幼馴染との転生物語 ~最強能力と最弱能力~

シラユウ

幼馴染と転生

(結衣と過ごした日々は楽しかったな…… 毎日はしゃいだり、喋ったり、たまに喧嘩する時もあったけど、結衣が一番仲良かったかもな…… あいつは11年前のこと覚えてるかな一緒に買い物に行った日……)

その瞬間耳元に買い物かごを押すような音が聞こえた。

目が覚めると上には白い壁が見えた。右から男の人と女の人の声がする。

「ひ……た!」

「目……けろ!」

(この声はお父さんとお母さんだ)

「父さ…ん、母さ…ん」

声を出したいがなかなか声が出ない。

手も動かしたいが静止してても痛いので動かすことができない。

「おい!目開いたぞ!」

「陽向……!」

泣きながら下を向く母と笑顔になりながら涙目になる父がはっきり鮮明に見えた。

自分でも気づいた今病院にいてストレッチャーの上に寝ていることを、でもなんでここにいるかが分からない。

「なん…で…じぶ…んは…ここ…に」

「お前は一緒に出掛けてた時に車に轢かれそうなった結衣を助けようとしたけど間に合わず結衣と一緒に轢かれたんだよ!」

父さんが奥の方に指を指した左側をみると幼馴染の結衣も自分と同じようになっていた。

その瞬間一気に絶望感が沸いてきた。

「ゆ…い…」

痛みに耐えながらも気力を振り絞って腕を結衣の方に伸ばす。

届く距離なはずなのになかなか届かない。

「先生!血圧ともに心拍数も下がっています!」

「何!?君は生きられる!もうすぐ手当てするから頑張って生きるんだ!」

だんだんまぶたが重くなっていく、視界が狭くなる、腕にも力が入らない

「おい!起きろ陽向!まだ目をつぶるな!」

「陽向お……」

母さんの声が聞こえた瞬間視界が真っ暗になった。

しばらくした後目を閉じているはずなのに目の中に強い光が差し込んできた。

「生きられたのか……?体の痛みがない」

体を起こしてあたりを見渡すがあたり一面真っ白の場所だった。

奥の方もよく見るがこの真っ白い空間はしばらく続きそうな感じだった。

しばらく辺りを歩いていると奥の方に寝そべっている人影が見えた。

「結衣!!」

見つけた瞬間すぐに結衣だと分かった。全速力で走る。

駆け寄るとやっぱり結衣だった。体にも傷はなく、ぐっすり寝ているような感じだった。

「結衣!起きろ!」

声をかけるが起きない。体を揺さぶってみる。

「ん…どうしたの?」

結衣が目を擦りながら起き上がる。

「結衣…」

うれしさのあまり涙が出てきた。

「な、なんでないてるのよ!?」

「いや、さっきまで体がぼろぼろの状態で死にかけだったのに体も綺麗で生きててそれで嬉しくって…」

「あんた!あたしの体で変なことしてないよね!」

結衣が顔を赤くして体を押さえながら言った。

「変なことなんかしてねぇよ!」

「じゃあ、まずここがどこか説明してくれる?」

陽向はこの白い空間の状況と念のため今までの状況も説明しておいた

「え!?じゃあ私たち死んだってこと!?」

「うん。多分そうだと思う」

喋っていると左から小さい人影がみえた

「誰かいるよ?」

「行ってみようぜ」

人影の方向に向かって走っていく。

影を見た感じ小学校低学年ぐらいの子だ

しばらく走ったあとその人影が鮮明に見えてきた

「え~ ちっちゃくてかわいい~ お名前何?」

「小学生くらいか?」

そいつは身長が130くらいの背中まである長髪、真っ白い無地のドレスを着ていた

「おい!カワイイとはなんじゃ!」

冷やかしたせいか怒鳴りつけられた。

「ワシは神じゃぞ、お前たち人間みたいな愚民どもとは違う」

「神?絶対弱いだろ」

そう言いながら陽向は笑ったそれと同時に神もにっこり笑いながら陽向の方を指さした。

「え?」

その瞬間陽向の左耳にあるはずのない風が吹いてきた。

数秒後、後ろから大きな爆発音とともに強風が吹いてきた。

後ろを振り向くと巨大なキノコ雲ができていた。

「すみませんだした」

そう言った同時に土下座もした。

「コホン、お前たちは今日死んだのじゃ!」

陽向と結衣共に無反応で棒立ちで立ち尽くす

「おい!なんか反応せんか!」

「いやもう知ってるので」

「まったく。お前は50億人目の死者じゃ、それを記念して最強の能力を渡し異世界に転生させる」

「うおー!マジで!よっしゃー!」

陽向がぴょんぴょんはしゃぎながら喜んでいるが結衣は何も分からないのか無反応である。

「異世界って?」

神がめんどくさそうに溜息をつきながら言った

「あのーあれじゃ、スライムとのモンスターが出てくる世界じゃ」

「あー、ゲームのやつですね!」

結衣が笑顔で反応した。

そして神が前の方向を向き左に大きく左腕を振った。

腕を振った瞬間前の方向にたくさんの武器や攻撃魔法や装備などが表示されたカードが出てきた

すると神が空中に浮かび何やら探しているようだった。

しばらくすると神がゆっくり2枚カードを持ちながらの降りてきてこちらに向かってきた。

陽向がにやにやしながら手を差し伸べているが陽向を通りすぎて結衣の方向に向かっていった。

「え?」

神が結衣に2枚のカードを手に渡すとそのカードが浸透していき神が言った。

「これは爆裂魔法と超回復魔法じゃ。爆裂と言いながら爆発させたい方向を指させば爆発する。回復したい相手に手を当てれば大きい傷なんて一瞬で治る」

「へー」

「え!俺じゃないの!?」

神に向かって大声で言った

「うるさいなー 貴様は49億9999万9999人目じゃお前のなんかない」

「なんでー、僕にもくださいよー」

神にしがみつき泣きながら言った

溜息をついたあと神はこう言った

「わかった、わかった。渡すから黙れ」

また、神が上に浮かびカードを選び始めた。

陽向がカードを選ぶ神を目を輝かせながら待っていると神が笑顔でゆっくり降りてきた。

「お前はこれじゃ、手を出せ」

「おお!これはなんですか!」

「記憶力が爆上がりする能力じゃ」

「え…?」

陽向のわくわくと笑顔が一瞬で消え去った

しばらく陽向が硬直し神に問いかけた

「え?もう一回言ってもらっていいですか?」

「だから、記憶力が爆上がりする能力じゃ!ここにあるカードの中で最弱じゃ」

「最悪だーー!!」

陽向が上を向き頭を搔きながらそう叫んだ

「記憶力が上がるなら勉強に有利になるじゃん!」

「異世界に勉強なんてねぇよ!!」

陽向が下を向いて絶望しているがそのまま神は続けてこう言った

「今から二人は異世界に転生してもらう。安心せい同じ世界に転生させる。転生した後は自由気ままに生きてもらっていい。あとワシからのプレゼントとして転生した近くの場所に木造の家を配置しておく、じゃあ楽しい異世界生活を楽しめ」

そう言うと神が指をピッと下に向けた。

すると結衣達の足元に穴が開いた

「うわぁー!?」

「キャー!」

しばらく暗い空間を滑り台のように滑ると目の前に光が見えた

穴から飛び出るとそこには一面緑の美しい草原が広がっていた

「うおーすげー」

「あ!あれ、あの子が言ってた家じゃない?

「そうだな、行ってみるか!」

二人は家に向かって走っていった

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