午後

青く浄化された空気が肺を満たしていた

騒がしい声が静まり返った時

窓の外が輝き始める


ちっぽけな僕は

黒板の答えをただ書き写すだけ

永久不変にはなれないけれど

角の席から眺める君が

今でも僕の心に居るから

腐ってもここに居られる


鍵をかけたはずの記憶を

そっと開けよう

また君に会えるように


教室を駆け抜ける乾いた砂混じりの風が

机のプリント落とすように

僕にこびり付いた汚れも

消し去ってほしいよ


桜を散らす悪戯な春風のように

僕の引きずった過ちも

散らしてほしいよ


後ろ向きで再生される帰り道

届かない声で呟いたセリフはありきたりだ

歩いても遠ざかるばかりで

振り向かない思い出を

追いかけてばかりだ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る