリと笑った。。今日子さんとの登校はこれで終わった。

僕らの通う学校には、手紙面談がある。正直学校の授業は乗る気になれない。今日は金曜日、岡部今日子の面談日。授業の終り今日子は、面談を受ける為に教室を出て面談室に着いた、自分達の通う中学校の校舎二階建てになっている為一階に降りる時には階段を降りなくてはいけない。一階の面談室に着くと瀬波先生がパイプ椅子に座っていた。

白色の手紙を貰い開いて見たら、

「クラス全員と喋る事。」

と書いてあった。今日子が受けた手紙。

手紙面接を終えたら瀬波先生は笑顔で部屋を出た。今日子は一人部屋に残った。瀬波先生は面接の時の服装はズボン黒のスパッツ。今日子はその手紙を四つ折りにして、スカートの中に閉まった。初めて受けた面接での内容。

クラス全員と喋る事。今日子は余り積極的に他人と喋る事は不得意であった。先生はなんでこのような命令的な手紙を渡すんだろう。とりあえず受け入れる事にした。扉を開き外に出た。

廊下に出ると、職員室から先生達が出てきた、その中に晃の姿もあった。

「西田君は今日はそのまま帰るの。」

「帰るよ。部活も入ってないし。」

「岡部さんは部活でしょ。」

「私部活があるから」

今日子は、晃の顔を見て言った。

「了解気を付けて。」

手紙を読んで実行した。言わないといけないという観念は無かったんじゃないかな。部屋

を出て階段を上って行く途中で、木本修二にあった。今日子の方から

「修二君。」

クラスの皆は部活に行く人、帰る人様々。

「修二君は今から部活なの。」

「あー。部活だよ。」

今日子は修二と喋る事にした。修二は今から部活に行く途中だった。

「何故。野球なんかしているの。」

光星と胸に二文字で書いてある。光星野球部のユニフォームを着ている。

「自分の意思で始めたよ。」

野球が好きで野球を始めた、修二。

「俺、グランドに行くね。」

三年A組の教室から校庭のグランドが見える。校庭では、野球部が練習を始めている。

ホームランを打つと、校舎の屋上の排水口にボールが引っかかる。ベースから校舎の距離は八十メートル。規定だと百二十メートル低いホームランを打つと、校舎の窓ガラスに当たる。

岡部今日子。自分の性格を言うのもなんだけど内気。面談を終えて修二との会話。今日子は部活動のバレーに行く。体育館の入口は、横びらきの扉である。靴入れは外扉の横一列に設置してあって、百足入れる様に、靴棚がある。体育館のコートはいつもワックスが掛けてある。顔を下に向いたら顔が映る。自分の顔写して自分顔とは認識出来ない。そこまでは、磨かれて無い。築四十年の体育館。

今日子は体育館に入ると、バレーが出来る準備をする。支柱は重い、何故かと言うと支柱を建ててネットを張る時、刈谷恵が今日子に言った。

「今日の面談どうだった。」

ネットを広げて張る時、上手く広げなくて、外せない。

「うん。まあ初めての面談だったからね。」

刈谷恵はまだ面談を受けていない。面談の事は話せない。刈谷恵はクラスメートであって同じ部活に所属している。

「さあ、練習だね。」

「私、アタック打つから。」

バレー部チームメート。

今日の練習は面接を終えてからの練習だった、試合はないので軽く時間まで流す事で終える。

今日の朝晃と登校していた時の会話。

「おはよう。」

晃から挨拶した。

「おはよう。」

今日子は少し遅れたと思い挨拶した。

「西田君は、部活入らないの。」

「今の所入る気ないよ。」

いつもの待ち合わせ場所。待ち合せ場所は、面談の時は言われなかった。晃と今日子の待ち合わせ場所には、大きな欅の木が立ってある。欅の木は、距離にしたら、自転車で5キロ走った場所で住宅街の中に植えてある街路樹のケヤキでは無くて、公園にしては何の囲いも表示も無くて家一軒一軒の間に一軒分の土地に、植えてあるものだ。今日子と晃の待ち合わせ場所。今日の気温は暑い。温度計だと三十度、その三十度の温度は、欅の木によって若干遮断されている。今の暑さは遮断された暑さである。

「西田君行こう。」

欅の木を抜けたら暑さが、どっと来る。

「今日も暑いね。」

汗ばんだ顔を拭うと、太陽の暑さは本格的になる。

「シャツが濡れてきそうだね。」

「着替え持ってきた。」

今日子は汗が嫌いで特にそのまま着ている事が嫌いである。

「とりあえずTシャツは持って来たよ。」

着替えのTシャツは白のシャツ。

「よーし。」

二人共準備万端だね。

「今以上スピードは出さないよ。」

朝から授業ばかり。一限目は、国語。二限目は、数学。教室の正面の壁に週間時間割が見える様に貼ってある。

「西田君は授業は好き。」

待ち合わせてから二人で学校に一緒に行きだしての会話。

「なんで。」

ケヤキの木を抜けると学校までの距離が近くなる。

「私ね、授業は余り好きでないなどっちかと言うと手紙面接。」

「なんで手紙面接なの。」

暑さのせいもあって晃のシャツは中の白のシャツが見える位になってきた。

「こうやって、晃君と登校出来るからかな。」

「そう、俺は岡部さんと登校してもしなくてもどちらでもいいよ。」

そう答えた晃に今日子は、体の感度は下がる事無く聞いた。

明日から一緒に登校しないとは無く明日も一緒に学校に登校しようと思っていた。

「学校まであと少しだね。」

待ち合わせの場所から一緒に登校して行く。

学校までは十キロ。待ち合わせ場所は、半分の距離の所、欅の木が目印。一緒に登校するクラスメートだったけど、一緒に登校する事喋る事により、学校に行くの事が楽しくなって来た。岡部今日子、この人と学校に行く。

学校に着くと、直ぐ授業が始まる。

今日の授業は一発目は国語だった。

二人は学校に着く。

「皆、元気か。」

国語の担当は藤原先生教室に入ってくるなり、元気よく掛け声を出先生である。

「元気です。」

と即答で岩下達夫が返す。

「よーし。おはよう。」

黒ブチの少し度きつい眼鏡を付けている。あだなはブチ先生。

「先生、今日は授業はするの。」

達夫が言った。

「当り前だろ。授業しないと先生は飯食えないからな。」

今日子が笑った。

「先生はお金貰う為に授業を開いてるの。」

目が大きくなり

「そう言う事じゃないよ。」

今日子と達夫は首を傾げた、始業のベルが鳴る。ベルの音は甲高い音。耳を痛める音では無く。

「それでは、授業するよ。」

ガヤガヤと喋り声をしていた、教室は静まりかえって教室は授業に変わる。授業は国語。

「達夫君は面談受けた事あるの。」

「嫌。まだだよ。」

「今日面談日でしょ。」

今日子が言った。達夫は余り心地良くなくて返した。余り受ける気になれない達夫は今日子との会話は弾まなかった。今日は朝から晴れである。授業の終わり瀬波先生職員室の横に手紙を持って来た。

「えっなんで。」

岩達夫は、正直面接は受けたく無かった。何故かと言うと。マンツーで向き合う事が苦手だった。良く下を向く達夫にとって、面接は心地良く無い。岩達夫。晃と同じクラスメートである。達夫も面談の対象者である。

達夫が住んでいる住所地名は、的野である。田んぼが多くて各住宅一軒一軒は、間隔がある、距離だと二十メートル。達夫の部屋から隣の家を目で見る時は大概夜、部活で家に帰って来て隣の距離を見るとき、部屋の窓から見る。

「蛍かな。」

と思う位の小さな灯りの家の照明が見える。LEDの灯りで真っ白な照明。達夫は朝起きる時は、母親の声で起きる。

「達夫、朝よ。」

達夫の朝は、母親の声で起きる。目覚まし時計が無くて。

「分かったよ。」

朝は、気だるくて重い。扉を開けて歩いて洗面台に向かう鏡を見て自分の顔を見つめる。鏡は汚れていて達夫の顔が歪んで見えた。

「他人かな。」

と思う位に鏡は汚れていた。達夫の朝は、母の声で起きる。指定の制服はいつもハンガーに掛けてある。

「よしっ。今日はこの制服を着て行こう。」

学校に行く時は、自転車で通学する。達夫の自転車の色は黒。自分で決めた色。

「行ってくるね。」

母に告げる。

「行ってらっしゃい。」

と達夫に言う。家から学校までは、一人で行く。今日は達夫の面談日である。

「達夫君今日面談日でしょ。」

今日子が言った。

「だけどね。」

「良かったね。」

余り面接に乗る気になれない達夫は今日子との会話は弾まなかった。今日は朝から天気は晴れである。瀬浪先生は職員室の横の部屋に来た。手紙を持って。何分瀬波先生は待ったんだろうか。達夫は来なかった。瀬波先生は面談室には入らなかった。髪の長さは肩まで来ている。面談に来なくても怒られはしない。

