「お婆ちゃんが死んじゃった」
そんなメッセージから始まる曾祖母との別れは、新たな旅立ちへの見送りへと変わる。
『狐の嫁入り』を題材に書かれた作品は数あれど、輿入れの瞬間を描くものがほとんどではないでしょうか。亡くなった曾祖母のお葬式がどう繋がるのか、答え合わせは六頁から始まります。驟雨と怪火の二つで狐の嫁入りを表現しているのも、個人的にとても染みました。
普段は作者様のコメディ作品にたくさん笑わせていただいていますが、それもこのような作品を書き上げられる幅広な筆力を根底にお持ちだからこそ。
確かな文章力で綴られる一万字の純文学に、ぜひ触れていただきたいです。