こんにちは、オレンジのハイヒールを履いたあなた。私は眼下に広がるテラコッタ色のタイルの上をコツコツと踊り歩く彼女に心の中で挨拶をした。

白いマーガレットの小ぶりな花束を大切そうに抱えて、軽やかなステップでどこへ行くんだい。

上向きの睫毛の奥にある青い瞳が、午後の太陽の光を反射している。海みたいにキラキラしていてとっても綺麗だ。

黄色い半袖のワンピースの裾と栗色の髪を潮風に靡かせて、心躍らせる姿は無垢な少女のよう。

薄いピンクのルージュで飾った綺麗な唇で、遠くの誰かの名前を呼んでいる。

小さな幸せをありったけの笑顔で喜ぶあなたを、当たり前の鐘の音で送り出そう。

行ってらっしゃい、ハイヒールのあなた。

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