手紙面談。手紙。瀬波先生からの手紙。それを僕らは受ける。

「修二君将来は野球選手になるの。」

一重で触りたいまつ毛をかいている瀬浪先生は修二に言った。

「瀬浪先生は結婚しているの。」

「いや。独身よ。」

余り女性の質問には無知というか、先生に対しての質問でないが修二は言った。学校の廊下はその質問には響かない。唇はベタ口では無く、上下とも厚い唇。

「先生にそういう質問したらいかんよ。」

「えっなんで。」

修二の口が開いたまま

「私達に勉強しなさいという質問と一緒だよ。」

近くに居た今日子が廊下から言った、時間は放課後、全授業終了後。

「野球選手になりたいです。」

「なりたいんだったら。」

放課後の廊下は他の生徒で数が多くなってきている。

「努力する事でしょ。」

今日子がすかさず突っ込む。

「残念。テレビに出ている有名人を少し見て後は努力する事。」

「そうなんですか。」

修二は余り勉強が好きではない。野球が好きである。

「先生このグローグのメーカー分かる。」

今までの練習の積み重ねの汗で固まったグローブを瀬波先生の胸の前に出して聞いた。

「うーん分からないね。修二君教えて。」

修二との目が合い

「ミズノっていうんだよ。」

「聞いたことある。」

「買って貰ったんだよ、父さんから。僕ね、絶対野球選手になるんだ、父さんも夢は野球選手だったんだよ。」

修二はニコリと笑う。

「先生面接ってどんな内容なの。」

唐突に修二が聞いた。

「面接の事は教えない。」

瀬波先生は少し両足を落として、グローグの汗が届きそうな所まで、顔を落として修二に言った。

「部活に行って来るね。」

会話が終わって野球に行った。

「達夫君は、面接受けないの。」

木下恵美が言う。

「受ける気無いよ。」

「なんで。」

達夫の身長は百七十センチである。そんな身長から恵美を見下ろしながら、言った。

「どんな内容なの。」

「内容は教えられないよ。」

だって私まだ受けてないから、恵美は見上げながら言った。

首は痛くない。達夫に目を合わせたくても、合わせられない。

「先生は手紙持ってるよ。」

「あーあ。」

達夫は余り興味無さそうな感じで返した。達夫にどうか面接を受けさせて欲しい。恵美は部活に入っていない。所謂、帰宅部である。

そもそも帰宅部に部がつく事が疑問だ。学校終わってただ帰るだけ、生徒達に部で一括りにするの事が疑問だと。それに帰宅部には、正直、青春の明るさがない。

恵美は黒色の眼鏡を付けている。髪は短髪。恵美はまだ面接を受けた事が無い。

何故か。順番が、まだ廻って来てないだけである。

受けるか。受けないか。生徒次第である。でも順番は言って来る。

「来週は私、面接日なの、受けようと思っているけど、私が受けたら、達夫君も受けてくれる。」

身長差で達夫の目が見れない恵美は目が合い達夫は答えた。

「いや。分からない、面談受けてみるよ、その様子を見て考えるよ。」

手紙は人に伝える為の物か、人に物事を考えさせるものか。先生から出す手紙は多分ラブレターでは無い。指導の様な物。岩達夫は将来の目標は無い。

今日は、木下恵美の面接日である。木下恵美は、朝学校に登校したら、教室に向かう、クラスは晃と同じクラス。実は達夫と恵美は席は隣どおしで机は横にある。

「そうそう。私今日なんだよ緊張するよ。」

達夫は、恵美に少し興味を示しながら、手紙を貰ったらどうなるのか。と思いながら今日を迎えた。授業は国語であった、国語の担当は木村先生。木村先生は根っからの歴史好きである。無言で教室に入って来る、本人としては、本多忠勝を意識して、恵美と達夫は授業の内容は余り頭に入っていない。授業中携帯電話の音が鳴った音は、星野源のスタミナであった。着信音では無くて、ラインの音だった。恵美は、携帯を確認した。

「面接を受ける心境はどう。」

既読、宛は岡部今日子今の時点では、手紙面接の先輩にあたる。

「心境はどうって聞かれても。」

授業中携帯電話は駄目である。恵美は携帯が手放せない様で着信が入って来た時は、教室の中木村先生の授業が止まった。

「携帯電話の使用は駄目だぞ。」

木村先生は、恵美に言った。

「すいません。」

恵美は木村先生に頭を下げて、言った。教室は又授業に戻った。

今日子の質問に恵美は、返した。授業はベルが鳴るまで進んでいった。

放課後になり、木下恵美の面談になった。恵美は、一階の職員室の横の面接室に向かう。

恵美の心は、面接を受ける気持ちである。今日子から来た、メッセージの心境と言えば

答えられない。面談室の扉を開けた。横開きの扉は、開いて部屋の中には、面談をする為の丸星中学校に赴任した。瀬波欅先生が居た。瀬波先生は木下恵美に一枚の手紙を渡した

。部屋にはエル・イー・ディの蛍光灯が付いてある。恵美は入室する際、ノックした。

「失礼いたします。」

部屋の中から声がする。

「はい。」

受け入れてくれてありがとうと甲高い声で瀬浪先生が返す。

エル・イー・ディの明かりは瀬波先生と木下恵美を照らし出す。手紙は一枚。二つ折りにしてある。手紙を渡す前に、先生は恵美に尋ねた。

「学校は楽しいね。」

先生は、うっすらと恵美を見て聞いた。

正直、返す時間なんて無かった。

バックの中から、手紙を取り出して

「私からの手紙です。」

恵美は、二つ折りになった手紙を受けとった。瀬波先生は、椅子から立ち上がり恵美を残して、手紙は、二つ折りになっていて、それを開いて中の字を確認した。

恵美さんは、人を好きになる気持ちを持ちなさい。手紙を見た恵美は、先生が何を言いたいのか分からなかった。現在、恵美は好きな人は居ない。手紙を見た恵美は、先生が何を私に言いたいのか分らんかった。そうして、木下恵美の面接は終了した。

今回で三回目の朝。

待ち合わせの欅には、今日子が一番早くに着いた。今日の天気は暑いけど、朝は雲が出ていない。朝から夏空で少しすると、晃がやって来た。

「おはよう。」

今日子は、顔を確認して言った。

晃の自転車は緑色である。

「おはよう。」

学校に行こう。授業が始まるよ。晃と今日子

の自転車は互いに、学校に向かう。

「瀬波先生の事どう思う。」

ペダルを漕ぎながら、今日子は晃の顔を見ないで言った顔が見てこけてしまう。

「どう思うって普通の先生なんじゃない。」

普通ってどういう普通なんだろう。

「私ね、面接受けてから手紙にあった通り行動したのね。」

今日子は初めて手紙面接の事を晃に話した。晃と一緒に登校する事になって、今日で三回目。一緒に自転車で登校して、学校に行く事で、瀬波先生の事を話した。

「瀬浪先生の手紙面接の事。」

他校の生徒とは、接点が無くて、手紙面接は どこの学校でも行っている事なのかと思っていた。一緒に晃と走って大分経った気がした。今日は余り汗もかかないけど。周りには、樹木は、植え込みしていない、今日子と晃は歩道を走っている。道路は、この遊学の時間帯は、車が、車線を走っている。もちろん速度は晃と今日子の走っている速度よりも、早い速度で走っている、車の風が二人に当たっている。

「別に何も考えていないけど。」

晃は、今日子の顔を見ずに、言った。でも俺はその手紙のお陰で、岡部さんと登校出来るんだから。

「そうなの。」

今日子は言った。

「それもそうよね。」今日子は、晃を見て言った。晃の面接の内容は、岡部今日子さんと一緒に登校する事だった。

今日子は、ペダルを踏みこぎ晃の斜め前に出た。その時初めて晃が私と登校しないといけないと、知った。

住宅街を抜けると、学校までは、樹木は無い。一回目は晃がケヤキに到着して、今日子を待った、三回目の今日は今日子が先に着いた。初めて含蓄な会話をした。社交辞令って大人の人達が使うんだろう、仲良くなる会話なんだろう。今日子との会話が近くなった。

 瀬波先生。私達から言ったら先生。名前は、瀬波欅。私達に面接を行う先生。立場は、非常勤講師である。年齢は、私達より一廻り離れた感じ。中学生からみたら、歳年齢は基準値は親か周りの大人達から見て出していく。毎朝丸星中学校行きのバス停から、乗って学校に通勤して来る。バス停は、西田晃と岡部今日子が住んでいる所にある、住所は欅団地になっていて、この住宅街に住んでいる人は、正確に、二百三十九人。端数の合っている事から、市政の便りに書いてある数字から見て述べたものだ。バス停の色は緑色で、形は丸色の鉄の鉄板に丸星中学校前と書いてある。実は晃と今日子が待ち合わせする場所ケヤキの木より、五十メートル位離れた所にある。瀬波先生は、朝乗って来る、乗り始めると景色が変わって、学校まで、乗せて行く。景色は、走りだした時は、周りは住宅街、周りの家は、人が住んでいる家から、空き家まで。色は、白色から灰色、白が汚れた灰色。走り出したら、スロースピードで住宅街を抜けて行く。発車して、時間にしたら、六分位で晃と今日子の待ち合わせの欅の前を通る、欅は、葉がいっぱい付いている。この木は、夏に花では無くて葉っぱが多く咲いて花の分まで咲く樹木でもある。地域限定の樹木では無くて、東京から九州まで、広く見る樹木でもある。寒い時は竹ぼうきを逆さまにした様に立っている。空を掃除出来る位に、今は夏なのでほうきには見えない。この待ち合わせになっているケヤキの高さは、大体四メートル位あるようで地上から二メートルは、灰色の幹でそこから、枝が双幹にて分かれている。そのケヤキを通り過ぎたら、住宅街を抜けて県道にでる。

「次の停車は、丸星中学校一つ手前です。」

バスの運転手は乗客にも聞こえる様に、マイクで伝える。

「降りる方は、今日も一日無事故で頑張って下さい。」

車内には、ビーッと音が鳴る。瀬波先生は、停車ベルを押して、降りる事を伝える。髪は肩まで伸ばしていて、実は髪を染めている。今日の服は、リクルートスーツ。色は黒色。

バスは丸星中学校の前で止まると、瀬波先生だけを降ろして、次の停車のバス停まで走り出した。走り出したバスは、乗客を乗せて行く、バスを降りた瀬波先生は、中学校まで歩いて行く。歩く速度は、学校の授業に間に合う様に歩く。

「おはようございます。」

と先生に丸星中学校の生徒が挨拶をする。

「おはよう。」

下を向いて歩いてた為、顔を上げて返す。車通勤では無くて、バス通勤、マイカーは持っているが、停めて貰える駐車場が無いため、バスで通っている。

「先生、車の免許持って無いの。」

以前聞かれた事がある。その時は、正確な答えはしなかった。瀬波先生は非常勤講師の為駐車場は確保されていなかった。正門は、鉄で出来ていて、横に手動で動かせば、開閉するゲートである。皆は、鉄門と呼んでいる。その鉄門を入ると、真正面にグランドが見える。グランドには、誰も居なくて横を抜けると校舎があり、少し歩いて奥に目をやると駐輪場がある。駐輪場に自転車を止める、車の駐車は、学校の先生や後、学校に来るお客さんなどが停める事になっている。

