「もう一回ハグして」

「ぬぁぁぁぁっ!」

 学校を終えて俺の部屋で勉強をしている中、真冬が床に倒れ込んでいた。

「あぁぁぁ頭使い過ぎた」

 真冬が苦手とする数学をやっていたからまあ、しょうがない……。

「休憩にするか?」

「うん……する」

 真冬は頷きその場でゴロゴロとし始めた。

 ……休憩は五分ぐらいでいいかな。

「休憩は五分でいいか?」

「ん? んーーー………いいよ。吾郎にお願いがあるんだけど」

「ん、なに?」

「頭を撫でて欲しい……」

「……え」

 いつも急だからびっくりしてしまう。

「今日は頭を撫でればいいの?」

「うん。勉強頑張るから」

 こっちの方に近づいてきて膝のところに頭を乗せてきた。

「……っ。いいよ」

「本当っ!?」

「まあいつもやっていることだしな……」

 すると真冬が女の子座りをし、直した。

「うん。お願いっ」

 俺は優しく頭を撫で始める。

「えへへ」

「力加減はこのくらいでいいか?」

「うん……えへへ幸せ、好き」

「それは良かった……」

 本当に幸せそうな顔をしているな……猫とか撫でているみたい。

 ずっと撫でて5分の休憩を鳴らすアラームが鳴り始めた。

「……もうか」

 手を離すと真冬が少し寂しそうな顔をしていた。

「ねぇ、もう終わり?」

「――っ!」

 大きな目でこっちをジッと見てくる。可愛い……。

「……勉強が終わったらな」

「せめてハグだけして!」

 手を広げて真冬がこっちに近づいてくる。

「……わかったよ」

「やった!」

 そのまま真冬と正面で抱きついた。

 あったかく……胸が当たっているのがわかる。

「……吾郎」

 そのまま頬擦りまでしてきた。

「――っ!」

 真冬の柔らかい頬がめちゃくちゃ当たってきていい香りがしてくる。

「……えへへ頑張れる」

 真冬が満足して勉強を再開し始めた。

「……」

 あったか……。俺も勉強頑張るか。

 続けて俺も勉強の続きをし始めた。



「………ふぅ、今日はこの辺にしようか」

「ぬぁぁぁ!! 終わった……」

 真冬が軽い伸びをしていて、俺も同じく固まった身体をほぐした。

「ねぇ吾郎」

「ん?」

「もう一回ハグして」

「――っ!」

 同じくこっちを近づいてきて手を大きく広げてきた。

「……いいよ」

「やったー!」

 そして再び俺は真冬に抱きついた。

「あったか好き」

 また胸が当たってきていたが抱きしめ方がさっきよりも少しキツめに抱き寄せてきた。……俺は真冬の背中を優しく撫でた。

「……俺も好きだよ」

「えへへ……好き」

 晩御飯で帰る間ずっと俺と真冬はくっついて抱きしめていた。

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