全ての始まり 11

「お主、その果実はまだ残ってるのか?」

「残っても、じぃじぃにあげないよ」

「ケチだのう。お主、その果実を売ると一杯お金を貰えるでのう」

「俺はお金に興味ないよ!今は。。。」

「まぁ、よい。訓練を続けるかのう」


 ゲッペは新しい玉を取る。


「この玉なら大丈夫かのう。この玉なら、お主の魔力に耐えらるかのう」

「じゃあ、流すよ」


 俺はまた魔力を玉に流す。


「お主、待つのじゃ」

「?」

「お主、また同じ事するつもりなのかのう?」

「そうだけど?」

「お主、自分の魔力を意識して操作してくれ」


 操作?どうやって?


「どうやるのだじぃじぃ?」

「うむ。。。自分の身体の中にいる流れを感じてでのう」


 流れをか?あのイメージの事じゃないか?俺はあのイメージを思い出して、自分の中にあるものを意識した。

 そして、俺の頭に何かを思い浮かぶ。それは流れ、身体全体にに流れて何かを感じ取った。

 血管の流れみたいだ。その流れは非常に荒々しいく、身体の中を回っていた。


「うむ、やっと自分の魔力を意識したのう?じゃあ、お主の魔力の流れを操作しな」


 ようは、俺のこの荒々しい魔力の流れを安定な状態にしてくれと。俺は流れに集中する。自分の身体を心臓として媒体し、この魔力の流れを操作する!

 そして少しずつ、自分の中にあるものは安定したと感じる。


「おぉぉぉ!出来たのう!お主はやはりできる!」

「どうだ、俺の凄さが分かったか?」

「ほほほほほほ」

「はははははは」


 俺は玉に魔力を流す!


「ははははは、これで!」


 ぱちん!


「。。。」

「。。。」


 あれ、なんで?俺の魔力がまた高まると感じた。


「お主。。。まぁ、大丈夫じゃ。これはお主はまだ初心者だからでのう」

「何が起きたんだ?」

「お主は気が抜いただけでのう。無意識に自分の魔力を操作出来ないじゃのう」


 はぁぁぁぁぁ、落ち込んだ。やはり、俺はまだまだだな。


「お主は自分の魔力の操作を無意識できるまでは、魔法の訓練は出来ないのう」

「むぅぅぅぅ!」

「まぁ、そう焦るでない。時間は一杯いるからのう」


 はぁぁ、無意識な状態で操作出来ないといつまでもこうなのか。

 ぐううううう~

 誰かの腹の音が鳴る。その音は小さく、聞こえる事が出来ないはずだが。ゲッペの家は静かだからか、小さい音が大きく聞こえた。

 

「お主、まだ食っていないのか?」

「あぁぁぁ、まだだな」

「うむ。。。お主の食べ物は。。。」


「野菜でもあれば~」

「少し待ってをくれ」


 ゲッペは俺用の食べ物を取りにくる。


「くれでいいじゃろう」


 ゲッペはその野菜をテーブルの上に置いた。


「ありがとうよ」


 俺はその野菜を口で齧る。


「おぉぉ!美味い!何の野菜だこれは?」

「ほほほ、美味いかのう?それは。。。」


 俺は野菜を半分まで食べると、自分の魔力が高まったと感じる。

 あれ?この感じは。。。


「なぁ、じぃじぃ。これはただ普通の野菜じゃないだろう?」

「ほほほ、それは薬に使う葉っぱじゃのう!魔力回復を作る時に使う葉っぱじゃ!人間が食べるととても苦いはずでのう。ほほほほほほ!」

「じぃじぃ!!!なんてもん食わせたんだ?!だけど、美味いから許す!」


「ほほほほほ!」

「むにゃむにゃ、ははははは!」


「ほほほほほ!」

「ははははは!」


 ゲッペの家から、笑声が聞こえた。村の人々は分からないだろう、何故ゲッペ村長のテンシオンが高いのか?そして、誰と笑えあっただろうか?


 俺は葉っぱを食い尽くす。

 腹一杯だ。レア・果実と同じ効果だからか、俺の身体は良い調子だ。


「じゃあ、お主は魔力操作の訓練を続けるようにのう」

「はい、師匠!」


 俺は言われたように、日が沈むまで訓練を続けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る