瀬波先生は、バスから降りて歩いて学校の正門鉄門まで来る。鉄門を抜けると、校舎が見えて校舎に入る入口が勿論ある。校舎は鉄筋コンクリートで出来ている、入口から職員室に入る、中に入ると先生達が朝の職員会議をおこなっている。毎朝行うミーティングである。学年ごとにミーティングを行っている。瀬波先生は、学年は受け持ってい居ないので、このミーティングには不参加である。

職員室のも間取りは、各先生達に一人一人机が与えられており、一年生が三クラスで、二年生が四クラス、三年生が四クラスで、机の数は十四個十一個の机は縦に向い合せで並んでいて、上座に、三個の机。三個は教頭先生他の先生の机である。非常勤講師瀬波先生の机もある。向い合わせで五個列にしたら、二列一余るけど、もう一つに並べてある机に座る。机の上は真っ白のA四サイズの紙が数枚並べてある。

机には、瀬波先生は紙に目をやり机の引出しを、開くと黒色のファイルが入ってあった中を開くと生徒簿が入ってあった。生徒簿とは、出席簿の事である。

今日の面接は修二君、本名は木本修二。出席簿を見ると、木本修二と書いてある。名前に赤鉛筆で下に線を引く、備考欄みたいな空白があってその欄には部活は野球部とだけ書いてあって下の欄に、性格と横書きしてる、正確は空欄。分かっているのは、部活と名前だけ。部活は前に廊下で語ったことがあった。

授業の終りかけの時、将来の夢は野球選手になる事。机にはAー四サイズの白い紙が置いてある。その紙に野球選手になるには、野球だけでなくて、先生の手紙も読んで受け入れる事。と書いた。

「リーン。」

と始業の音が鳴る。職員室の先生達は一限目の授業に行く為に、職員室を出る。

「瀬浪先生は今日は誰の面接ですか。」

三年生の担任でもあり、数学を一括で受け持つ岡元先生ニックネームは岡さんが言った。

「木本修二君の面接です。」

瀬波先生は言った。

「そうですか。」

机の紙は、真っ白で面接の始まる、放課後までに、何か書かないといけない。岡本先生の返しは、数学を受け持つ担任の全うな担任の返事なのだろう、木本修二に対しての返事で

ないのだろう。岡さんは、誰が付けたのか、瀬波先生です。

でもこのニックネームは、瀬波先生一人だけものである。根源はまだ、言わないのにしと

こう。時間は、十六時放課後になり、廊下には、授業を終えた生徒達が出てきた。生徒が廊下にに出てくると、廊下は、生徒達の声で闊歩する。木本修二が教室から出て来た。木本君は、出て来たら直ぐ分かる、丸星と正面に刺繍で縫ってある帽子を被って出てきた姿を見た途端。

「修二君今から面接ですよ。」

修二は、その事を聞いてから帽子の鍔が上がり今日が面接である事を知った。

「俺、今日面接だったかな。」

「お知らせ来てたでしょう。」

 お知らせとは、手紙面接は私では無くて生徒が受けたいと思った時、瀬波先生が真っ白

いA四の紙に書いて、面接を受ける生徒に渡す。とりあえず生徒に書く。実は修二はそのお知らせを先日、授業の時に感じたけど日が経つにつれて、忘れてしまったのだ。

修二はおちょっこちょいで授業の話は聞かない性格であった為忘れた。

「先生、少し待ってて。」

大きく手の平を前に出しジェスチャーしながら言った。

「分かりました。」

先生は、ほとぼり修二を待つ事にした。瀬波先生は教室に入れない二階の廊下から階段を下りて職員室に行く、他の先生や生徒達は、廊下の左側を歩く、瀬波先生は左側を歩くが、更左壁ぎりぎりに左側を歩く、歪曲に歩いてる訳でも無い。足音は、身長百五十三センチの五十五キロで、擬音語にしたら、カスっとした音。顔は一重瞼で上下共に厚い唇。校舎の階段を下りながら、職員室に寄る。書いた修二君への手紙を手に取り、

「来てくれるだろうか。」

と思いながら二つ折りにして黒のトートバックにしまった。職員室からは、グランドが見

える。そのグランドを見れば、グランドの大半は、野球部が使用している。

他の部活動は、陸上部。面談室のノブを開くと瀬波先生が待っている。

「トントン。」

三回鳴った。部屋の外から、

「木本修二です。」と聞こえた。

私、瀬波先生はこの木本修二の声で今日学校に来た甲斐があったというより、手紙を書いた事が通じたのだと思った。

「はい。入って良いですよ。」

外に居る、修二に向かって返事した。扉が、開いて木本修二が一礼して部屋に入っ

て来た。

「瀬浪先生手紙面接お願い致します。」

修二の顔を見て、

「分かりました。」

向かい合った椅子を引いて座った。トートバックは、チャックをしないままで、

口は開いたまま、手を入れて手紙を取った。見えない様に二つ折にしてある、その手紙を

手に取り、

「木本修二君への手紙です」

と修二に渡した。修二は受け取り開けて読みたいという気持ちを察したのか。

「この部屋で、手紙を開ける事は禁止ですよ。」

修二は、席を立ち椅子を戻して、部屋を出た。部屋の扉、正確に云うとノブの色は茶色で

付いてある。

修二は、扉を閉めて一呼吸置いて、手紙を確認すると。

「野球選手になる為には、野球だけじゃなくて、授業もしっかり受ける事。」と書いてあった。内容を読んだ修二は、余り理解出来なかった。学校には、来ている、授業も受けている。野球選手は授業を受けていたのか。でしたら、授業をまずしっかり受けて行こうと思った。校舎からグランドが見える。うちの学校は野球部とサッカー部が半分半分使用している。左を見ると鉄門が見える。

「五日目の朝。」

 今日は、晃の方が、待ち合わせのケヤキには、早く到着した。少しケヤキを見上げる時間があったので上を見上げた。

ケヤキを見ると、空をはわけそうな位葉がついてある、朝の太陽の光は夏の木漏れ日も遮断してくれている樹木である事に気付いた。

今は、夏で朝から暑い。

まじで、その温度を下げてくれそうな。女子と待ち合わせに汗だくで待っていたら、アウトなんだろう。

ケヤキは、多汗しない様に、汗を抑えてくれた。タオルを持ってきてあったので、リュックから取り出して、汗を拭う。

岡部今日子が自転車に乗ってやって来た。手紙の通りに登校する。

「西田君、今日は待たせてごめん。」

今日子は、悪びれた様子で言った。晃と今日子は学校に行く途中には、欅の木しか植え込みしていなと思っていたけど、一緒に行く途中に、道脇には、花や草は植えてある。花や草は待ち合わせの印にはなっていない。

「西田君、この間木本修二君、面接受けたの知っている。」

晃は知らなかった。

「受けたらしいよ。面接、何か変化感じた。」

晃は感じていなかった。現時点で瀬波先生の面接を受けて実践聞いているのは、晃と今日

子だけだった。一緒に登校し始めて変わった事あったか。学校に行く途中、花の名前は分

からないが、色は分かった。

「晃君、その花の名前は、分かる。」

自転車で登校中に今日子は、言った。

「分からない。」

色は分かるが名前までは分からない。

「今日子さんは、花は好きなの。」

質問に答えられずに返した。

「一瞬だけ見るのは、好きだけどずっと見ているのは苦手。」

咲いている花は、丁度開花していた。自転車を走らせると丸星中学校が見えて来た。二人は鉄門から入り自転車置き場に自転車を止めた。駐輪場は、校舎の斜めに位置する。

一限目から授業が始まる。一限目の授業は社会だった。日本史からの授業担当は木戸先生。姿は眼鏡を付けていて、太っている。先生は、駐車車に車を止める。駐車場に車を止める事が出来るのは、正の教員だけである。因みに木戸先生の車は、白色のプリウスです。形がスマートでカッコいいその好みで買った車である。授業内容は余り聞かない事にしている為、授業は飛ばす事にする。木戸先生は、ギャグの通じない先生でもある。岡部今日子と晃は同じクラスだから、教室に居ても、会話するようになった。

「今日は誰の面接なんかな。」

晃が今日子に言った。

「今日は誰だっけ面接。」

晃は返したが答えは出なかった。

一限目の授業が始まる前に教頭先生が教室に入って来た。

「放課後の面接は無いぞ。」

うちのクラスに入って来てそう言った、教頭先生は唐突に言った。

教頭先生は、うちの丸星中学校の二番目に、偉い人である。容姿は背が見た感じ百七十センチ位で髪の色は白髪が入っている。

「何でですか。」

今日子が聞いた。

「瀬浪先生は今日から学校には来ません。」

堀教頭先生が言った。

「皆授業が始まるから、静かに席に着いて。」

クラスの皆は各自席に着いた。授業は一限目から六限目まで続いた。放課後になると、教

室から、生徒達が出てきた。瀬波先生は廊下にはいない。木ノ下恵美は、初恋が分からなかった、人を好きになれなかった。瀬波先生の初恋ラブレターは、木ノ下恵美によって、破られた。

「私ね、好きな人は出来ないけど、瀬波先生の手紙面接又受けたい。」

木ノ下恵美は、下校途中に思った。

先生の名前は瀬波欅。授業は持たない先生である。受け持つ科は、面接、生徒に面接を受けさせると言っても強制では無くて、生徒が面接を受けに来る、最初はそんな感じから始まったけど。

「欅は、花は咲かないよね。」

晃と今日子の通学途中の会話の一節である。

年齢は、二十七歳。この仕事は、知人から聞いて学校の面接を受けた。最初の動機は教師の仕事に就くという思いだった、学校に行って面接を受けた。面接の場所は一階職員室の横の部屋だった。

「うちの学校は普通の学校です、部活も取り訳強い部も無くてですね。」

面接管の教頭先生だった。

「私が学校の教頭です。」

挨拶された、面接場所は、職員室の横の部屋だった。入室の際はノックして入った。

面接は色々何聞かれるかと考えて臨んだ。面接の中で質問の中で一番気になった事は、

「学校に来るにあたって、瀬波さんが学校時代出来なかった事ありますか。」

と聞かれた。私即座には答えられなかった、言えないけど初恋というものをした事が無かった。人を好きになる気持ちが分からなくて社会人になった。学校を出て、丸星中学校の面接を受けた教員の枠は埋まっていた。

