chapter3-3:秋の夕暮れ


「もう秋だねー」

「ねー。すっかり色づいたよねー」

「落ち葉―!!」

「相変わらず元気だねぇ……」

街路樹は見事なまでに赤や黄色に染まり。

がさがさと鳴る足元の落ち葉は、この時期ならではの楽しみ方だ。

珍しく三人の仕事が似たような時間に終わったので。

夕暮れの街を、寄り道しながらゆっくりと歩いていく。

「空も綺麗だね」

「この時期は、本当に綺麗だよね」

はしゃぎ倒す姉二人を横目に見つつ。

妹と二人で、空を見上げる。

夕焼けが綺麗だと思える心はある。

だが、たまに。

すべてを焼き尽くす炎の赤色に見えるときもある。

すべて手遅れになった血の海に見えるときもある。

オウマガドキ。なんて言葉があるらしい。

人間界と魔界の境が曖昧になる事だという。

じゃぁ、今は。

今だけは、あの頃のままの関係で居られるのだろうか。

「なにー。そんな難しい顔して。考え事?」

不意に、頬をつつかれた。

驚いてつつかれた方を見やれば。

反応が面白い。と、子供の様にからころと笑うフォルタ。

「早く帰ろー!そろそろおなかすいたよー」

「もっと寒くなる前に、家には着いてたいよね」

笑顔で駆け戻ってきたサキねぇとシール。

三人が居るから大丈夫だ。って、自分に言い聞かせる。

「ごめん。なんでもないよ。帰ろっか」

次第に陽が落ちて、夜になる。

暗く先の見えない闇に身を投じるのは。

怖いままで。

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