第5話

「これは・・・・!?」


 ニャンコが、驚いていた。


「こんな力を秘めていたとは・・・?


君は、何者なのかにゃ?」


「それは、俺も知りたいんだ」


「にゃ?」


「自分が何者で、

どうして、この魔法を使うことができて、

なぜ、この世界に来たのかを」


 波は、消えた。

 もしかしたら、具現化されたものなのかもしれない。


「この世界に来たということは、異世界転生者ですかにゃ?


それとも、異世界転移者ですかにゃ?」


「どちらかははっきりしないけど、多分、異世界転移者だと思う。


髪が緑色に変わったことと、水魔法が使えるようになったこと以外・・・・何の変わりもないから・・・」



「にゃるほど。


神の加護を受けていれば、神様からの匂いを嗅ぎ取ることができるのにゃが、そうじゃないってことは、神以外の力で異世界に来て、この力を授かっているかもしれないですのにゃ。


そして、髪の色が変わるということは、異世界転生の確率の方が高いとは思うのにゃが、それ以外の変化がないなら、異世界転移かもしれないですにゃ。


よし、こうにゃったら・・・・」


「こうなったら・・・?」


「謎が解けるまでは、ここにいてもいいですのにゃ。


神以外の力となると、油断はできにゃいですが、見る限り、危険な匂いはしないですのにゃ」


「神以外の力だとすると、何が考えられそう?」


「こればっかりは、いろいろなパターンがありまして、ひとつには絞れないですのにゃ。


例えば、遺伝的なものもあって、君の両親がそういった力を秘めているとか。


後天的な理由があるとしたら、吸血鬼らしきものに力を与えられたとか、


願いを叶えてもらったとか、


どんな理由にしても、しばらくは様子を見るしかないですのにゃ。


何か、危険なことがない限りは、神もそこらへんは関与できないですのにゃ」


 こうして、俺はニャンコと知り合うこととなり、神の存在を知る。

 だけど、これで謎が解けたわけではない。


 俺は、宿屋で泊まる時も、勘が混んでいた。


 自分が、何者なのかについて・・・。


 だけど、いくら探っても、答えなんて見つからない。


 俺は、猫のアズキを抱いて、ベッドの上で寝た。

 アズキは小さくて、いい匂いがした。

 かわいい・・・。


 異世界に自分の力で来ることができるし、人間世界に帰ることができる俺は、普通ではないのかもしれない。


 ここで、俺は夢を見た。


 殺される・・・!


 俺は、ひたすら走っていた・・・・。


 ここは、人間世界だった。


 この世界での俺は、魔法なんて使えないから、襲われそうになったら、ひたすら逃げるしかなかった。

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