4月2日(日) 対DeNA 勝利(6-2)

「それにしても、まだ3試合しか終わってないのに凄い状況ですね」


振り返れば、他のお客さんたちが一昨日、昨日にも増して岡田采配を称え合いながら、大喜びしていた。「ホンマに『アレ』しちゃうんとちゃいますか」という声も聞こえてくる。気の早いことだ。


「でも……今年こそは本物かもしれませんよ」


「大将、それ毎年言っているでしょ。今年こそはって」


ハイボールがなみなみと注がれたグラスを手に取り、「俺は騙されないぞ」と言ってみると、大将は笑った。


「まあ、ホントにアレするかは別にして、今日の8回裏はすごかったじゃないですか」


2OUTから中野が出塁して、1ストライクから盗塁。すぐさま代打原口で2ランホームラン。


「確かに、あれはすごかったですね。岡田さんがベンチから出てきたから、てっきり申告敬遠されたから代打を告げたのかと思いましたよ。普通、あそこでは代えんでしょ」


「ホンマにそうですね。少なくとも、矢野さんだったら盗塁も中野任せだし、ああなっても島田を信じてそのままでしょう。それでも勝てたかもしれませんが、こんなに監督次第で変わるんやなって改めて思いますね」


去年は開幕カード3連敗で、そのままズルズル行って9連敗まで。それが一転して今年は3連勝スタートだ。さて、このまま連勝はどこまで伸びていくのか。


「そういえば……開幕で思い出しましたけど、藤浪は向こうでも相変わらずみたいですね」


「まあ……予想通りというか」


今朝のニュースによれば、3イニング目に制球が乱れて大炎上したという。やはり、いつもの藤浪のようだ。


「でも、2イニングは抑えたんでしょ?やっぱり、リリーフの方が向いているということなんでしょうかね?」


「1試合じゃわからんけど、もしかしたらそうなのかもしれないな」


ただ、それは今更だろう。本人が先発にこだわったのだから。あとはなるようになるしかない。


「あ……どうやら、できたみたいだ。ちょっと待っててな」


大将はそう言いながら、香ばしいソースの臭いが漂うそれを鉄板皿に移して目の前に置いた。今日の『アレ』だ。


「これは……広島焼?」


「次は広島戦ですからね。それ食って、連勝が伸びるように願いましょう!」


そして、お好みでかけてくださいと『唐辛子』を置く。ただ……蓋にはマジックで『辛いつらい』と書いてあった。あちらは、開幕3連敗だ……。

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