「今の所は、一年生から三年生の各担当も全員居るので、正の教員は要らないですが、非

常勤講師で活躍して頂きたいと思います。」

教頭先生の名前は堀教頭先生。年齢は五十歳。私よりも大分上だと思った。

「瀬浪さんには、授業を受け持って頂きたいです、しかし、授業を教える先生は全員おり

まして、先程言った様に、枠が埋っているので、こちら側も職員会議で掛け合いまして、

面接管という枠を学校で作りました、説明すると手紙を瀬波先生に書いて頂く、書く場は、職員室に机を置いております、そこで考えて書いて下さい。まずは仕事はそこからで

す。どうですか、瀬波先生。」

聞いてきた。仕事という単価でお金は貰えないだろうなと思い最後まで教頭先生の話を聞

き面接を終えた。

「なお、採用のお知らせは、今日では無くて後日手紙にて郵送でお知らせします。」

面接は終わり瀬波さんは3日後学校からの手紙を受け取った。

合格通知は郵便は普通郵便で送られて来た。瀬波さんは、両親と暮らしていた。郵便が届

いた時は、家に居て配達員さんから直接採用手紙を受け取った。手紙には、面接は合格です。

「学校には、一週間後に来て下さい。」

瀬波欅は、思わず以外に考えていた、採用になるとは、思わなかったから。一週間後の準備をしないといけない、準備は何をしなければならないか。住んでいる所は丸星中学校から校区内にある住宅街に住んでいた。詳しく言うと、住んでいる家の前には、公園がある。住宅街にある公園なんで近隣公園、土曜日には、家族連れなどが利用している。手紙は、郵便屋さんがバイクで来て直接投函していった。

音はしなかった。両親には言った学校の事、面接の事そして、合格の事。気持ちは学校の

事考えて、一週間後を迎えた。

「さあ手紙面接を始めます。」

最初の面接は西田晃君、岡部今日子さん、木ノ下恵美さん、刈谷有君、木本修二君、刈谷恵さんの順序で行いました。

「面接は受けてくれましたが、受け入れた人は西田君と岡部さんです。」

非常講師になって、瀬波先生と学校の面接で言われた事。

「瀬浪先生は学校には来なくていいですよ。」

「何でですか。」

と聞いた。何でクビになったのか分からなかった。

「木ノ下恵美ですよ。あの子に人を好きになれと面接したでしょう。」

堀教頭先生は瀬波先生に言った。

「そういうのは、なんか学校生活とは、無縁な事で質問でも、しっかりした面接でもないんじゃないですか。」

面接の内容が間違っていたじゃないか。

堀教頭先生は先生に向かって言った。

「採用面接の時に、手紙を書いて下さいと言いました後学生時代に出来なかった事でしたね。」

堀教頭先生は直観で思って聞いた。

「瀬浪先生は学生の時初恋した事ありますか。」

「嫌。初恋した事ないんですよ。」

瀬波先生は困った顔せずに教頭先生に言った。愚直な答えだった。

「私は瀬波先生に、生徒に手紙出して面接を行う手紙面接をして欲しかった。」

丸星中学校には、全教員がいて、授業を行っていた。そこで瀬浪先生には、手紙面接を行って、距離を作る。

「最初はそんな感じが欲しかった。木下恵美が人を好きになったら、学校に来てもいいです、後先生が出来なかった初恋が出来たら又面接を受けましょう。その時はお知らせいたします。」

教頭先生はそう云うと教室を立ち去った。

学校に来なくなったのは、木ノ下恵美さんの、面接を行った後だった。

私は、間違った手紙を書いてしまったのか。自問自答した。

以前朝職員室で、手紙を書いていた時に言われたことがある。

「瀬浪先生は、手紙面接をして生徒達に何を書いててるんですかと。」

その時は答えなかった、答えてしまったら駄目だと思い。

私は、初恋がした事無くてその初恋の恋を生徒に感じて欲しくて

「六日目の朝。」

欅の木の葉は落ちだしてきた。

晃と今日子は待ち合わせの下にやってきた。先生が学校に来なくなって初の登校、晃と今日子は、欅にやってきた。

「おはよう。」

挨拶を先にしたのは、今日子だった。

「おはよう。今日子さん。」

「来たね。晃君。」

今日子は晃が来ると思っていた、晃は今日子は来ると思っていた。

「来たね待ち合わせの場所に晃君。」

今日子はにっこりとして晃に言った。

「ああ来たよ、待ち合わせの場所に。」

晃は返した。今日はそういう会話から始まった。二人は、自転車を漕ぎ学校に向かう。

「晃君先生は来なくなったね。」

晃は本当は嫌だった、瀬波先生が学校に来なくなるなんて。それを今日子に露骨にだす事は出来なかった。

「学校に行こう。」

今日子は晃に言った、二人の自転車は学校に向かって走り始める。行く途中に花が咲いている、名前は分からなかったので、晃に聞いた。

「その花の名前分かる。」

「嫌分からないよ。」

赤色がかった花であった。

「その花は、エキナセアよ。」

二人の後ろから答えて来た。晃と今日子は自転車を漕ぎながら振かえると木ノ下恵美が居たというより自転車に乗って近寄ってきた木ノ下恵美も自転車通勤である。

「エキナセアっていうの。」

今日子は問いたと同時に恵美に向かって

「おはよう恵美さん。」

と言った。二人が三人になり、三人で学校に向かう事になった。エキナセアというのは、夏に咲く宿根草であって、今ここに咲いてる色は赤色だった。

「詳しいね、恵美さん。」

今日子は言った。

「おはよう、木ノ下さん。」

晃が遅くに言った。

「いつも二人で朝学校に一緒に来てるの。」

恵美は晃に言った。恵美は、交際しているのかと思った、私の出来なかった初恋をこの人

はして、交際して朝一緒に来ているのかと思った。

「いつもじゃないよ、最近よ瀬波先生が学校に来てから。」

「手紙面接から一緒に登校し出したよ。」

「手紙面接の指示受けたんだね。」

恵はそう言うと晃か今日子の回答を待った。

「そうよ、先生の指示受けて晃君と登校しだしたのよ。」

今日子はそういうと恵美の反応を待った。

「一緒に登校し出して学校に行く時の変化はあった。」

変化うーん分からないね。

一人で登校していた時は何気なく登校していたけど、晃君と登校しだして学校に来る事で、まずは、待ち合わせで欅ていう木知らなかったけど欅の木の名前を知った。

知ったのは、手紙に書いてあった待ち合わせの場所の指定で欅の木を書いてあった、最初見つけられなくて手紙読んだ時に、待ち合わせは分かったけど、正直欅が分からなかった、一回目初めての待ち合わせ自信が無くていつも五分間位家を出る時間を遅らした。

