第6話 暗殺計画?

僕は昨日の出来事を叔父である、アッサール・シーグフリッド・ヘドマンへ報告した。


今は叔父の部屋で話している。

アッサール叔父さんは難しい顔をした。


「本当に、パウラお嬢様が、そんな事を書いたのか?」


「はい、証拠ならここに」

と昨日の紙切れを取り出して見せると叔父さんは


「なんて事だ。まさか私の正体もバレていて、それでヴァレンティンもヴァンパイアだと気付いたのか??」


「昨日僕は初めてお嬢様にお会いしました。街や村で会った事はないでしょうし、ヴァンパイアの血を引いているとしても、人を襲ったりもしてません…」


「…だよなぁ…。私もここに来て、真面目に仕事をしていたが、正直お嬢様とお会いした事はないぞ?部屋から出てくるのは、ごく限られた時だと聞いている。誕生日の時、料理が運ばれた後に両親に呼ばれてこっそりと…。使用人は、ほとんど下げられる」


「では…どうして…知っているのでしょうか?僕はいつも通り、バレるような素振りもしてはいません」

と言うと難しい顔をした。叔父さんだってバレるようなヘマはしないし、第一、叔父さんも部屋から出たお嬢様を見た事はない…。それくらいお嬢様の姿を見る機会は無いらしい。


一体どんな引きこもりなんだろう?


「……どんな手を使ったのか知らないが、知られた以上、このままではいられない…。もしお嬢様が私達の正体をバラして回ったらどうする?手紙を使い、他の使用人がそれを読んだら…」


「そんな……」

と青くなる僕。


「………ヴァレンティン……。お前は幸いにもお嬢様の執事となったのだ…。チャンスはある!彼女を…殺すんだ!」


「ええっ!?」

叔父さんからとんでもない言葉が出て驚いた。しかし冷静になると我が家の秘密を知られたら、僕達が逆に殺されるのではないだろうか?


殺される前に殺す?

でもどうやって??


「ど、どうやって…殺すのですか?」


「私達には幸いにも能力はある。人を操る能力で、お嬢様の部屋の鍵を管理している旦那様を操り、鍵を渡してもらおう。

…血がもっと濃ければ、昔の先祖は霧になれたりして侵入は自由自在だったらしいが、私達はもうその力をほとんど失ってしまったからね」


「侵入してお嬢様を操ってしまえば、殺さなくともいいのではないですか?」


「………うーん、それもそうだな。まだ11歳だものな。操っておくのがいいかもしれないが、知っての通り、私達の能力は一時的なものであり、長続きはしない。正気に戻って直ぐに対策されたら終わりだ」


「うーん…。でも…お嬢様にお会いした時は、僕を見て震えて、旦那様の後ろに隠れていました。そんなに彼女は積極的な性格には思えなかったですが…」


「しかし我々の正体はバレている。事実だ。お嬢様が他の使用人に手紙を書かないように、常に見張らなくてはならない…。私も女性の使用人と仲良くして、手紙を貰わなかったか聞いて回るから、ヴァレンティンは何とか鍵を旦那様から入手するんだ!」


「は…はい…!叔父上…こ、殺せるよう頑張ります!」

とこうして密かに僕は、パウラお嬢様暗殺計画を立てていた。

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