3月25日(土) 【オープン戦】対オリックス 勝利(7-0)

「いらっしゃい。今日はお休みなのに来てくださったのですね。嬉しいですわ」


「ひとりですけど、構いませんか?」


「ええ、いつものカウンターの席が空いていますよ。どうぞ」


女将はそう言って、今日も温かく迎えてくれた。試合は昼間に終わっていたので、テレビは録画放送を流していたが、店内は勝ったこともあってか盛り上がっていた。


「とりあえず、生とお勧めのアレを」


「へい!少々お待ちを」


女将さんが他の席に呼ばれたので直接大将に告げると、いつものようにビールとお通しが運ばれてきた。


「今日は一人ですかい?」


「ええ、誘ったんですけど、みんな用事があるようで」


「それなら、あっしと乾杯しますかね」


そう言って、大将はカウンターの裏から缶ビールを取り出して手を伸ばしてきた。だから、軽くジョッキを当てて言った。


「「乾杯!」」


今日は全く言うことなしだ。ビールがとてもうまい!


「これで一安心ですかね?」


「そうですね。大山も2戦連発、佐藤も近本も打ちましたし、そう思いたいですね」


「あと、渡邉がいいっスよね。ショート中野でセカンド渡邉でもいいような気が……」


「木浪も小幡も、どっちも低レベルの競争ですからね。確かにそんな気がしますね」


そういいながらも、きっと岡田監督は方針を変えないだろうなと思いながら、ビールを空にしてお代わりを注文する。


「しかし、開幕2戦目はこれで秋山に決まりですね。さすが、こういうチャンスは逃さない人ですね」


「でも、そういう人がプロで生き残るんでしょうね。毎年、ドラフトで採った分だけクビになる世界ですから。結婚もしたようですし、今年は頑張ってもらいたいですね」


「ホントですね。そのあたりは、村上も見習ってもらいたいですね」


「今日も好投していたし、今年こそ大丈夫だと思いたいですよね」


二軍で無双状態なのは知っているが、いかんせん、昨年は1軍で登板すると全然ダメだった。秋山を見習って、今年こそはチャンスをものにして欲しいと願った。


「へい!お待ち!」


そのとき、威勢よく置いたそれは、いつものお勧めのアレ。


「今日のこれは何ですか?」


「『祝・トンネル脱出の天ぷら』ですよ。連敗も止まりましたし、選手の調子もそこを抜けたとなれば、言うことなしですから!」


皿の上を見ると、ちくわの磯辺揚げが4つ置かれていた。大将が言うには、ちくわの輪をトンネルに見立てて、食べることで破壊するという意味があるようだ。


「いや……ちょっと、こじつけが強いのでは?」


「あはは、やっぱり?」


ただ、てんぷら自体は味がしっかりついていて美味しい。勝ったこともあり、今日も楽しく飲むのだった。

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