自信が無くても木が目印だと思い自転車を走らせて向かった丁度、学校までは木は一本しか無くて多分これかなと思い向かった先が欅だった。

「おはよう。」

だったかな、先に挨拶をしたのは、晃が立っていた欅の木の下で、それで分かった欅だと。

手紙面接が始まって登校する様になった。

恵美は、答えた。

「それやった、明日から私も一緒に登校して良い。」

「えっ。なんで。」

今日子は言った、一緒の登校する事が嫌では無くて。

「いいよ、一緒に学校に行こう。」

恵美はうれしさの次に喜んだ。

これまでは、恵美は誰とでもなく一人で自転車で通学していた。

「待ち合わせは、この欅の木ね。」

晃が言った、恵美は頷いて答えた。

欅の葉は落ち始めて来た。

「瀬浪先生は学校に来なくなったね。」

何故来なくなったの原因は分かっていた。

「手紙面接の事気になってるの。」

晃と今日子はそれぞれに言った。

「気に擦る事無いよ。」

学校にもうすぐで着く所で恵美に言った、内容は聞いていないけど晃は言った。

三人は学校に向かった。今日の授業は体育である。

「私のせいで瀬浪先生クビになったんかな。」

瀬波先生に学校に来て欲しかった。

「恥ずかしいけど初恋ってどんな感じなの。」

恵美は、晃には聞けず今日子に聞いた、今日子は手紙の内容は知らなかった。

自転車を漕ぐ足が止まり惰力で自転車が進む。

「えっ。初恋。なんでそんな事聞くの。」

今日子は驚いた朝の登校時にそんな事聞くのかと、初恋知っているけど経験が無かった。

「いや、知っているかなと思って。」

「知っているよ、まだ恋をした事が無い人が初めて人を好きになる事だよ。」

今日子は自信ありげに答えた。

「ありがとう、そうなんだね。」

答えを知った恵美は、ありがとうと答えた。

初恋そんな答えだったのか。他の人はしっているのかな。

「今日子さん実は相談があるの。」

恵美は今日子にこの先苦しむ事になるよりは、今日子に言って解決した方がいいかと思い言う事にした。

「私ね、瀬波先生の手紙面接で初恋を事書かれたの。」

今日子は、聞く事にした。

「でね、先生から初恋をしなさいと書かれて従おうとしたけど、分からなくて、それが出来なくて。」

今日子は直観した瀬波先生が学校に来なくなったのは、恵美の事で先生は学校に来れなくなったって。

「恵美は、責任感じているの。」

「えっなんで。」

今日子が言った事は確かにそうと言える事だった。

「責任というより、先生が私に出した手紙の内容がいまいち分からなくて。もしかしたら、私のせいで学校に来なくなったのかなって。」

今日子は瀬波先生の面接の時貰った手紙は、捨てないで持っている。

先生の言うことを聞いた。

恵美も手紙は持っている。

「そんなとこ無いと思うよ。」

今日子は労う様に言った、でも実際は恵美のせいでもある。

「私ね、瀬波先生に学校に来て欲しいね。」

恵美は今日子に相談、解決で聞いた。

「私は瀬波先生の手紙面接のお陰で学校に来ることが出来たね。」

今日子は瀬波先生に又学校に来て欲しいと思い恵美の相談に乗る事にした。

学校は余り好きでは無かった授業は聞いても頭に入らないし。

「私ね思うんだけど恵美がね、初恋出来れば先生は学校にくるんじゃないかな。」

提案した、恵美に好きになってもらえばいいと。それが何であろう初恋だと。

「いいよ、瀬波先生に又学校に来てもらおうと。」

恵美と晃と今日子は学校に着く。今日は三人で初めての登校だった、恵美の自転車の色は赤色、三人とも同じクラスである。クラスは3年A組。

学校に着くと鉄門はまだ空いていた遅刻ではない事を語っている。

学校に行く途中通学の時に聞いた事、初恋の事。

今日子に聞いたけど、答えらしきものは分かったけどその先が分からない。

人を好きになる事。晃にアドバイスされた、今初恋が出来なくてその事がトラウマになっているんだったら瀬波先生の手紙の内容は忘れた方がいいと。

今クラスに好きな人は居なかった、そんなアンジェラスな事で先生が不幸になるなんてなんか変である。

三人で教室に入ってから晃が言った。

「木ノ下恵美に初恋をしてもらおう、なんだっていいから。」

晃は大雑把な性格で声もでかい。その声は私達の教室に響いた。

クラスの橋野玲奈は声を聞いて、近寄って来た。

「初恋何の事、私にも教えて。」

ちょっとおちゃらけていて明るい女の子である。

「いいよ参加する。」

橋野玲奈に近寄り語って来たの晃だった。晃は、橋野さんは、初恋に参加するのかと、聞いてきた。晃達の会話を聞いての問いだった。

今日子が会話に入って来た。

「橋野さんも一緒に協力する。」

今日子は橋野玲奈に言ったと共に、手紙の約束を守った。皆と会話していく。

橋野玲奈同じクラスの女子である。

橋野玲奈は寄ってきて話を聞いたからには、参加しないといけない空気みたいな感じがあった。

「いいよ詳しく聞かせて私も参加する。」

人数が一人増えて四人になった。西田晃、岡部今日子、橋野恵美、後当の本人の木下恵美である。

教室は、生徒達の始業が始まる前のお喋りの声やらで闊歩していた。

「授業終わったら、話の続きをするよ。詳しくね。」

晃は橋野玲奈に言った。

「でも部活が私あるけど。」

今日子は言った。

「私は部活さぼるよ、キャプテンに言うよ。」

同じクラスの瀬能十里に言うらしい。

「私、部活休めないから明日の朝学校に行く時に聞くよ。」

「放課後、あそこに集まろう。職員室の横に部屋があるの知ってる。」

晃が言った。

「私は知っているよ。」

同音語で今日子と、木ノ下恵美は言った。

「教室の横の部屋。」

分からない橋野恵美は、返答した。

「私場所分からないけど。一緒に連れて行って。」

晃と恵美は二人共承諾した。

今日の授業は、過ぎて行くようだった。

放課後になると、四人は教室の隅に集まった。

「授業終わったね。」

一番先に教室に着いたのは、木ノ下恵美だった。恵美は一番に部屋の扉を開けて、出してあったパイプ椅子に座った。

面接以来だったので、パイプ椅子は冷えていた。

後は晃と、今日子と、橋野玲奈だ。四人来るのには、誰かが玲奈と一緒に来ないといけない。橋野玲奈はなんたって部屋の場所を分からないから。他の二人は手紙面接を受けているから、場所は知っている。

玲奈は部活があるが今日は休む事をキャプテンに言わなければならない。

「私玲奈が瀬能十里に今日部活さぼる事を言ったら、一緒に部屋に来るね。」

岡部今日子は二人に言った。

「了解、だったら俺は先に教室に行くよ。」

晃はそう言って教室を出た。

問題は今日部活をさぼって教室に行くこと、岡部今日子は、同じバレー部だったので、

「私が十里には言おうか。」

労ってくれた。

「いいよ、私の口からキャプテンには、休む事をいうから。」

「休む理由は何て言うの。」

今日子は言ってくれた。そうだ、休む理由を言うとさぼりにはならない。

「黙って休もう。結局私も同じバレー部なんだから。」

今日子は言ってくれた。

「よっし分かった。一緒になるね。」

じゃあ今から、部屋に行こう。

教室を出ると、二人は職員室の横の部屋に行った。作戦会議話し合いに行く為に、木ノ下恵美に初恋をしてもらう為に。

橋野玲奈と岡部今日子が部屋に着くと、部屋には、晃と木下恵美が居た。

「待ったよ二人はニコリとして、パイプ椅子に座っていた、パイプ椅子は、冷えてなくなっていて、人の温度で温かくなっていた。

部屋にはパイプ椅子と机が置いてあって、机の上には、真っ白な紙が一枚置いてあった。

晃は用意した紙に黒色のペンを乗せて、言った。

「恵美さんは人を好きになった事ある。」

恵美と今日子と玲奈は驚いた感じで恵美だけにした質問だったが、耳に入ってしまい、玲奈は答えてしまった。

「うんあるよ。」

それにつられて今日子も反応してしまった。小さい反応だったけど。

「今日子はつられずにいやないよ。」

と答えてしまい。常温の答えではない返事をしてしまった、今は今日子は言わずべからずの事だったと思うが。

答えた今日子と玲奈は晃によって答えてしまい、好きな人を言わないといけなくなった。

「この白い紙を用意した、俺がね。」

三人は聞いた。

「なんで紙なんか用意したの。」

今日子が答えた。

「ここに集まったのは恵美に好きになってもらって瀬波先生を学校に来させる為に何をすればいいのかという事を話す為にきたんじゃないの。」

そうなんだけど、木ノ下恵美は言った。

「私ねこの学校で人を好きには今はなれないね。」

そうなの三人は言った。

今まで人を好きになった事が無く、それを面接で言われたらどういう風に好きになればいいのか、

「やっぱりね。」

恵美は面接が無くなってから急に元気がなくなった感がしたのが、分かった。

言う事は瀬波先生はもう学校には来れないのかと。

晃は三人に喋る事にした。

「瀬浪先生が学校に来なくなったの原因は分るよね。」

木ノ下恵美と西田晃と岡部今日子は理由を知っていて、橋野玲奈と瀬能十里は理由を知らなかった。

理由を知ってもらわなければならない。

橋野と瀬能は面接を受けていないから、理由は知らなかった。

「先生はね。非常勤講師で学校にき出したの。」

橋野玲奈と瀬能十里の前で、岡部今日子は言い出した。

面接同様に椅子と机があったけど、皆立って居た。

「俺ね、先生が学校に来ている時に、聞いたことあって、なんで先生何かになろうとおもったのか。」

晃は、言った。

「瀬波先生は初恋が出来なかった先生なんだ。」

すると、今日子、恵美、玲奈、十里は目が丸くなるというか、そんな唐突の答えにびっくりした。

「先生は、只教師になりたくて、試験受けて来た。」

うちの丸星中学校に赴任したはいいがまずは、非常勤講師からスタートした。

授業を受け持ない先生、そこにうちの学校は先生に面接を受けさせる先生として、瀬波先生をその枠ににいれた。

「面接先生ってね。」

普通に略した。何故かって、赴任して間もなかったからこのあだ名が付いた。

あだ名を付ける事は、クラスに馴染んでいて認められているからか、あとは、距離を置いての名前。

「面接する為に学校に赴任して来たの。」

「いいや。」

晃が言った、多分他にも理由があるに違いない。

深く考えてもらちあかないから。

「瀬浪先生に来てもらわないと、学校が進まないし、恵美の初恋も出来ずにこのまま過ぎて行く。」

晃が、話を進める。

ある程度進んだ所で玲奈が口を開いた、

「瀬浪先生は恵美に手紙書いて渡した時、初恋をしなさいと渡したのがまずかったんじゃないかな、初恋までとまるとか、例えばね、全員の男子と喋って気にな男子を作るとかそとすればこんな事に成らなかったんじゃないかな。

部屋の電気は付いてあって、その照明は明るい。

十里は言った。

「そうよね、私面接受けてないけど瀬波先生は廊下であった時に挨拶したり、少し喋ったりしただけね、余り記憶が無いね。」

参加したんだったら、他にも考える事がベストかも知れない。

初恋が出来なかったから生徒に初恋をお願いするそんなの少し考えが可笑しい。

瀬波欅先生。

初恋ができなくて、教師になりたかった人。

今はそう思った。

 欅の木。樹形は杯形。見た目には花は咲かないけど、四季の中で一番咲いているのは夏。

葉っぱを触るとギザギザしている。

瀬波欅。

もちろん晃や恵美と同じ様に中学校に通っていた。

瀬浪先生の中学時代、先生は抜かして瀬波欅。

学校には、自転車で通っていた。

学校に行く時は一人で通っていた、最初は徒歩で通っていたのだが途中から自転車通学になった。家から学校までは四キロあって徒歩では、通えないのが理由で自転車になった。

密集した住宅街では無くて、一軒一軒の間隔は、十メートル位あって、家自体もセキスイハイムみたいにモデルハウスでは無くて、木造住宅が周りを占めていた。

通っている学校は、県立の丸星中学校、学校創立はうん十年らしい。校舎は二階建てで

始業のベルが鳴る。

「ホームルームが始まるよ。」

針田君が言った。瀬波欅と同級生の男子、容姿は、外見は背が高く髪を分けている。

佐藤先生が教室に入って来た、今日はホームルームの担当の先生である。

「いまから一人一人に紙を渡すからその紙に一つ目は将来の夢。二つ目は好きな人を書く事。」

クラス教室が膨れ上がる程に皆声を出した。デモが起きるのではないかという位その声は二つ目の事でだろう。

「先生、なんでそんな事書かないといけないの。」

クラスで中心核の田淵洋子が立って、先生に向けて言った。

「そうだよ先生。」

その声は欅である。先生はいいから今日のホームルームは書く事です。言われた通りにする事、その佐藤先生の声で膨れ上がった教室は元に戻りました。一人ひとりに紙が渡される。紙の色は白色で先生は、座っている皆に一枚一枚ずつ渡した、時間にして、十分だろう、最後は佐々波という名前の子だった、下の名前は希子、性別は女の子。それから欅は紙を見たら上の方に名前がフルネームで書いてあった。欅は白の紙に答えを書いた。

