熟慮の末

苦痛

それは人生を人生たらしめているもの

苦痛がなければ喜びも生まれない

だがどうだ

苦痛というものは常にそこにあって

飽き飽きとするほど己に付きまとい

最後は己そのものを飲み込もうとするではないか

苦痛と快楽は表裏一体となってあるように見えるが

捲ってみればただの一枚の紙切れのようなもので

裏も表も何もないのである

それを愉快として目を塞げばよいものを

私は目を凝らして得体の知れない真を知ろうとしてしまうのである

それが哀れというならばそうなのであろう

幾度も解に辿り着きそうになりながら手を伸ばし

やがては恐れて掴もうとせず

ただひたすらに無意味な時を噛み締めるとは

哀れの先にある深い孤独なのかもしれない

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る