第14話




「チーン...」


「大丈夫ですか?セイヤ様」


 現在俺はミアに膝枕されて休憩している。

 羨ましい?バカ言っちゃあいけない。こちとらここ一ヶ月、武器をミスリルの刀と槍、そして棍に変えて鍛錬へばりついて行ってるのに相変わらずボロ雑巾になってんだからこのぐらいの役得は当然と言える。


「セイヤ様、そろそろ起きてください。今日からダンジョンの深層部を作り始めるのでしょう?」


 そーいやそうだったわ。一ヶ月間DP変換し続けたからな、もう十分貯まっとるやろ。


「あー、それじゃあ作っていくかー」


 俺はミアの膝に頭を乗っけたまま、やる気のない声を上げた。




_________________________________________




「さて、休んだし今度こそ深層部作っていくぞー。今回はミアにも手伝ってもらうからよろしくな」


「はい、手伝えることならなんでもしますよ」


「それは心強い」


 んじゃまずは、適当に広い階層を作るか。


「ミア、俺的にはダンジョン作成は今からが本番って思ってるから。深層部は直接その階層に行って作るつもりだけどいいか?」


「構いませんよ」


「ありがと」


 ミアの了承も得られたことだし、今ホログラムに映ってる巨大な階層を草原に設定して作ったら、そこに転移っと。


「お、上手くいったな」


「おや?草原にしたんですね」


「基礎的な感じだがな、ここから山やら河やらを追加したりしていじっていくよ。ところでミア、ダンジョンに呼んでおいた方がいいモンスターっているか?」


 俺はミアにそう聞いた。下層まではスポーンモンスターしか置かないつもりだったから聞かなかったけど、この階層はモンスターの教育をしたり俺自身の住居も作る予定だから聞いておいた方がいい。


「そうですね。厳密にはモンスターとは言えませんが、精霊を呼んではどうでしょう」


「精霊?」


 エレメンタル的な?


「はい、精霊は火風土水や光闇、他にも植物の精霊など様々な精霊がいて、彼等彼女等がいると環境がとても良くなるのです。ダンジョンはある程度環境を維持してくれますが、住むことを考えたらいた方がいいかと。それに精霊はとても魔法が得意なので、モンスターを教育する際、魔法を教える教師としても使えると思います」


 なるほど、確かにそれはいいな。モンスターの数はリビングアーマーが一番多くなると思うけど、リビングアーマーが魔法を使うのはあまり聞かないから教師役として魔法が得意なので存在があるのはありがたい。


「精霊がいた方がいいのはわかった。他にはいないか?」


「すぐ思いつくモンスターはいませんね。それと、精霊に関しては自然豊かな場所などを好むので森や河、山に湖などを沢山作ると気にいると思いますよ」


「わかった。そうしておこう」


 精霊に関することは頭の中にメモしておいて、他に召喚するモンスターは隠し扉の先の守護を任せるゴーレム達と下層の管理を任せる予定の古代龍、あと他にはどんなモンスターが必要だろう?武器や道具を作れるモンスターは欲しいな。


 俺がそうして、ダンジョンマスターとしての力で召喚できるモンスターを探しているとちょうどいいのを見つけた。

 念のためミアに相談しよう。


「なあ、ミア。物作りが得意なモンスターを見つけたんだけどミアの意見も聞きたいんだ」


「なんでしょう」


「キュクロプスって言うんだけど、俺のいた地球だと物作りが得意な単眼の巨人でダンジョンマスターとしての知識の中でも目が人間と同じように二つってこと以外は同じなんだが、他に何かあったりするか?」


 


「キュクロプスですか。そうですね、知能は高いですから鍛冶場などが整っていて物を作る材料がちゃんとあれば特に問題はないと思います。ただ、地球におけるキュクロプスのように下位の神でこそありませんし違うところもありますが、神の血を引いた巨人ですから気難しいところがあるかもしれませんよ?」


 ふーん、地球では三兄弟で雷の精とかとも言われていたけどこっちではどうなんだろ?


「まあ、そこら辺はダンジョンマスターとしてなんとかするさ。安心してくれ」


「それならいいです」


 まあ、そんなこと言ったら古代龍も召喚するつもりなんだし、グダグダ言ってられんよ。


「それでは召喚を始めるのですか?」


「ああ、まずはリビングアーマーからだ」


 俺はそう言ってダンジョンマスターとしての知識の中にあるモンスター召喚を思い浮かべた。

 ちょっと待てよ?そーいやリビングアーマーってこの世界だとどのくらいの強さなんだろ?強さの基準は?


「そう言えばミア、この世界のモンスターって強さのランク付けとかってされてるのか?」


 ふと疑問に思った俺はミアに聞いた。


「ありますよ。下から順にF・E・D・C・B・A・S・SS・SSSの順で九つあります。セイヤ様が召喚しようとしているリビングアーマーはDランク上位からCランクですね。ちなみに古代龍はSSSでキュクロプスは最低でもA以上、恐らくSかSSランクの個体が多いかとかと」


 なるほど、そこら辺はラノベと同じ感じで良さそうだな。


 んじゃ、気を取り直して召喚していこう。


「リビングアーマー召喚!」


 俺がそう言うと、目の前に魔法陣が現れて一瞬光り、光が収まると魔法陣の中に立派な白銀の鎧のリビングアーマーが立っていた。

 

 おお、成功したぞ!

 俺が心の中で感動していると。魔法陣の中のリビングアーマーは戸惑ったように辺りを見回し始め、ミアは警戒しているのか眉間に皺を寄せて剣呑な気配を出し始めた。


 おかしいな?普通にモンスターを召喚しただけのはずなのになんでこうなった?





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この世界のキュクロプスは好んだ人を喰うことはありません。

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