将来の夢は学校の先生、これには成りたいと思って書いた憧れとかでは無くて素直に書いた、先生という字は先ず生きると書く。次の好きな人は書けなかった。周りはカリカリと擬音語の音がした。回収時間になりそうなところでカンニング的に横を見たら、左横の佐々波さんは二つとも書いている感じだった。

欅のクラスは三十人である。丁度三十人に振分けられている、男子は十六人、女子は十四人、欅は全員の名前は憶えていない、でも女子の名前は全員憶えている。男子はなかなか頭に入らない、知っている名前でも、顔が一致しない。女子は大概お喋りはしている。

「紙を回収するぞ。」

先生が言う。それと同時に後ろの人から前の人に紙を渡していき回収作業に入る。先に二つ折にしてあるので、各人何を書いているのかというと事にはならなかった。佐藤先生は体格は小太りである。私達の声とは違い大人の声、教室には良く聞こえる。

ホームルームは無事終了した。

ホームルームが終わったから言うけど、瀬波欅は好きな人居ない。書いたように将来の夢はある。ホームルームの後、欅は一人で職員室に向かうことになった、何のために。

向かう理由は、呼び出しを受けた。

職員室は今まで一度も行った事無いけど向かう欅の足跡は静かで音にしたら、スタスタと歩く、職員室まではなんとか行けた。着けたけど、職員室の前に着いたらノックが出来なくて、立ち止まった。

扉の表示には職員室と書いてあって字は、筆習字で書いてある。入る前にノックする。

「失礼します。」

扉を横に開けると、職員室の中が見えた。学校の心臓部になるんだろう。

斎藤先生は欅を見るなりこっちと手招きした。

「瀬波欅です。」

職員室に入ると他にも先生達が何人か居た。初めて入る部屋は、尖端になった。

尖端になったのは、想像していた事教師が、皆いて各担当の授業になる度に、先生達が次次出ていくものだと思ったから。

佐藤先生は、手招きの次に、立ち上がり欅を呼んだ。呼ばれるままに佐藤先生の所に向かった。

「実はお前を呼んだのは、ホームルームの件だ。」

先生は欅に向かって

「先生が出した手紙何故答え二つ書かなかったのか。」

只単純に好きな人が居ない。

「私だけなんですか、二つ答え書かなかったのは。」

椅子に座っている先生と欅の目の位置は高低差が付いていた。やりとりするうちに他の人は書いたらしい。

二つ書かなかったから呼び出しくらった。

「瀬波さん宿題にします。今度来週のホームルームまでに残りひとつの答え埋めるように、考えておく事。」

佐藤先生は答えを埋めとよ理不尽なことを言う。好きな人を考えろって事。欅は分からなかった。今度のホームルームは、来週の今日である。宿題ってなると課題になる。

形したら、固形の物体色を付けると、黒色かな。

まず、この宿題を解かないといけない、瀬尾みゆき、西本ゆかり、只野香子聞けるのはこの三人である。瀬尾みゆきに聞く事にした。瀬尾は、小学校一年生から一緒だった。

呼び名はみゆき。

「みゆき私ね、宿題が出てきて、宿題を来週のホームルームまでにやってこないといけないの。」

欅はみゆきに言った。

「宿題になったの。」

みゆきは宿題になった事に驚いた。驚いた理由は、書けなかった事。

「みゆきは、ホームルームの二つの質問二つとも書いたの。」

「書いたよ。」

みゆきは隠す事も無く言った。二つ書くのは、容易いなことみたいだ、みゆきにしたら。小学校から一緒だけど、テストより簡単みたいな言い方であった。欅は聞きたかった何て書いたのか。

「将来の夢は、何て書いたの。」

「えーっ。教えるの。」

欅は、初めて素直な心になった。そうだ、欅は言って無かったみゆきに将来の事。佐藤先生には、教えて友達の私には言わない、次のホームルームまでには、書かないといけない。

私だけなんて。欅は西本ゆかり、只野香子に聞こうと思い、ホームルームの次の日に、聞く決心をした。男子は名前と顔が不一致なので女子の方が話がしやすい、教室は欠席者は無くて授業は開始になりそうだ。

ホームルームから一週間経っていない中日になった。

欅はホームルームの時頂いた紙を持っていた、置いていた場所は机の中に入れていた。そのまま入れていたら教科書や参考書に揉まれて破けてしまうと思い、百均ショップで購入した透明のファイルに入れて置いた。

机の中は誰も見やしない、皆同じ物机の中に入れているから今まで荒らされた事が無かった。その為か、机の中に入れて置く事にした。好きな人は書けずにいた。西本ゆかりも小学校から一緒である。ゆかりは数学が得意だった、私解けない問題も解く女子だった。

「ゆかり、この間のホームルームの時の質問なんて書いた。」

答えを知ろうという気は無くて、ゆかりの将来の夢は知っていた昔から言っていたから覚えていた。

「欅には、教えようかな。いいよ教えるよ。」

教室には、生徒は居る、まだ学校の中なんだけど、周りお喋りやじゃれていたりしていた。

「将来の夢はわかるよね。」

欅は分かっていたので頷いたその次答えだ。

「好きな人は、佐藤先生、先生なんだ。」

欅は、ゆかりが喋る前なんとなくじゃないかなという人の心当たりはあった。

晴天の霹靂といえばいいのかな、欅は男子ではなくて、男性に驚いた。

「そうなの。佐藤先生ね、どこが好きになったの。」

ゆかりは、欅だから言うよみたいな様子だった。信頼なんだろう。男子ならともかく男性。多分他にも、そういったクラスメートはいると思う。男子より、頭が良いからかな。大人びてる理由はそうかな。ゆかりの家は、欅の家から結構近い、集落は麦田という所で育ってきた。

兄弟はゆかりが一番上で下に妹がいる、欅が家に遊びに行くと一緒に遊んだりする、家行った時良く聞かれる事は音楽の事を一番良く聞いてくる。ジャンルはジェイポップが主流でそのなかにおいて、アイドルグループの事を良く聞いてくる妹だ。

「嵐の最近出た曲は、学校に行く時聞くといつもより五分早く学校に着くけど、良くない。」

ダンスミュージックは身体のリズムが整う感があるみたいだ。妹の名前は、こでまり。けやチャン(欅を略して付いたあだ名)も学校に行く時に聴いてみるといい聞く事を尋ねてくる。私は二つ年上という観念が無くてゆかりもこでまりも仲のいい友達感覚がある。

欅は以前最新の曲が出た時に、聞いた事があった。嵐の曲で学校に行く時に楽しくなる曲ってないかなって。そのときは、うーん思い当たらないで終わった。

佐藤先生が好きだという事は黙っておこう。

「欅はなんて書いたの。」

やはり聞いてきた。私も言ったんだから教えてよ。

「いやね、それで私ねひとつは書けたけど、二つ目の好きな人が書けなかったの。」

ゆかりは、将来の夢は知らなかったので、将来の夢を聞いてから何故書けなかったのかを聞こうと思った。

「将来の夢聞かせてよ。私ね知りたい。」

ゆかりはあったけど、叶える事が容易なので欅の夢は興味津々だった。

「将来は学校の先生になる事が夢ね。」

「本当に、私より数学の問題解けないのに、先生になりたいの。」

ゆかりは、先生という職業が、佐藤先生より問題を解けないと先生なんてなれないと思っていた。

「でも欅が先生になりたいんだったらがんばろうね。」

ゆかりは先生という明確な目標がある欅が羨ましかった。

「欅の好きな人は誰なの。」

聞いてもらえて良かった、自分からいうのは億劫だっから。

「私ね、好きな人は居ないのそれでこの間のホームルームの時に今度のホームルームまでに二つ目の所埋める様にと言われて。」

ゆかりは、言われてからきずいた感があった。

「欅は好きな人はいないの。なんだ、今から次のホームルームまでに作ればいいじゃん。」

好きな人は心の問題なんだろうけど、どうやって作ればいいのか分からなかった、それでみゆきとゆかりにどうすればいいのか聞いた次第だった。

ゆかりは先生が好きになってしまうという規格外の事をしている、ゆかりに好きな人を言ったのは、初めてだった。家に遊びに行っても好きな人を言ったり話し合ったりした事が無かった。もちろん、こでまりには、そんな事は聞かなかった。

私は心が皆に追いついてないのだろうと欅は思った。

「今まで、居なかったのに、急にホームルームまでに好きな人なんてできるかな。」

欅は心が不安に侵されそうになる。

「大丈夫、私とみゆきには話てるんでしょう。」

みゆきのそのやさしい言葉に後の話をしようと思った、ホームルームまでにできなかったら、みきやゆかりにホームルームまでに同じ悩みを受けさせてしまう。言っていいものか言わずするべきか。

「じゃあ、取り敢えずホームルームまでに男子とまずお喋りして話す内に誰か好きな人できるじゃないかな。」

みゆきは自身ならではのアイデアを出した。欅は、みゆきのアイデアに少し感銘した。

好きな気持ちを分からないのに、ホームルームまでに考えるなんて無理に決まっている。

みゆきとゆかりと時間を多く取る為に朝一緒に通学しようと思った、その事をまず目の前に居るゆかりに言おうと。

今話ている場所は、教室だった。みゆきとゆかりに言ったけど後、香子に言う事を残してている。

香子にいうタイミングは、会う事。教室は一緒だけど、今日はまだお喋りしていない。

香子の性格は、大人しめである、この香子も小学校から一緒だけど、欅や、みゆき、ゆかりから話さないとまあお喋りしない女の子だった、引き込み事案というやつ。

話題もこちらから切り出して答えてくる。投げたら打とうとする。

取り敢えず次のホームルームまでに男子と喋る事。

赤星君。

クラスでは、明るい方スポーツは野球部に所属している。

喋るタイミングは、一限目の授業終了後。

「一限目の授業をこれで終了する。」

授業が終了した、今日は、佐藤先生が国語を教えてくれた。本題は喋る事は、欅は、ベルの終了後赤星君の所に駆け寄った。

「赤星君。」

欅だった。教室を出て速攻廊下行こうとしていた。急に止めるのは、良く無いと思い、間を置いて駆け寄った。

赤星一は、欅の方を振り返り欅に目を合わせた。

教室は、今から二時限目に向けて他の教室に行く生徒や教科書を開いて自習する生徒授業終了後、二時限目に向けてスタートを切る感じだった。その中で欅は赤星に声を掛ける事は、通常より声の質と音量を上げて言わないと、伝わらない様子だった。

