全ての始まり 4

「やばい!だからいったでしょう、ここはあぶないと」

「ぼく。。。まさかこんなことになるなんて」

「もうわかったでしょう?」


 二人のこどもは走りながら会話を交わす。あの男の子は自分の間違いを認めたのか、黙って女の子の後を追う。森の道はまだ続く。彼らは無事に森を出る事ができるのか?


「だれか!たすけて!」


 赤い髪の女の子は助けを求める。そんな彼女を差したのか、男の子も一緒に叫ぶ。


「みんな!たすけて!」


 彼らは大きい声で叫ぶ。村に居る人たちが彼らの事に気づくかどうか。


 ヤバいな、あのタイガーのスピードが段々上がってくる。これは彼らがあのタイガーに捕まるのも時間の問題。何かしないと。。。でも、この体で何が出来るのか。


「ダン、まほうであしどめするよ!」

「ぼくはまほうとくいではないよ」

「わたしもよ」


 赤い髪の女の子、リスはただ黙って何もしないつもりはないみたいだ。彼女は何かをしでかすつもりだ。


「まほうはわたしのとくいとくぎではないけど、あしどめぐらいは」

 彼女は自分の手をタイガーに向けた。


「ひのせいれいにねがう、わたしたちにちからをかして、ふぁいあぼーる!」


 リスの手から、ミディアムサイズの火の玉をタイガーに撃った。そして、タイガーの顔に当たった。


「ガアアアアアアアアア!」


 タイガーは足を止めた。リスはタイガーの足止めに成功した。彼女らはこの瞬間を見逃さない。


「にげるよ!」

「うむ」


 あれは魔法なのか。俺もそれが出来るのか?それが出来るなら、あの怪物の足止めくらいは出来るはず。あの時、彼女はなにかを唱えたな。たしけ、精霊なんだったけ?


「あと少しよ!」


 森の道は少しみたいだ。こんな形で森を出るとはな。なんか、嫌だな。俺は平和が一番だよ。


「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


 え?何かあの怪物から感じるけど?それはまるで自分の体から何かを消費して。あの時、あの女の子から魔法を撃った瞬間も同じ。あの女の子の場合は、自分の体からなにかを出して。そして、火に変換した。俺には何故かそんなイメージが伝わる。


 じゃあ、俺もこの何かを外に出してみたら、何か出来るのか?魔法を撃つ事が出来る!?!?これは状況を伺って、絶対必須な時にするか。今はまだその時じゃない。


 このハムスター!世界最強になる時がきたのか。。。早いような。さすが、俺だ。まさか、ハムスターになったから、こんな事が出来るのか。


 タイガーのスピードは突然上がった。タイガーはこの森の事に詳しいみたいで、もう少し、獲物が森の外に出るのは分かる。


「たりないよ」

「そうだね、目潰しでもする?」

「えぇ、じゃあ、あのわざをするか」


 二人の子供は、また何かをしでかすみたいだ。今回は?


「つちのせいれい、ぼくたちのいのりにこたえて!ダスト!」

「かぜのせいれい、わたしたちにちからを!ウインド!」


 彼らは土を作り、そして風でタイガーの顔に撃った。そのお蔭で、土はタイガーの目に入った。


「ガアアアアアアアアア!」


 タイガーのスピードが落ちた。あの二人はやったか!?これはもう無事かも?


「むらのひとびとがみえるよ」

「あぁぁ、やっとだ」


「クリス!ダン!何故森の中に入る!?」

「下がれ!」


 ダンはもう安心したから、自分はまだタイガーから逃げれていないだと分からなかった。


「ガアアアアアアアア!」


 逃がすか!とでも言うつもりだろうな。あの怪物はダンの方向に飛び込んだ。


「ダン!うしろ!」

「えぇ、なに?」

「ヤバい、これは間に合わない!」


 よし!俺の出番だな。この俺、世界最強のハムスターの力を見せてやるよ!

 あのイメージを思い出してくれ。あの線の流れ、外に。

 えぇ、呪文は。。。


「ちぃちぃちぃ、ちぃちぃちぃちぃちぃぃ!ちぃ!」

(火の精霊、俺の命令に答えてくれ!火の玉!)


 俺の体から、物凄く何かが減ったみたいだ。そして、その何かは火の玉に変換した。

 えぇぇ、なんか、何かが可笑しい。物凄くデカいけど!これはヤバいかも。

「!!!何故急に魔法?!」

「ちぃ!」

「ぷる!」


 俺たちは後ろに下がった。じゃないと、あの火の玉に巻き込まれて、焼きハムスターと焼きスライムになってしまう!


「なにあれ」

「ダン!クリス!早く後ろに下がれ!」


「ガア!?!?」


 タイガーの怪物はなにかを気づいて、ダンを狙うを止めて、そして後ろを見た。人間サイズの火の玉が自分に迫ってくる。


「!?!?!?」


 タイガーは火の玉を避けようとしたが、既に遅かった。火の玉はタイガーの姿を飲み込んだ。


 あぁ。。。俺があれをやったのか?えぇぇぇ、小さい火の玉だけを出してみたいと魔法を撃ったが。まさか、出るモノがこんなにデカくなると思わなかったな。

 幸い、火の玉はタイガーを飲みこんで、木々に当たる事はないみたい。


「えぇぇぇ、あのまものは?」

「とつぜん、おおきひのだまがあらわれて。まものはやきれたみたい。。。」

「ふむ、あの時強い魔力を感じたけどな。けど、魔法を使った人は見当たらない。」

「よし、お前たち。神と精霊に感謝しろ、誰かのお陰であのタイガーベアストから逃れる事が出来るからな」

「帰るぞ、後で説教からな」


「はい。。。」

「はい。。。」


 行ったみたいだ。危険は去ったから、俺たちは息を取れたな。


「ぷる!ぷる!ぷる!」


 ぷるつけは凄く驚いたみたいだ。俺自身もこんな事が出来るのには驚いた。

 だけど、あの時、あの男は言ったよな。。。

 クリスだって。

 姿は似てるし、まさか彼女は?

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