第4話

「あたちにも、どうなっていくことなのか、わからないですのにゃ」

 と、笑顔で言われた。


 もし、俺が短気な性格なら、ここで「ふざけんな!」と相手を怒鳴りつけていたところだろうけど、今、俺はこのようなクールな性格であるために、こういった突発的なことは、それなりの事情がない限りは、しない。


 なので、僕は冷静に話を聞くことにした。


「言いたいことは、それだけか?」


 相手の反応に、どうこう言っても、仕方のないこととわかるからこそ、このような冷めた態度をとっている。


 第一、初対面の話を簡単に信じるほど、僕は純粋ではない。

 この異世界の住人はどうなのかは知らないけど、人間世界から来たやつなら、このような常識は誰でも知っていることだろう。


「とにかく、アズキにゃんは、神様からの加護を受けて、異世界最強にゃんこになっていますのにゃ」


「話の本質は見えてこないけど、神とやらに会わすことはできそうか?」


「にゃはは、神の存在をそんな簡単に認識できますのかにゃ?」


「認識できる、とは?」


「君が生まれてからずっと、神とやらに会ったことはありますかにゃ?


それが、神の存在を認識できるかどうかなのですにゃ」


「会ったこと・・・ない」


 俺は生まれてからずっと、神と会ったこともないし、話したこともない。

 神どころか、人外と呼ばれる者や、幽霊とかも、会ったこともないし、話したこともない。

 普通の生活を送っていて、僕の日常が変わったのは、この異世界に来ることになってからだろう。


「にゃら、もしかしたら、神の存在を認識できにゃいのかもしれないですのにゃ」


「本当に、神に会ったことがないだけかもしれない」


「ほう、神に会ったことがないということは、認識できないということと一緒ですのにゃ。


君は、普通の一般人クラスで、神からのなんの加護も受けていないということですにゃ」


 神の加護を受けていない・・・?


 そんなはずはない。

 だったら、俺の持つ魔法は何なんだ?


 異世界に来てから、水魔法を授かっている。

 この力は、神から授かったものと言った方が、つじつまが合う。


 この世界のことだ。

 どんな不条理なことがあるのか、わからない。


「俺が、本当に一般人だと思っているのか?」


「見たところ、何の力も感じないですにゃ。

匂いも、人間の匂いと同じですにゃ」


 ここで、僕は「フィウメ プロフォウンド」と唱たら、波が現れた。

 しかも、この波は、自分の意志でコントロールできるから、津波になって、こちらに流れてこない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る