「えっ。」

赤星君は、振り返り欅に言った。欅は同じクラスだったけど、まさか声を掛けてくる様子の女子では、無かったから。

「赤星君は今からどこに行くの。」

第一声は、外見的に様子見て、予想を立てて言った。

赤星は、普通の事を言われたから、驚く様子も無く欅の質問に答えた。

「ああ、瀬波さん急に何。廊下に出て友達とお喋りするんだよ。」

欅は思わず頷いた。頷く様子は、赤星に分からない様に、自分の中で頷いた。

好きになるには、この後なんて言えばいいのか分からなくて、後の言葉が出なかった。

好きになる言葉。

「俺、喋りたいから、廊下に行くよ。後の話あるんだったら、明日聞くよ。」

そう言って赤星は、教室から出た。

赤星君との会話は、それで終わった。

初めての会話は、そんなもんかな。今日は一人喋った。残りの生徒は、十五人。

でも明日になったら、赤星君とお喋り出来るかな。赤星君が喋って来るのか、又は私が喋り出すのか。大事な事だろう。

今日は西本ゆかりと帰ろう。教室には、他に生徒が残って居た。

「ゆかり、今赤星君とお喋りしたよ。」

ゆかりは言われるまで気が付かなかった。部活に行く人だけではなくて、帰宅する生徒もいた。

「どうだった。欅。」

今日の出来事を楽しみに聞いてきた。

「うーん。明日から一緒に学校に行ってくれる。」

欅は、少し自分の殻が破れた感があった。

教室には、本を捲る様なページは無いけど、馴染みのゆかりは、ページが捲れる様に了解と答えた。

朝になると、欅が自宅を出発すると、ゆかりの家まで行った。ゆかりと欅の家は近いと述べたけど、ゆかりに家の方が、学校には近い。

「おはよう。」

欅から挨拶した。

「おはよう。」

ゆかりが返した。今日の気温は十五度位暦にしたら、四月。

待ち合せの場所は、ゆかりの家になった。上を見上げると、ゆかりの家は、二階建てになっていて見上げる位ある。

「学校まで今日から行こう。」

ゆかりの掛け声で、スタートを切った。学校に行きやすい気温だ。

「昨日誰かとお喋りした。」

話題はその事だった。欅に気を使ったのか。

「昨日は、赤星君とお喋りしたよ。一限目の終了の時に、声を掛けたら振り向いてお喋りしよとしたら、廊下に出て行ったよ。」

廊下に出て友達とお話しする事。赤星は廊下に出て話をする事によって、休憩タイムを取っていた、話はそこからで、お喋りして、何か芽生えたかどうかだ。

ゆかりは赤星君とお喋りした事に喜びを感じていた。ゆかりと欅は学校までは、気温も心地よいせいかスムーズに汗をかくことも無く通学出来た。

「赤星君は、何かその後言って無かった。」

言って無かった、正直その後好きになるような事もないだろう。

今日は、誰とお喋りすればいいか、迷っていた。

赤井君に喋ろうかな。ゆかりが聞いてきた、今日は誰とお喋りするのかを。

「誰がいいかな、順序よく赤井君かな。」

「そういえば、欅はクラスの男子は顔と名前が一致しないって言ってたけど、誰かと喧嘩したりした事あるの。」

喧嘩。殴り合いの喧嘩はまた、口喧嘩。いいや誰ともした事ないが。

「嫌誰とも喧嘩何てした事ないよ。」

欅は自然に答えた。

「じゃあ誰かに喧嘩振りかけてみる事はどう。そうすると、感情的になって、好きの心がもしかして、芽生えるかもよ。」

喧嘩しても、なにを問題に喧嘩をすればいいのか分からない。突発に喧嘩しても原因がないと何もならない、原因の無い喧嘩起こしても、

「なんで、喧嘩なの。感情から心を好意に導く事。」

喧嘩して誰か仲裁に入り皆で原因を解決するうちにその男子とお喋りしていって心を動かすの。そんな事可能なのか。

欅は、今は乗る気無かった。

「今日は赤井進君とお喋りしてみるよ。」

「明日は、みゆきも朝一緒に登校しよう、私今日みゆきにいってみるよ。」

授業中喧嘩なんて今は出来ないけど。ゆかりは人を好きになるには、喋ってもダメステップを踏みすぎたのかな。でも喧嘩をすれば、感情が生まれて方向には、向かうかもしれない。

赤井進君は、まず目に行くのは、坊主頭に眼鏡をかけている外見の話、性格は分からない。

部活は入っていない様子だった。

授業は一限目は社会だ。歴史についての授業だった。

一限目の授業が終わりの時に赤井君に声を掛けた。

「赤井君。」

一限目の終りもあって、教室には清々しい空気があった。そんな空気をかき分ける様に、赤井君に近寄った、欅にしては、勇気がいった。清水の舞台から飛び降りる位の事だった。

「何、瀬波さん。」

初めて名前で呼んでくれた、私の事を知っていたなんて。

時間は十時だった。教室の前、黒板の上の所に掛時計が飾ってあって、この針はこの時間に指していた。

欅は名前を呼んでくれた事に対して何も考えていなかった、次なんて言えばいいのか。

「次の授業は何だっけ。」

思わず心にも無いことを言ってしまった。

「次は保健体育では、なかった。」

赤井君は丁寧に答えてくれた。

「分かったありがとう。赤井君は、この間のホームルームの時に先生から、受けた手紙なんて書いたの。」

欅は聞きたかった、皆がなんて書いたのかを。

「ホームルーム。ああ、あの手紙ね、将来の夢は適当に書いたけど、好きな人は、しっかり書いたよ。」

赤井君は素直に答えてくれた、そういう素直があるとは、坊主頭からは思わなかった。

「好きな人は何て書いたの。」

欅は聞いてみた。

「それは言えないよ。」

やはり言えないか、でも書いたんだよな、赤星君も。誰なんだろう。

教室に外から、次の始業のベルが鳴る。

ベルの音は余り好きでは無い。

次の授業が始まる。

赤井君も好きな人はいた。

学校の授業がすべて終わると生徒達は、教室から出る。

帰る時は一人で帰る。

明日は三人で学校に登校する事になっている。

欅の朝は、迎えから始まる所までなっていた。まずゆかりを迎えに行く。

一緒に行く約束をしてまず、ゆかりと学校に行き今日からは、瀬尾みゆき共一緒に行く。

欅は学校に行く時、家を出る時に、挨拶を今日はするようにした。

「母さん学校に行ってきます。」

母さんは欅の挨拶にビックリして挨拶を返した、いってらっしゃいと。

ゆかりは欅が迎えに来た瞬間に、にっこりと笑った。欅はどうしたのかと聞いた。

「みゆきが、待ってるよ早く迎えに行こう。学校に遅刻しないように。」

欅とゆかりは近所に住んでいたのは、知っての通りだけど、みゆきも小学校から一緒の幼馴染。同じ住宅街ではないけど、幼馴染と呼べる距離にある所。二人は、自転車を漕ぐ時には、会話は無かった。みゆきも一緒に学校に行ってくれるという思いがあった。

みゆきは家の前では無くて、離れた所で二人を待っていた。

「おはよう、待っていたよ私ね、いつもより出る時間が過ぎているから少し動きながら待っていたよ。」

みゆきは、嬉しかった。

「学校に行こう、遅刻するよ。」

欅とゆかりとみゆきは、息を合わせて、自転車を漕ぎ始めた。今日は誰とお喋りしようかと、喋る事で初恋に近づくはずだ。向かう丸星中学校は、創立うん十年。私達の住んでいる校区は、新宮市住所は新宮市若松町麦田地区。欅と幼馴染の住んでいる区画は、住宅街。

住宅街と言っても、閑静な住宅地では無くて区画整理をする為に出来た木造の家が大半を占めている。将来はベットタウンになるらしい。

住宅街の幹線道路ちょと言い過ぎだけど、メイン道路には、街路樹が植栽してない。

緑化協定では、木を植栽しないといけないらしいけど植栽してない。将来には、植栽するらしい。母親が、地域の会合に参加した時に、家で話していた。

街路樹があれば、待ち合わせしやすいんだけど。今回朝待ち合わせした時は、基本家の前だった。

「欅。今日は誰とお喋りするの。」

みゆきが言った。

「今日は、上神君とお喋りしてみるよ。」

上神君は、ちょっとお喋りしずらいのでは、みゆきが言った。

「えっ。なんで。」

私の見解だけど、上神君は二人共分かるように、結構勉強が出来るよね、自転車を漕ぎながら、了解した。その上で、歴史が結構得意で、教科書にも載ってないような人も好んで勉強してるよ、私の意見だけど、上神君の好みは、歴史上の女性が好きなんじゃないかな。

「歴史上の人物、そんな手と心が届かない人好きになって、かなりストイックなんじゃない。」

でも、欅が今日お喋りしたいんだったらすればいいと思うよ。

みゆきとゆかりと二人共意見一致だった。三人の自転車は丸星中学校の正門に到着した。

「がんばれ。欅。」

みゆきが言った。正門から自転車を下りて自転車置き場に自転車を引っ張って行く、学校内は自転車には乗ってはいけない事になっている。生徒手帳には、記入してないけど決まりになっている。三人は、自転車置き場に止めると校舎に中に入る。学年は三年クラスはビー組。校舎の門が閉まり出して始業のベルが鳴る。またこのベルは鐘の音でかなり耳につく。はっきり言ってうるさい位ある。

ベルが鳴り止む時に正門が完全に閉まる。

「授業は何だっけ。」

基本勉強の嫌いな氏部が言う。

「社会だよ、今日は日本史だよ。」

大居が氏部に教えた。

「入場します。」

教室の扉が開いて社会担当の古賀先生が入って来た。

入場。なにそれ針田君が言った。

「先生、入場は面白くないよ。」

針田は突っ込んだ。悪い悪い先生は受けなかった事に後悔した。教室の空気は、新鮮だった。日本史は、明治時代の文明開化からのスタートだった。

授業は淡々と進んでいった。欅は率なく授業を聞いた過ごした。

授業は終わり欅は、いよいよ上神君に話した。

「上神君。」

上神君は、振り返り欅を見た、上神君の目には欅が映った。

「何。」

上神君は欅に言った。おしゃべりしないといけという思いから、喋った。上神君は、先にも述べたように、歴史好き歴史好きで終わればいいのだが、好みタイプも歴史上の人物。

「上神君は、この間のホームルームの時、手紙何て書いたの。」

欅はいきなり最終回的な事を投げかけた。上神君は、逆に聞いた。

「瀬浪さんは、何て書いたの。」欅はこの問い返しに答えないと、上神君は教えてくれないと思った。

「私ね、夢は書いたんだけど、好きな人が書けなかったんだよ。それで、男子限定だけど、何人か聞いていたの。上神君にも今聞いたところなんだけど。」上神君は意外な顔をした。

まるで仲間がいたかの様な、柔和な感じに襲われた所だった。

「俺ね、歴史上の人物が好きなんだ、名前は言えないけど、ずっと片思い思いなんだ、かといって、その恋は叶わないけどね。」

この丸星中学校に来て、歴史の授業の中でそれ人を知って、それから好きになってしまった。この間のホームルームの時、その人の名前を書いたらね、放課後、佐藤先生に呼び出し受けてね、欅さん終ってからすぐにね。先生は笑っていたね、それから直ぐ聞いたよなんでクラスの子では、無くて教科書の人何かてね。その後答えたよ、だだ素直にってね。

「そうなんだ、上神君は教科書の歴史の人が好きなんだ。」

ビックリする目をする訳にもいかなくて、そこで納得するしかなかった。

「素直ね、素直になれば、人を好きになれるのかな。」

「欅さん、この事は誰にも言わでね。」

上神君は、欅に背中を向けて教室から出た。

丁度その時に、みゆきが声を掛けて来た。

「今日は一緒に帰ろう。」

放課後になると、部活に行く生徒や、帰る生徒に分かれる。私と、みゆき、ゆかりは三人で帰る事になった。

帰り路は、みゆきとゆかりと着く。

「欅今日は、上神君とお喋り出来たね。」

三人で帰り始めると早速聞いてきた。上神君には、黙って言われたからお喋りした内容は言わなかった。上神君は、どんな人だった。みゆきは興味津々に聞いてきた。

「お喋りしたら、案外普通だったよ。好きな人聞いたけど、うちのクラスの人じゃなかったよ。」

「どう、欅今日まで何人かとお喋りしたけど、誰か好きになった人居た。」

ゆかりは聞いてきたが、答えられなかった。明日は朝から、ホームルームになっている、佐藤先生が聞いてくるだろう。答えられなかった答えを。

「明日は、宜しくね。欅、みゆきを迎えに来て、ゆかりだね。」

朝の三人での登校である。

朝になると、欅は目覚まし時計で起きて、家を出た。まずは、みゆきの家まで行く。

「みゆきおはよう。学校に行こう。」

にっこり笑い一緒に学校に行く、行く道中みゆきが聞いてきた、今日のホームルーム大丈夫ね、この間のホームルーム追試で好きな人を書かないといけない事になってるから、

「うーん。追試ね、みゆきや、ゆかりのアドバイスで、好きな人を作るのに、しないといけな順序を教えてもらいなんとかしたから。紙に向かってみるよ。」

自転車は、ゆかりの家まで、来ていた。ゆかりを迎えに行かなと行けないと思っていた時玄関から、ゆかりが出てきた。

「学校に行こう。欅、みゆき。」

自転車小屋に止めていた、自転車に向かい二人に寄って来た。

三人揃い出発する。

ゆかりは学校に行くまで、何も喋らなかった。

「おはよう、今日はこの間のホームルームの続きをします。」

佐藤先生が教室に入って来た。但しこの間二つ出した質問を答えられなかった人のみ実施します。先生はそう言うと、三十人の中でたった一人だけ瀬波欅に紙を渡した。

「書けられなかったら、クラスから出て行ってもらいます。」

欅は時間が一応与えられた。欅は紙を見ながらペンシルを持ち与えられた時間が過ぎた。

紙は回収されていき、佐藤先生は、白い紙を開いて欅を見た。

「放課後職員室まで来てね。」

佐藤先生は、そう告げるとホームルームは終了した。教室の空気は平穏だった。

放課後になると、欅は職員室に向かい先生会う。

「待っていたよ、瀬波欅さん。瀬浪さんは、キャベツを剥くと芯が出てくるけど、玉葱を剥くと何が出てくるという物語知っているね。」

「いいえ知りません。」

「分からないか、じゃあ物語じゃなくて普通に玉葱を剥くと何が出てくると思う。」

「涙ですよね。」

欅は答えた。

「好きな人居なかったね、残念だね友達も色々と協力してたみたいだけど、夢はあるみたいだね、欅さんに伝えないといけない事があるんだけど、聞いてもらえるかな。欅さんは、今学期でこの学校は終わりです。」

佐藤先生の意味の分からない答えに戸惑い欅は手が、震え出した。丸星中学校は、好きな人又は、初恋が出来ない人は、学校を去らないと行けなかった。理由は生徒手帳の規約に書いてあった。欅は、この規約を初めて知った。

「先生はこの規約が嫌いでね、無くなれば良いと思っているけどな。」

私もう学校には来れないんですか。欅は、先生の言う事に表情が変わり泣く表情になった。

「以前、この規約を無くそうとと思い職員会議で提案したんだけど、駄目だった。」

運よく欅は、三年生である。季節は夏で学期は二学期だった、後一学期残っていた。しかし、二学期終了時学校を去らないといけない。欅に告げないといけない。

「私は学校に来れないんですか。」

不安そうに聞いた。

「そういう意味では無くてね、転校して欲しいんだけど、丸星中学校隣の中学校、校区は同じだから、距離もそう変わらない。その学校は、初恋は在学中に出来なくてもいいんだ。」

先生はそう言うと、全部理解して承諾して捉えたと思ったのだろう。

「瀬浪欅さん、先生は初恋の出来ない生徒を受け持ったのは、初めてなんだよ、初恋というか、今まで皆好きな人はいたみたいだけど、玉葱を剥けなかった。欅さんは、玉葱が現れたら、剥く事それで、涙が出たら多分それが初恋なんじゃないかな。一つね、頼みがあるんだけど、聞いてくれるかな。」

欅は素直に聞く事にした。職員室は、他にも先生達がいるけど二人の会話は多分聞こえてないだろう。

「欅さんは、将来先生になりたいんだよね。その夢を叶えて、この丸星中学校に瀬波先生として赴任して欲しい。それで、生徒手帳の規約の初恋がする事が本校においての生徒であります。という規約を無くして欲しい。先生からのお願いなんだ。」

欅は、只聞くしか無かった。

「二通りあると思うんだけど、生徒皆に初恋をしてもらう方法と、規約を無くしてもらう方法と、現時点では、この方法かな。なあ正解だろう。」

佐藤先生は自信ありげに言った。

「とりあえず分かりました。」

欅は、答えた。

学校の二学期は季節だ言ったら、夏から秋に変わる頃。

欅の木は、夏に咲く樹木夏から秋冬になるに頃になると、葉は落ちる。

時は過ぎ、瀬波欅は夢を叶えた一応に。

「おはよう、母さん学校に行ってきます。」

晃は、待ち合せの場所欅まで自転車で行く、行くまでは、街路樹の中を通り過ぎて行く。

「おはよう、今日子さん。」

待ち合せの場所、街路樹の中にある欅一本。晃の方から、挨拶をする。

今日子は、瀬波先生が学校に来なくなって約束を守る晃が嬉しかった。

晃は、勇気を出して渡そうと思った。渡すものは、手紙だった。岡部今日子さんに紙に一枚書いた手紙を封筒に入れて渡した。

「おはよう、西田君、これ何。」

手紙を受け取り晃に聞いた。

「これ何。もしかして手紙なの。開けて良い。」

晃は自分の目の前で手紙を開けられる事に抵抗は無かった。手紙を目の前で開き今日子は手紙を読んだ。

自分は、瀬波先生から、面接を受けて今日子さんと通勤するうちに何か知らないけど好きになりました。よければこれからは、学校に行く時、帰る時は、一緒に帰ってくれませんか。と書かれてあった。今日子はその文面を読んで晃の好きな気持ちが、胸の中に入って来た。瀬浪先生に学校に来てもらおうとか短絡的な事で無くて本当に好きな気持ちなってしまった。

「いいよ。一緒に通学、通勤しよう。」

晃は嬉しかった。所で先生は、学校に来てくれるのかな。放課後又作戦会議で皆集まる事になっている。放課後、職員室の横の面接室に皆集まった、西田晃、岡部今日子、木ノ下恵美、橋野玲奈、瀬能十里は集まった。

「実はね、ニュースがあるんだ。」

そう言ったのは、橋野玲奈だった。ニュースとは、日常の少し飛び出た事である。

「瀬浪先生が、学校に来るんだよ。」

他の四人は理由が知りたかった。何故学校に来るのかと。木下恵美も初恋出来てないのに。

「えっ。何故。学校に来るの。」

木ノ下恵美は言った。先生は初恋は出来なかったけど、初恋を教えに来たんだよ。

初恋は初めて人を好きになるのではなくて、いつでも何歳でも人を好きになる事。

先生は独身だけど、先生になって夢を叶えて、人を好きになったんだよ。でもその人は中学校の時に担任だった、先生に今初恋をしたんだよ。

それで、中学校に戻ってこれたんだよ。

「いまから、帰り道にあるケヤキの木まで皆で行かないか。」

晃が言った。五人は、学校から、ケヤキの木まで自転車で行った。

「葉っぱが落ちて来てるね。」

晃が言った。ケヤキの木は、少しずつ葉が落ち出して来ていた。

瀬波先生は必ず来るよ。

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初恋ラブレター @masa1019

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